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日弁連初の女性会長となる渕上玲子氏は、同性婚や選択的夫婦別姓制度の実現を訴えて当選した方でした
任期満了に伴う日本弁護士連合会の会長選が9日に行なわれ、東京弁護士会所属の渕上玲子氏が新会長に内定しました。任期は2024年4月1日から2年間です。日弁連によると、1949年の発足以来、女性が会長になるのは初めてです※。渕上氏は同性婚や選択的夫婦別姓制度の実現を訴えて当選しました。
※すべての弁護士が所属する日弁連は、弁護士等の指導、連絡および監督に関する事務を行い、弁護士の使命である人権擁護と社会正義を実現するため、様々な活動を行なう組織です。日弁連の会長は、日弁連運営の最高責任者として日弁連を代表し、会務を統理します。日弁連会長は弁護士界の代表でもあり、渕上玲子氏は裁判官、検察官、弁護士の法曹三者でも初の女性トップとなります。
日弁連によると、当選には、全体得票で相手を上回ったうえで、全国に52ある弁護士会のうち3分の1超(18会以上)で勝利する必要があります。仮集計結果によると、渕上氏が1万1110票を獲得して及川氏の3905票を上回り、45会を制しました。20日の選挙管理委員会で正式に確定します。
9日夜、東京都内で記者会見した渕上玲子氏は「初の女性会長の責任は重いが、男女共同参画を体現する存在として全身全霊で取り組む。女性がトップに就くことで、景色を変えていかなければ」と抱負を語りました。
渕上玲子さんは(こちらの記事に生い立ちや弁護士になるまでのヒストリーが記されていますが)一橋大法学部を卒業し、弁護士登録を行なった後、日弁連副会長や東京弁護士会長を歴任し、2020~21年度には日弁連事務総長を務めました。選挙戦では、同性婚や選択的夫婦別姓制度の実現のほか、反社会的な宗教活動による被害者の支援、裁判IT化への対応の必要性などを訴えました。
日弁連は「人権擁護と社会正義を実現する」組織として、これまでも何度となく婚姻平等(同性婚の法制化)を求める意見書や声明を発してきました。
2019年7月、政府・国会に対し、同性婚の法制化を求める初の意見書を公表しました(詳細はこちら)
2021年2月には事実婚の関係にある同性カップルが異性カップルと異なる扱われ方をされる正当な理由がないとして「法の平等適用」を求める意見書を国や都道府県に送付しました(詳細はこちら)
昨年2月、首相秘書官の差別発言を受けて、「性的少数者に対する差別発言に抗議し、速やかな同性婚法制化を求める声明」を発しています(詳細はこちら)
昨年6月には、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の一審判決が出揃い、札幌・東京・名古屋・福岡地裁で違憲判決が出たことを受けて、「当事者の性別に関わりなく婚姻を可能とする立法を改めて求める会長声明」を発し、国に同性婚の法制化を求めました(詳細はこちら)
新たに就任した渕上会長はきっと、さらに積極的に婚姻平等や選択的夫婦別姓制度の実現に向けた発信をしていくことでしょう。今後のLGBTQ関連の訴訟等においても何らかの好い影響を与えるのではないかと期待されます。
参考記事:
「希望持てる未来に」 日弁連次期会長の渕上氏 コロナ契機に立候補(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024020901123
日弁連初の女性会長 渕上氏、同性婚実現訴え(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240209/k00/00m/040/261000c
日弁連の新会長に初の女性 渕上玲子氏、公約に「夫婦別姓の実現」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS294FC5S29UTIL00P.html