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提供精子による妊婦も適切な産科医療を受けられる体制の整備と、「生殖補助医療法案」に同性カップルも含める要望がなされています

 同性パートナーがいる女性や、シングルでの子育てを希望する未婚女性が海外の精子バンクなどを利用し提供精子で妊娠した後、医療機関で妊婦健診や出産受入れを拒否される事案が複数起きているとして、LGBTQの子育てを支援する一般社団法人「こどまっぷ」などが11月7日、国の対応を求める要望書をこども家庭庁に提出しました。
 また、同日、第三者の精子・卵子を使った不妊治療のルールなどを定めた「生殖補助医療法案」の成立をめざす超党派の議員連盟が、同性カップルを対象に含めない方針を明らかにしました。これを受けて「こどまっぷ」は、特定生殖補助医療法案において精子提供の範囲を出産を望む全ての人に拡大していただくよう修正を要望する署名を始めました。
 
 
 一般社団法人「こどまっぷ」の長村さと子さんは、ご自身もパートナーが同性で、第三者からの提供精子でお子さんをもうけていますが、医療機関で妊婦健診や分娩を拒否される事例があるとして、こども家庭庁の高橋宏治審議官と面会し、「婚姻の有無や妊娠方法にかかわらず、全国の医療機関で適切な産科医療を受けられる体制を整備してほしい」と要望しました。要望書によると、同性パートナーがいる女性が海外の精子バンク利用による妊娠を理由に医療機関の倫理委員会の審査対象となり「同様の妊娠・分娩管理の経験がない」として出産の受け入れを拒否されたり、未婚女性が提供精子による体外受精を実施した不妊治療クリニックの紹介状がないことを問題視され、妊婦健診の継続は困難と言われたりした事案が、直近2年以内に少なくとも5件あったということです。
 高橋氏は「妊娠の仕方がどうであれ、産婦人科が診ないことはあってはならない」と述べ、国として年内にも是正を図る通知を出す方針を明らかにしました。
 「こどまっぷ」によると、提供精子をめぐる法律が整備されていないことから、医療機関が同性カップルらの受け入れに慎重になっている現状があります。 

 奇しくも同日、第三者の精子・卵子を使った不妊治療をめぐる「生殖補助医療法案」の成立をめざす超党派議連(会長=野田聖子衆院議員)の会合が参議院議員会館で開かれ、対象を法律婚に限り、同性カップルを含めない方針が明らかにされました。代理出産の扱いも焦点になっていたものの、法律では言及せず、事実上、容認しない方向になりました。来年の通常国会での法案提出を目指すそうです。
 これを受けて「こどまっぷ」は、特定生殖補助医療法案において精子提供の範囲を婚姻夫婦のみとせず、出産をのぞむ全ての人に拡大していただくよう修正を要望する署名を立ち上げました。
「子どもを産み育てたいと考えている私たちの仲間は、このままでは子どものいる未来が迎えられないのではないかと危惧しています。
 すでに子育てをしている仲間は、自分の子どもが今回の法律によって、出自をネガティブに捉えてしまうのではないかと心配しています。
 強く望まれて愛され育てられてる子どもが、国が禁止している方法で生まれてきたと自分を捉えてしまうのは悲しいことです。
 事実婚、シングル女性などでも同様の懸念が生まれることが考えられます。
 この法律ができても、子どもを産み育てたい仲間たちは未来を諦めきれないでしょう。
 アンダーグラウンドな方法で精子提供を受けようとして感染症のリスクが上がったり、安全ではない方法を探らなくてはいけなかったり、高額な金銭を要求されたりと深刻な問題が広がるのではないかととても心配です。
 精子提供者を守るために子どもの出自を知る権利が保障されなくなることも予想されます。法律で精子提供のあり方を制限しても、子どもを産み育てたい当事者たちは諦めきれず、産む人や子どもたちにとってかえって不利な状況が生まれてしまいます。
 適切なカウンセリングと安全な生殖補助医療を受け、何よりも子どもたちにとって望ましい家族形成を堂々と行っていくことを望んでいます。
 子どもを産みたい人、育てている人たちを無視し続ける社会は、生まれてきた子どもたちを、無視し続けていく社会になってしまうため、どうか多くの声に耳を傾けてください」(署名サイトより)




参考記事:
同性カップルの妊婦を産科が拒否 提供精子を巡り、国に対応要望(共同通信)
https://nordot.app/1094450624365609417?c=302675738515047521
産科でまさかの「門前払い」…提供精子で妊娠した同性カップルの女性 医療受けられるよう支援団体が政府に要望(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/288658

提供精子・卵子で生まれた子の「出自知る権利」一部容認へ 議員連盟(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASRC762SFRC7UTFL00Z.html

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