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「LGBT差別増進法」に抗議する緊急大集会の第2夜が開催されました

 「LGBT理解増進法案」の参議院内閣委員会での審議入りを前に、6月14日(水)夜、月曜夜の「LGBT差別増進法に抗議する緊急大集会」に続く緊急大集会第2夜が開催され、参議院議員会館前に850人が集まりました(オンラインも合わせると1万人近い方たちがこの集会に参加しました。以下、いつまで見れるかわかりませんが、貼り付けますので、ぜひご覧ください)。賛同団体は66に増えたそうです。 

 「根本的に変質した」「毒しかない」「ロシアのような」「差別増進法案」と批判されている、また、LGBT法連合会も「当事者コミュニティに深刻な被害をもたらしうる」として警鐘を鳴らすLGBT理解増進法案(与党が維国案を丸呑みした案)は、15日に参議院内閣委員会で審議され、与党は16日、参議院本会議での成立を狙います。

 14日の緊急集会第2夜は、昨年神政連の差別的冊子の件で抗議集会を企画した「STAND FOR LGBTQ+LIFE」の小林美咲さんのスピーチから始まりました。「すべての国民の安心を、と言う。安心という用語は鬼門です。人々の不安が増幅して、井戸に毒を入れるというデマで虐殺された人々がいます。トイレのこと、少子化言説、マイノリティに説明責任を突きつけられるのはおかしい」「このような法案に黙っているわけにはいかない」「命と尊厳がかかっています」「これ以降のマイノリティの法案が同様に作られる懸念もあります」
 
 田村智子議員(共産)は、「審議するなと求めましたが、明日、参院内閣委員会が開かれることになり、私も質問に立ちます。質問者や参考人の顔ぶれがひどい。トランスの方の人権を蹂躙するヘイトスピーチになるのではないかと危惧しています」と語りました。そして、去り際に当事者のみなさんに向けて、「つらくなるかもしれないので、みなさんは明日の議論は聞かないでいいですよ」と語りました(なんと優しい方なのでしょう…)

 もう何十年もの間、LGBTQを支援してきた福島瑞穂議員(社民)は、「マジョリティに迷惑をかけるなという法律です。女性差別をなくすための法律で『男性の生活を脅かすな』と書くことはありえない。おかしい。まさにLGBTQ差別増進法です。廃案しかない」「同性婚訴訟でも違憲判決が出ました。最も理解増進が必要なのはこの法案を通そうとしている議員たちじゃないですか」と語りました。 

 櫛渕万里議員(れいわ)は、「3時間に満たない衆院での議論で、悪魔合体した法案が可決されたこと、憤りでいっぱいです」と語りました。「私たちは昨年、差別解消法案を出しています。マイノリティのためを考えるなら、差別解消法じゃないんですか」「マジョリティのための倒錯した議論が国会でまかり通る。おかしい。廃案しかありません」と語りました。

 伊藤岳議員(共産)は、「マイノリティはマジョリティに従えという法案。マイノリティが生きられる社会こそが、すべての国民にとって安心なんです。廃案しかない」と語りました。

 石川大我議員(立憲)は、「維新と国民がとんでもない法案を出してきた。同性婚、学校教育、地域の活動、すべてが、国民の安心の名目で制限されかねない。講演会や映画上映も中止にされるかもしれない。ヘイトが蔓延する。こんな法案を許してはならない」「最後まで闘います」と語りました。

 よだかれんさん(元新宿区議)は、「決して許してはいけない。驚き、呆れる」「名古屋城へのエレベーター設置についての会議で、車椅子わがまま言うな、図々しいと言う発言に拍手が起こった。こうしたことが今回の法案で、お墨付きを得られることになる。マイノリティは多数者を脅かさない程度に、と言われる。外国人が犯罪予備軍のように扱われ、日本人の安心を脅かさない限り、とされる。排外主義がつながっていく危機感」「でも1つ希望があるんです。ウーマンアクションネットワーク(WAN)が私たちの危機に連帯を表明してくれました。女性もLGBTQも障害者も外国人も共に排外主義を撥ね返しましょう。あきらめずに」と語り、最後に「多様性はパワーだ!」とコールしました。

