NEWS

エルトン・ジョンがエミー賞を受賞し、EGOTを達成

 大規模なストの影響で4ヶ月遅れとなりましたが、現地時間1月15日、米エンターテイメント界の最高峰である第75回プライムタイム・エミー賞の授賞式が盛大に開催されました。今回もLGBTQ(クィア)的な名場面がたくさんありました。

 最大のトピックは、エルトン・ジョンが「Elton John Live: Farewell From Dodger Stadium」のエグゼクティブ・プロデューサー兼パフォーマーとしてバラエティ特別番組賞(ライブ)部門で受賞し、EGOT(Emmy、Grammy、Oscar、Tonyを4つとも受賞すること)を達成したことです。ただでさえ「生きる伝説」であるエルトンですが、60年のキャリアを経て、テレビ界、音楽界、映画界、演劇界、それぞれの最高峰とされる栄冠を4つとも手にするという偉業を達成し、その伝説にさらに輝かしい1ページを加えたことは本当にめでたく、喜ばしいことです。
 エルトンはこれまで5つのグラミー(グラミー・レジェンドを含め)、2つのオスカー、トニーを受賞してきて、今回のエミー受賞で、晴れて史上19人目のEGOT達成者となりました。(これまでEGOTを達成した18人は、オードリー・ヘプバーン、ウーピー・ゴールドバーグなどです。LGBTQとしてはゲイの俳優/演出家のジョン・ギールグッドが最初でした)
 エルトン自身は会場には来られず、エルトンの夫のデヴィッド・ファーニッシュとプロデューサーのベン・ウィンストンが代わりにトロフィーを受け取りましたが、ニュースサイト「E!」で以下のようなコメントを発表しました。
「今夜、EGOT受賞者という信じられないくらい才能あふれるグループに参加できたこと、信じられないくらい恐縮しています」「この瞬間に至ったのは、世界中のファンのみなさんの情熱的で、献身的で、揺るぎないサポートのおかげです。今夜のことは、私の人生にいかにアートのパワーと喜びの力があったかということを物語っています。本当にうれしいです。ありがとう」

 また、『ル・ポールのドラァグ・レース』で5度目のエミー受賞を果たしたルポールが「ドラァグクイーンの声を聞きなさい」というパワフルなスピーチを行なったことも話題を呼びました。
 この1年は米国のLGBTQにとって本当にタフな1年で、保守的な州を中心に75を超えるアンチLGBTQ+の州法が成立し、 公の場でドラァグクイーンのショーを行なうことを規制する州法も増え、米国最大規模の人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)」は、LGBTQへのバックラッシュが本格化している状況に危機感を示し、初めて「非常事態宣言」を発しました。
 今回『ル・ポールのドラァグ・レース』シーズン15でOutstanding Reality Competition Program部門で5度目のエミー受賞を果たし、多くの仲間とともにステージに上がったルポールは、トロフィーをしっかり持ちながら「本当にありがとう、ラブリー・ピープル、この賞をもらえて光栄です」「私たちの番組と全てのクイーンにこのような栄誉を与えてくれたみんな、愛してます。これまでに何百ものクイーンを野に放ってきました。みんな美しいクイーンたち。彼らに代わってお礼を言います」と語りました。そして、真顔になって「聞きなさい。もしドラァグクイーンが図書館であなたにお話を聞かせようとするなら、その声に耳を傾けなさい。なぜなら、知識はパワーであり、もし誰かがそのパワーへのアクセスを制限しようとするなら、その人はあなたを脅かそうとしていることになります」と語りました。ルポールは最後に「ありがとう。愛してる」と付け加えることも忘れませんでした。

 GLAADが(エミー賞を主催する米国テレビ芸術科学アカデミーの理事(ガバナー)が決定するもので、通常のエミー賞の範疇いかんにかかわらず、TV界に多大な貢献をした番組、人物などに与えられる賞である)「ガバナーズ賞」を受賞したことも、大きなトピックでした。GLAADはテレビや映画などのメディアにおけるLGBTQのリプレゼンテーションを最も確かなものにした功績を称えられ、今回の受賞となりました。
 GLAADのサラ・ケイト・エリスCEOは「GLAADのみんなにとって、この仕事は自分自身に関わることです。なぜなら世界がテレビで観ることはダイレクトに影響力を持つからです。どんなふうにお互いを扱うか、リビングで、学校で、会社で、投票箱でどう振る舞うかを決定づけるのです」と語りました。
「トランスジェンダーについての物語を文化的に変革することが急務です。多くの人たちが、実在のトランスではなくゴーストを見せられていると語っています」
「どんな人かを知らないと、容易に彼らを悪魔化してしまいます。可視化は理解と機会均等につながります。それは命を救うことなのです」

 LGBTQの俳優の受賞としては、ライアン・マーフィの『ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語』シリーズでジェフリー・ダーマーの隣人グレンダ・クリーブランドを演じ(グレンダはジェフの行動を怪しみ何度も警察に通報するが、黒人であるがゆえに誰も取り合ってくれない…という役どころです)、リミテッドシリーズ・アンソロジーシリーズ・映画部門助演女優賞を受賞したニーシー・ナッシュ・ベッツのほか、『一流シェフのファミリーレストラン』でシドニー役を演じたアヨ・エデビリがコメディシリーズ部門の助演女優賞を受賞しました(ゴールデングローブ、クリティクス・チョイス・アワードに続く受賞です)
 
 そのほか、大勢のLGBTQの俳優やドラァグクイーンらがレッドカーペットを彩り、華やかな式典となりました。
 『ル・ポールのドラァグ・レース』シーズン15に出場したプリンセス・ポピーは緑色のゴブリンの姿で登場し、人々に強烈なインパクトを与えました。
 ある人はSNSで「プリンセス・ポピーは、クィアピープルがもっとたくさんアワードに登場するべきだということを雄弁に証明しているね」とコメントしました。
 

参考記事:
Elton John is an EGOT winner(Out)
https://www.out.com/celebs/elton-john-egot

エルトン・ジョン、EGOTの仲間入りを果たした喜びを語る 米エンタメ界最高峰の4賞を制覇(ELLE)
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a46413013/elton-john-reacts-to-becoming-an-egot-after-2023-emmys-win-240117/

RuPaul makes powerful speech about anti-drag laws during Emmy win: ‘Listen to a drag queen!’ (Pink News)
https://www.thepinknews.com/2024/01/16/rupaul-drag-bans-emmy/

The nine queerest moments from the Emmy Awards 2024, from kisses to ‘evil gays’(Pink News)
https://www.thepinknews.com/2024/01/16/9-queerest-moments-2024-emmy-awards-niecy-nash-rupaul-elton-ayo-edebiri/

ジョブレインボー
レインボーグッズ