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タイの婚姻平等法改正プロセスは70%完了、コミュニティは年内施行を要望
年明けにタイ国会の第一読会で婚姻平等法案が圧倒的多数で採択されたというニュースをお伝えしました。今後、特別委員会が法案をさらに練り直し、第二読会、第三読会を経て上院(元老院)で承認されれば、婚姻平等法が成立します。現在は委員会が政府案や野党案などを取りまとめ、審議している最中ですが、あと1ヵ月ほどで審議が完了する、婚姻平等法の改正プロセスはすでに70%完了しているとの報道がありました。LGBTQコミュニティは委員会に感謝するとともに、今年中に同法案が施行されることを要望しています。
タイ国営メディアNNTが2月15日に伝えたところによると、タイプライド委員会とLGBTQ+ネットワークは、バレンタインデーを機に、同性婚法案の緊急審議に対する感謝と励ましの意を表明する書簡を同法案の審議委員会に提出しました。
タイ政府は婚姻平等法の改正プロセスがすでに70%完了しており、すべての国民に権利を取り戻すとともに、LGBTQ+コミュニティが奪われてきた権利を回復させることを目指していると表明しました。
同性婚法案の委員会は、慎重に事を進めており、あと1ヵ月ほどで委員会段階での審議が完了する見込みだと述べました。
法案は、予定通りに上院の議題に間に合うように準備される見通しです。
LGBTQ+コミュニティは婚姻の権利を奪われ、長年苦しんできたこと、同性婚法実現は喫緊の課題として対処されなければならないことを委員会も認識しています。
タイプライド委員会は政府に対し、2024年末までに施行できるよう同性婚の審議を早めることを要望したそうです。
毎日新聞は、同性婚実現に期待する現地の当事者カップルに取材した記事を上げています。
国会の第一読会での審議の日、国会議事堂前に詰めかけたコミュニティのメンバーの一人、シリタタ・ニラプルックさん(タタさん)は、同性婚法制化を支持する世論や国会議員の関心の高まりから「時代は変わった」と実感し、「性別に関係なく誰もが結婚できる『平等婚』を実現したい」と語りました。タタさんは婚姻平等の実現が、戸籍上の性別変更など次につながる大きな一歩になると信じています(※意外なことに、タイではまだ法的性別変更が認められていません)
トランス女性のオパールさんは15年、夫と連れ添い、夫の子を育てていますが、息子が小学校に上がる際、両親の署名入りの書類に母親として名前を書くことができず、悲しい思いをした、生命保険の受取人にもなれず、法的に家族と認められないことが度々障壁になってきたと語ります。
クアンポン・コンペットさんとプロイナパット・ギラットスクンさんの女性カップルは、マンション購入時に二人の名義で住宅ローンを組むことができず、病院で緊急手術の同意のサインもできませんでした。ただ、社会の受容度の変化は感じているそうです。
タイと言えば、タイ政府は70年ぶりの低水準に落ち込んだ出生率を回復させる取組みの一環として、ひとり親やLGBTQコミュニティのメンバーが子どもを持ちやすくなるよう法律を改正する計画だそうです。国立病院を通じ、不妊治療も提供します。
政府の声明によると、子どもを持ちたいがパートナーがいない若い男女に生殖技術へのアクセスを認めるため、保健省が法改正を進める予定です。3月には、国立病院に出産促進のクリニックを設置し、カウンセリングや不妊治療を提供するほか、子宮内人工授精や体外受精などのサービスを強化する方針であるとの発表を行なうそうです。
(日本では、生殖補助医療法案の見直しの議論のなかで同性カップルは対象としない方針が示されています(LGBTQの子育てを支援する団体が要望書を提出しています)。ここでもタイに遅れをとりそうです)
参考記事:
タイ:同性婚法案、年内施行目指し審議加速へ(タイランドハイパーリンクス)
https://www.thaich.net/news/20240215xz.htm
同性婚への道のり 明日も太陽は昇る(毎日新聞)
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20240210/pol/00m/010/005000c
タイ政府、出生率回復に向け本腰-ひとり親やLGBTQを支援(ブルームバーグ)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-14/S8U085T1UM0W00