 「LGBTコミュニティ江戸川」の七崎りょうすけさんは、先日の区議選に出馬した際、レインボーフラッグを掲げて街宣をしていたら、「仲間がいた」と泣き崩れた方がいた、と語りました。その方は、両親と暮らしているのですが、病院に行けと言われてしまったそうです。また、七崎が初めて会うゲイだと言う40代の方もいたそうです。「職場で好きな人ができて、告白したら、職場じゅうに話が広まり、会社を辞めざるをえなくなってしまった」と話したそうです。「そういう差別に苦しんでいる人たちを助けたい、手を差し伸べたいのに、なぜこんな、尊厳を傷つけるような法案を出せるのか。私も闘い続けます」

 ノンバイナリーアクティビストのひかりさんは、「私たちのコミュニティが心配です。もともとメンタルヘルスや貧困、いじめ、性暴力など、たくさんの苦しみに直面しているのに、こういう政治の状況が追い打ちをかける。どれだけ苦しいか」「私もずっと、生きていて申し訳ないと思っていた。私が悪いんじゃない、環境や社会がそう思わせるんだと気づいた。ノンバイナリーが存在していると認識されず、いつも透明人間。孤独。就職も難しい。綱渡りでやってきて、ボロボロです。ここに立っているのが奇跡です」「政治が暴走している。市民の力で、マイノリティの連帯で変えていかなければ」

 Transgender Japanの谷口さんは、アライとして涙ながらに語りました。「いま日本中でたくさんの、ひどいトランス差別チラシが配られている。女性のトイレの個室の一つひとつに貼られている。便所の落書きですよ。これを消していくのは、私たちマジョリティの役目です。ヘイトを目にしたら、一緒に消しましょう」「アメリカのトランス差別は黒人差別と一体となっています。トランスへの差別は、レイシズムのバリエーションだと思います。今のバックラッシュは20年前のジェンダーフリーのバックラッシュとつながっています。山谷えり子のような同じプレイヤーが差別しています」「当事者は自分に向けられた刃をかわすので精一杯かもしれない。マジョリティが引き受けましょう」「これ以上、当事者に差別の刃を、背負わせないで」

 W7代表の福田和子さんは、WANの声明の呼びかけ人でもあります。「トランス差別の人たちのなかには性暴力を恐れる人たちもいます。性暴力は誰もが怖いです。でも性暴力を止めるのは、トランス差別じゃない。刑法改正です。社会的な構造が問題です。男尊女卑、セクシズム、ミソジニー。社会の根本に関わる話です。それに共に闘わないといけない。トランスジェンダーも性暴力の被害者です。おかしい。皆さんと声を上げ、なんとか廃案にしたいです」
 
 その後に登壇した北丸雄二さんは、月曜のメッセージとは違うお話をします、と言って、「僕たちはみんな10代の頃、たった一人で闘ってましたよね」と語りはじめました。「僕たちが、国会の論議にまで進んできたのは、褒めていい」「今日、ここには数百人の仲間がいる」「闘いは国会だけじゃない。裁判もやっている。たとえ参議院で可決されても、終わりじゃない」「少数者を保護するための法案が多数派への配慮などと謳うのは民主主義ではありえない。独裁。専制政治です。怒りは当然です。でも、この怒りは、ここで終わらない」「アメリカでも何度も何度も負けています。でも、あきらめずに闘い続けてきたんです」「ウガンダの人たちも、こうして日本の僕たちを見て、闘っている人たちがいると、力づけられるはず」「10年前には考えられなかったことが達成されています。ちょっとずつ良くなっています。それを信じて」「僕たちは絶望から始まった。疲れたら休んでいい。その時は僕らが頑張る。でも続けましょう」。このままこの法案が成立してしまうのではないかと絶望しかけていた人たちを癒し、励ますような、優しいスピーチでした。この後の登壇者のみなさんの語りも「希望」を語るものに変わっていった気がします。

