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島根県知事の「主観での性別変更は悪用される恐れがある」発言に対し、当事者団体や女性団体が撤回を要請

 島根県の丸山知事が10月の定例会見で「主観での性別変更は悪用される恐れがある」といった趣旨の発言をしたことについて、地元の当事者団体や女性団体が発言の撤回を求めました。


 丸山達也島根県知事は最高裁GID特例法4号要件違憲判断を受けて、10月26日の定例会見で「性別という戸籍に記載する客観的な事実が、人の主観で決められるのか。主観というのは変わりますからね」「女性トイレとか、女性の浴場、犯罪を計画するものがいるかもしれないし、捕まっても主観で言い逃れしようとするかもしれないし、捕まっても主観で言い逃れしようとする。それを認めるのかどうか」などと発言しました(詳細はこちら

 これに対し11月9日、松江市のトランスジェンダー支援団体「紫の風」の上田地優代表が、「性同一性障害者に対する誤解を生む可能性がある」として、知事宛てに抗議文を提出しました。抗議文では、「トイレに入る前は男性で、入ったら自分は女性である」という趣旨の発言は、性同一性障害で苦しむ人たちへのヘイトクライムを引き起こしかねないとして、発言を撤回し、改めて説明することを求めています。
 上田代表は「女性として生きるということは、女性用のトイレや浴場に入ることを目的としているわけじゃない。人として生きるということなんです。(男女を)切り替えることはできない」と語りました。丸山知事は「制度を悪用する人のことを心配される方々がおられるのも事実。こういった方々を含めた相互理解が大事」などとコメントしたそうです。

 同様に11月17日、男女平等社会の実現に取り組む女性団体、新日本婦人の会島根県本部も発言の撤回とLGBTへの理解を求める要請文を提出しました。島根県の担当者は受け取った要請文は丸山知事に渡すとしています。
 同会の山﨑泰子会長は「トランスジェンダー・性同一性障害の方々は、そういう主観とかでコロコロ性別が変わるというようなことは全くありえないことです。県民に大きな誤解を与える元になりますので、このところはきっちり撤回をお願いしたいところです」と語りました。


 先日の法務大臣の答弁にもあるように、手術要件を撤廃したら“男性器のついたトランス女性が女湯に入るようになる”という誤解に基づく差別はあっては許されないのであり、公職にある首長や議員のみなさん(や、地域のリーダーや企業の経営者や管理職の方たち、メディア関係の方たち、メディア上で有名な方など、影響力を持つ方々)は、『トランスジェンダー入門』で述べられているような当事者のリアリティや生活上の困難を知り(理解を増進し)、率先してトランスジェンダーへの間違った認識やデマを払拭するよう努めていただきたいものですね。



参考記事:
「ヘイトクライム起こしかねない」性別変更要件巡る知事発言に抗議(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASRC972XZRC9PTIB002.html
性同一性障害巡る島根知事発言に抗議文 松江市の支援グループ(中国新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/383353

「主観とかでコロコロ性別が変わるというようなことは全くあり得ない」男女平等の社会を推進する女性団体が丸山知事の発言の撤回を求める 島根県(日本海テレビ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/7531051fe1ff56723ae69598b67bb77c4e795a36

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