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　与野党から3つの法案が提出されているLGBT理解増進案について、衆院内閣委員会の与野党筆頭理事は、9日に衆議院内閣委員会で審議入りさせることで合意しました。
　自民党は同日中の採決を求めていますが、立憲民主党は「形だけ審議し、与党案で押し切ることがあってはならない」と牽制しています。


　たびたびお伝えしてきたように、2年前に超党派のLGBT議員連盟がまとめた法案は、差別禁止法ではないものの、「差別は許されない」の一文が入っていることでLGBTQコミュニティにとって一定の意味を持つものになるとして野党も合意し、国会での成立を目指すことになったものです。が、自民党内の議論で「種の保存に背く」など様々な差別発言が飛び出し、最終的に国会に上程されずに終わりました（詳細はこちら）。今回、自民党は（「日本の国柄に合わない」「（LGBTの権利を認めるのは）共産主義思想の延長」などというひどい発言やデマを垂れ流しながら）この超党派議連が作成した原案の「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」に、「性自認」を「性同一性」に変えるなどして大きく後退させ、このままでは「差別増進法」になってしまうと批判されるような修正案を国会に提出しました。また、日本維新の会と国民民主党が共同で提出した独自案は、トランス女性にまつわるデマに基づき「すべての国民の安全に配慮」というマイノリティへの尊厳が感じられない条項が設けられ、「保護者の理解と協力が必要」という学校での理解の増進を妨げるような文言が加えられている、「与党案よりもひどい」と指摘される内容です。
　様々な見方があるでしょうが、3つの案のうち、超党派原案だけがLGBTQを差別から守ることにつながる、成立させる意味のある法案であると、多くの方たちが感じていることでしょう。
　　
　6月1日の時事通信の記事では、仮に与野党間で3案の一本化が図られても、自民内の審査は紛糾必至で、党内では「国民の関心は薄れており、たなざらしにすればいい」（中堅）との声が強まっている、今国会での成立は不透明な情勢だと報じられていました。
　しかし、今回の報道によると、与野党の間で3つの法案について事前に修正協議を行なうことも模索されたものの、調整がつかず、今国会の会期末が21日に迫るなか、法案を審議する衆議院内閣委員会の与野党の筆頭理事が電話で協議し、今週9日に審議入りすることで合意した、とのことです。委員会では、3つの法案が一括して審議される見通しで、与野党からは残り2週間余りとなった今の国会で成立させるために、速やかに3つの法案をそれぞれ採決すべきだという意見が出ています。
　読売新聞によると、自民は、13日の衆院本会議で与党案を可決し、参院に送付したい考えです。立民の岡田幹事長は6日の記者会見で「形だけ審議し、与党案で押し切ることはあってはならない」と牽制しました。
　
　議員立法は全会一致が原則で、各党の合意がないまま採決に踏み切れば異例の展開となります。
 「形だけの審議」に終始し、与党案で強行採決するということにならないよう願います。
　
　


参考記事：
LGBT法案 衆議院内閣委員会で9日に審議入りの見通し（NHK）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230606/k10014091491000.html
LGBT法案、9日に衆院で審議入りへ　「自らの性をどう認識するか」与野党から3つの案（TBS）
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/529356
LGBT法案、9日に審議入り　自民、与党案採決の構え（共同通信）
https://nordot.app/1038729905201463389
LGBT法3案、9日に採決　衆院委、与党案を可決見通し（共同通信）
https://nordot.app/1038991439714648975
LGBT法案、9日審議入りで合意　自民・立憲民主党（日経新聞）
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0699P0W3A600C2000000/
与野党提出のＬＧＢＴ３法案、審議入りへ…「性自認」「性同一性」など表現分かれる（読売新聞）
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230606-OYT1T50260/
LGBT法成立へ　自民、与党案採決の構え　9日審議入り（毎日新聞）
https://mainichi.jp/articles/20230607/ddm/001/010/134000c
「LGBT法案」審議入り合意　会期末迫るなか、与野党9日から（朝日新聞）
https://digital.asahi.com/articles/ASR666VT9R66UTFK00J.html