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　5月10日、LGBTQの子育てをサポートする団体『にじいろかぞく』が立ち上げた「#岸田総理に手紙を書こう!プロジェクト」に寄せられた約500通ものお手紙が、政府・内閣官房の担当者に手渡されました。担当者は「政府としては多様性が尊重され、すべての人々が互いの人権や尊厳を尊重して生きられる社会の実現を目指している。さまざまな声を総理に伝えたい」と語りました。
　
　
　同性婚が日本では認められていないことに疑問を持ったレインボーファミリーのお子さんから「お手紙を書いて、『ここにいるよ』ってお知らせしたらどうかな」と提案があり、呼びかけに対して「ママがふたりの家だけど　わたしもしあわせ」といったさまざまなお手紙が寄せられ、一部は2月17日に岸田首相に面会した際に手渡されていました。TRPでもハガキを書くブースが設けられ、「（親が）同性でも子どもは幸せに育ちます」「ぜひ同性婚を実現させてください」「ひとりひとりが幸せに暮らしていける世界に」「すべての家族があたりまえに笑顔で暮らせる日本を！」など414通のメッセージが集まりました。


　お手紙を手渡し終えた『にじいろかぞく』のみなさんは都内で記者会見を開き、レインボーファミリーが置かれている現状について語りました。

　同性パートナーと子育てをする大槻弘美さんは、学校や学童保育など公的な場所で書類を提出するとき、父、母、その他同居者の欄しかないなど、さまざまな困りごとに直面してきたと語ります。小学生の息子さんは自ら、岸田首相に手紙を書きたいと言ってくれました。大槻さんは「彼は、『大人は正しいことをやってくれる』『国会議員は自分たちのメッセージに応えてくれる』と信じています。国会議員の方にはこの手紙を通し、社会がどうなると良いのか考え、一日も早く行動にうつしてほしいです」と訴えました。

　さいたま市で同性パートナーと子育て中の野尻真智子さんは、この春、6歳の息子さんの小学校入学にあたり、学校にカミングアウトしました。教頭は「教員生活30年で、そういう家族にあったことはない」と、かなり動揺していたそうです。そして、息子さんが「みんなをかぞくにしてください。きしだそうりおねがいします」と書いたことを紹介し、「色眼鏡で見られることもあるし、差別も感じてきました。これからの若い人たちが我々のような生きづらさやストレスを抱えず、子どもを育てやすい社会になることを望みます」と訴えました。

 『にじいろかぞく』共同代表の小野春さんは、同性パートナーと自分自身が過去の結婚でそれぞれが授かった子ども3人を育てる「ステップファミリー」として暮らしてきました。次男の方が入院しなければならなくなったとき、パートナーの西川さんが入院手続きをしに行くと、「離婚をしている元夫でも構わないので、血縁のある親を連れてきてください」と言われたそうです。また、6年前に小野さん自身ががんを患った時には、病状の告知などにあたり「この病院では家族として扱ってもらえるかな」と毎回不安に駆られました。「すでに子どもを育てる性的マイノリティのカップルは数多くいます。ですが結婚ができないことで、現状の法律に合わせて嘘をつかないといけないという不思議な生活をしています。集まったハガキには、読むと泣いてしまうようなメッセージもたくさんありました。この思いが届くことを願っています」

　奥さんと離婚し息子さんが3歳のときから一人で子育てをしてきたゲイの小吹文紀さんは、自身の家族について「私たち、すごく幸せです。喧嘩もして、時にドロドロして悩んで、そしてすっごく愛に満ちた親子です」「ただその中にちょっと仕組みがついてきていないことがあって、悲しい思いをすることがあります」「私たちもこのプロジェクトの中で、こんなに子育てをするLGBTQ当事者の方がいるんだとか、初めて知ることがたくさんありました。首相や政治家の方にも、手紙を通して子どもの声を聞くことで、何かのきっかけが生まれたらいいなと思っています」と語りました。


参考記事：
「ＬＧＢＴＱの家族守る法整備を」　岸田首相への手紙５００通を提出（毎日新聞）
https://mainichi.jp/articles/20230510/k00/00m/040/375000c
「同性婚を認めてください」法制化願うLGBTQ当事者ら　岸田首相宛ての手紙500通提出（東京新聞）
https://www.tokyo-np.co.jp/article/249097
「ママがふたりの家だけど、わたしもしあわせ」LGBTQの親や子どもらが500人が、岸田首相に届けた思いとは（ハフポスト日本版）
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_645af999e4b09eef8302e5fc