 福山哲郎議員(立憲)は「私はレインボープライド大好きです。あの代々木公園の空間は、みんなが優しい。誰にも優しい空間。あんな空間を社会に求めて何が悪いんでしょうか」と語りました。「北丸さんが言ったように、15年20年前では考えられなかったことが実現しています」「必ず社会は変わります。私たちも頑張ります」

 「結婚の自由をすべての人に」東京二次訴訟原告で元TRP共同代表の山縣さんは、「もっとネットワークを広げて、闘える人が闘いに行くこと、弱っている人を守ること」「声をかけあい、強くしていくこと」「同じような境遇の人と人権課題を共に闘うこと」「これからも力を合わせて闘いましょう」と語りました。

 台湾出身のリュウレイキンさんは、台湾で起こったバックラッシュのことを話してくれました。最高裁が同性婚を認める判決を出した翌年の2018年、宗教保守の人たちによって国民投票が行われることになった、同性婚が成立したらエイズになって死ぬとか、孫の顔が見れなくなる、国が滅びる、そんな横断幕が街路樹の上に掲げられ、バスの広告やテレビCMにも登場し、恐ろしいヘイトがあった、当事者も自殺していると…。それでも、同性婚は実現し、前は30%だった支持率が60%になった、それは、何も変わらないということが実感されたから。周りの友人たちをケアしてあげましょう、大事な命が失われないように。「誰に何を言われても、無条件に、あなたは誰かに愛されている」ということを伝えましょう。
 
 「結婚の自由をすべての人に」「にじいろかぞく」の小野春さんが語りました。「20年子育てしてきて、LGBTQという言葉さえなかった時代、家族ではないように扱われることが日常で、周囲に言えないこともしばしばだった」「差別禁止法が欲しかったです。地域の中で暮らしている私たちが少し安心できるような法律」「しかし、今の法案は、ひっそりと暮らしている当事者にとって、どれだけ残酷か。これ以上どうしろというのか。悲しくなります」「苦しんでいるLGBTQにさらに制限をかける。心底恐ろしい。絶望する思い。でも、思い出してください。「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、大勢の弁護士や支援者のおかげで、5都市のうち4都市で違憲判決を勝ち取りました。あきらめずにいきましょう」

  セックスワーカーで、大阪のdistaで働いているげいまきまきさんは、「いまは過渡期だと思う。ドラマと違って、現実はしんどいですよね。みんなリアルにキツいと思う。でも頑張りすぎないで。こんなにたくさんの仲間が集まってくれたことは、希望だと思う」と語りました。「権利が進んでる国も、過去に大変なことがあった。けど、進んだ。あきらめなかった人がいるからです」「サグラダファミリアみたいに、ちょっとずつ積み重なって何百年もかかって、完成してない、そういうものじゃないでしょうか」

 最後に、主催のとまとさんが登壇しました。プライド月間の由来、プライドは差別の中から生まれた言葉だということ、奴隷だったウィリアム・ドーシー・スワンが初めてドラァグクイーンと名乗り、ドラァグやトランスやゲイが集まるハウスを作り、警察に逮捕され、10ヶ月間の禁固となり、初めて大統領に対して「ふざけるな」と声をあげたこと、そしてストーンウォールの話をしてくれました。「私たちは別に自分たちのあり方を卑下してない、自分のあり方に誇りを持っている、これがプライドってことです」「明日、ひどいことがテレビで流れるかもしれません。嫌な思いをするかもしれません。でも大丈夫。みんなが連帯していけば、世の中は必ず変わります。私はクィアパワーを信じます」

 こうして第2夜は終わりました。が、翌日も集会をやることがアナウンスされました。天候次第で、場所が国会前か新宿かになるとのこと。Twitterでご確認ください。

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