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【同性パートナーシップ証明制度】高知県大月町で制度スタート、岩手県大船渡市と紫波町が4月から導入へ
年が明けて小樽市、滝川市、山形県、伊達市、市原市、福井市などで同性パートナーシップ証明制度が導入され、1月4日時点で制度導入自治体は少なくとも372に上っています。人口カバー率は75%を超え、80%になる日も近いと思われます(「Marriage For All Japan -結婚の自由をすべての人に」より)
その後も続々とニュースが入ってきています。今回は南からお伝えします。
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高知県大月町では今年から同性パートナーシップ・ファミリーシップ証明制度を導入していて、1月9日、第1号となるカップルが届け出をしました(おめでとうございます)
9日に大月町役場を訪れたのは、昨年4月に町内に移住したトランス男性の勝又栄政さんとそのパートナーの女性です(戸籍上は同性になります)
勝又さんは、「パートナーが入院するときになかなか緊急連絡先に指定してもらえないとか、交渉が大変だったとか、そういった経緯もあったので、何かがあったときに証明するものがないというのは非常に不安だったので、こちらに来てまずそれができたのが一番うれしい」と喜びを語りました。
大月町では今後、パートナーシップ制度を受けたカップルの権利の更なる拡充に取り組んでいくそうです。
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兵庫県は昨年6月、2024年度にも「パートナーシップ宣誓制度」の導入を目指す考えを示していましたが、1月10日、今年4月から導入する意向を発表しました。宣誓したカップルは希望に応じて親や子どもの名前も記載できる(ファミリーシップ制度でもある)そうです。
法的効力はないものの、県営住宅への入居や県立病院での面会など家族対象の行政サービスを利用できるようにし、安心して暮らせる環境づくりにつなげたい考えです。
県によると、都道府県レベルではすでに20都府県が制度を導入していますが、兵庫県のように事実婚も対象に含み、ファミリーシップも含む「フルスペック」の制度は珍しく(愛知県が都道府県として初めて4月からファミリーシップ制度を導入することを発表しています)、県内では16市1町が導入済みですが、未実施の24市町でも県の証明書で同等のサービスを受けられるよう働きかけを行なう、とのことです。
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岐阜県高山市は県の「パートナーシップ宣誓制度」を利用した性的マイノリティや事実婚のカップルに新婚生活を支援する補助金を給付することを決めました。
高山市は少子化対策の一環で2019年4月から、世帯年収が500万円未満で39歳以下の新婚夫婦に対し、国の交付金を活用して最大60万円を補助しています。これについて岐阜県が昨年9月、「パートナーシップ宣誓制度」を導入したことを受け、この制度を利用するカップルにも補助の対象を広げることを決めました。
市によると、対象となるのは宣誓から1年以内のカップルですが、婚姻届を提出できなければ国の交付金は使えないため、市が全額を補助するそうです。高山市の担当者は「少数とされる人への周囲の理解を広げるとともに、生きる選択肢を尊重し、サポートしていくことで誰もが暮らしやすい街にしていきたい」としています。
岐阜県によると、県内では海津市と垂井町でも同様の取組みが行なわれているそうです。
また、同じ岐阜県の中津川市では1月1日から、「岐阜県パートナーシップ宣誓制度」で宣誓した方々の市営住宅への入居申込ができるようにしたそうです。
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山形県では1月4日から「パートナーシップ宣誓制度」が導入されましたが、10日の県の発表によると、2件の申込みがあったそうです。
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岩手県の久慈市、陸前高田市が4月から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を、北上市が来年度に「パートナーシップ宣誓制度」を導入すると先月お伝えしましたが(詳細はこちら)、そこに大船渡市と紫波町も加わるそうです。
大船渡市も「パートナーシップ宣誓」を行なったカップルの子や親も家族に相当する関係と認め行政や民間のサービスを受けやすくする「ファミリーシップ宣誓制度」を導入するそうで、来月、市民から意見を募集するなどして準備を進め、4月1日から制度を開始する方針です。
紫波町も「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を4月に導入します。
宣誓方法は窓口だけでなく、プライバシーに配慮してオンラインでも可能にするそうです。
岩手県では盛岡市、一関市、宮古市、矢巾町に加え、4月から久慈市、陸前高田市、大船渡市、紫波町で制度が導入されることになります(北上市ではまだ時期が発表されていませんが、タイミングを合わせて4月になるのかもしれません)。東北で導入自治体が最も多い県となりますが、県としての導入は検討しないのかという点については、こちらに掲載されているように、「県としては、ジェンダー平等に向けた各種施策を展開しているところですが、誰もが生きやすい地域社会の実現に向けて更に一歩踏み出す必要があり、地方自治法上の基礎自治体優先の原則、県・市町村間の競合回避規定なども踏まえた上で、令和5年3月に「岩手県におけるパートナーシップ制度の導入に関する指針」を策定しています。これは「基礎自治体優先の原則を尊重しながらも、県が広域自治体として指針となるべき事項を定めることにより、県内市町村におけるパートナーシップ制度の導入、さらには相互利用の円滑化を促し、誰もが生きやすい地域社会の実現を図るものです」。県は、市町村の制度導入状況について集約し、市町村間で共有するほか、市町村で制度が導入されれば県営住宅への入居や、県立病院での面会手続き・病状説明等に活用できることとしています。県が指針を策定して市町村に促したことが、このように多くの市町村での導入につながっているのかもしれません。
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北海道苫小牧市では、多様な性の在り方が尊重される社会の実現を目指し、道内の同性パートナーシップ証明制度を紹介するパネル展を市役所で開催しています。「市パートナーシップ制度」導入から1年が経つのを記念し、市が「にじいろ週間」と題した啓発強化期間を設け、SOGIのことや制度のことなどを漫画も使ってパネルで紹介しているそうです。
参考記事:
高知県大月町で2024年からパートナーシップ制度を導入・初めての届け出が役場に提出される(RKC高知放送)
https://news.ntv.co.jp/n/rkc/category/society/rc2c35a71b124b4eb890839a6e3d9b06e1
パートナーシップ制度、兵庫県が4月にも導入 性的少数者や事実婚のカップル、家族対象の行政サービス利用可能に(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202401/0017211322.shtml
パートナーシップ制度対象カップルの新婚生活支援 高山市(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20240109/3080012758.html
県のパートナーシップ宣誓制度に2件申し込み(山形新聞)
https://www.yamagata-np.jp/news/202401/10/kj_2024011000263.php
パートナーシップ宣誓制度 陸前高田市と大船渡市も導入方針(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20240109/6040020322.html
パートナーシップ制度、紫波町で4月にも導入 オンラインでも(岩手日報)
https://www.iwate-np.co.jp/article/2024/1/6/156338
多様な性のあり方紹介 苫小牧市役所で10日までパネル展(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/960491/
導入から1年 パートナーシップ制度 苫小牧市がパネル展(苫小牧民報)
https://www.tomamin.co.jp/article/news/main/127172/