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【プライド月間】ニューヨークでドラァグマーチが開催されました

 6月25日(日)のNYCプライドマーチの前々夜、23日(金)の夜に「NYCドラァグマーチ(NYC Drag March)」が開催されました。

 
 NYCドラァグマーチが始まったのは1994年、ストーンウォール25周年を記念するNYCプライドマーチが盛大に開催された際、主催者が「家族も安心して観れるように」との趣旨でドラァグクイーンたちの参加を断ったことに端を発します。この主催者側の決定に対して、シスターの格好でドラァグしてチャリティ活動を行なってきた由緒あるドラァグ集団「Sisters of Perpetual Indulgence」※が、抗議のためにこのドラァグマーチを立ち上げたのです(意外に思われるかもしれませんが、NYCプライドは(マーシャPジョンソンやシルヴィア・リヴェラのようなドラァグクイーンやトランス女性のおかげでストーンウォールがゲイ解放運動として成功したのに)初期の頃から白人のゲイ・レズビアンが中心で、ドラァグクイーンやトランスジェンダーを排除する傾向がありました。1978年にはついにドラァグクイーンやトランスジェンダーの参加を禁止し、ストーンウォールの英雄であるマーシャとシルヴィアは「パレードが私たちの参加を禁止するなら、私たちはその前を歩くわ」と言ってパレードの先頭を歩き、シルヴィア・リヴェラは集会でブーイングを浴びながら「あなたたちは刑務所に入れられているセックスワーカーのトランスの仲間のためにいったい何をしてくれたの?」とトランスジェンダーの苦境を訴えました)。創設者の中には、ACT UPで活動していたブライアン・グリフィンや、レインボーフラッグをデザインしたギルバート・ベイカーもいました。
 
 6月23日金曜、夜のとばりが降りる頃、ドラァグした参加者たちは、「We're here, we're queer, we're coming for your children」とコールしながら(「We're here, we're queer」はエイズ危機の時代のクィア・ムーブメントの合言葉です)、イーストビレッジのトンプキンス・スクエア・パークを出発し、歴史あるゲイタウン、グリニッジ・ヴィレッジを通り、「ストーンウォール・イン」へと行進しました。フロリダ州でアンチLGBTQの州法を次々に成立させているデサンティス知事への批判や、「ドラァグは罪じゃない」「BLACK TRANS LIVES MATTER」といったプラカードを掲げる参加者も多く、本来のPRIDEを体現するようなマーチでした。「ストーンウォール・イン」に到着した方たちは、みんなで「Over the rainbow」を合唱し、PRIDEを讃えました。
 現在の主催者のSister lotti daさんは「数あるLGBTQ関連イベントの中でも最も草の根的。参加者は年々増えている。今回が29回目で、来年は30回の節目。さらに盛り上がると期待している」と語ったそうです。

 


 なお、「Sisters of Perpetual Indulgence」も今年、アンチLGBTQの保守派の人たちのせいで、とある騒動に巻き込まれました。
 ロサンゼルス・ドジャースがプライド月間に合わせて企画する試合前のイベント「Pride Night celebration」は今年で10回を数えますが、その人権や多様性、精神的な啓発を長年にわたって促進してきた功績を称えて「Sisters of Perpetual Indulgence」にコミュニティ賞を授与することが先に発表されました。これに対し、フロリダ州選出の上院議員マルコ・ルビオや、カトリック連盟をはじめとするさまざまなカトリック団体から抗議の声が上がり、両者はメジャーリーグのコミッショナーであるロブ・マンフレッドに手紙を書き、ドジャースを非難しました。ドジャース側は一時、この苦情に応じて「Sisters of Perpetual Indulgence」の招待の取りやめを発表したものの、LGBTQ+コミュニティからの激しい反発を受け、改めてイベント参加を依頼し、「Sisters of Perpetual Indulgence」も承諾しました。ドジャースは声明で「ロサンゼルス・ドジャースは多様なコミュニティからの熟考されたフィードバック、ドジャースの組織内での誠実な話し合い、そしてSisters of Perpetual Indulgenceとの寛大な話し合いを経て、Sisters of Perpetual Indulgence、LGBTQ+コミュニティのメンバー、その友人や家族に心からのお詫びを申し上げます」と謝罪しました。

  
Sisters of Perpetual Indulgenceは1979年にサンフランシスコで創設された修道女(シスター)の服装を真似たドラァグクイーン、クィア、トランスジェンダーのグループで、地域社会への奉仕活動、人権、多様性の尊重、精神的啓発の推進に力を注いできました。公式サイトには「私たちはすべての人が自身のユニークな喜びと美しさを表現する権利があると信じています」「私たちは、ユーモアと不遜な機知を駆使して、人間の精神を鎖で縛る偏見、自己満足、罪悪感を暴いています」と書かれています(素敵です)


 
参考記事:
NYC Drag March(GAYS IN TOWN)
https://gaysintown.com/calendar-new-york-events/nyc-drag-march

ドラァグクイーンら大集合 LGBTQ草の根イベント「NYC Drag March」プライドパレードに先駆け開催(Mashup Reporter)
https://www.mashupreporter.com/drag-march-2023/

ドジャースの「Pride Night」で物議 「Sisters of Perpetual Indulgence」の参加に賛否両論(LALALAUSA)
https://lalalausa.com/archives/39335

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