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蔓延するトランスヘイトをめぐる参院質疑で法務大臣が「誤解に基づく差別・差別的な発言はあってはならない」と答弁

 2023年11月14日、石川大我参議院議員が、参議院法務委員会で、性同一性障害特例法について(公衆浴場の利用に関するデマ等について)厚労副大臣と法務大臣に質問し、小泉法務大臣から「誤解に基づく差別・差別的な発言はあってはならない」との答弁を引き出しました。


 こちらに質問と答弁の様子の動画(ダイジェスト)が掲載されています。以下のような内容です。

石川大我参議院議員:
GID(性同一性障害)の方は、医師の診断に基づき他の性別に適合しようとする意思を有する人であるわけですから、自分は女性だとの認識を持っている方が、例えばお風呂に一人で入って鏡を見て自分の男性的な体を見て心が折れてしまう、非常に辛い思いをしているという話を当事者の方からよく聞きます。そういった方が、判決でも、あえて女性のお風呂に入って混乱させようとすることは考えられない。先日の最高裁判断でも、他の性別の人間として受け入れられたいと望みながらあえて他の利用者を困惑させ混乱を生じさせると想定すること自体、現実的ではないと指摘されている。昨今の、誤解に基づく、あるいは悪意に基づく誤解というのでしょうか、そういったものに基づくトランスジェンダーの方たちに対するヘイトが非常に蔓延しているわけですが、本当にあってはならないと思います。副大臣、いかがお考えですか。

厚労副大臣:
委員がご指摘の、当事者の皆様のお話、私も聞いたことがあります。今の私の立場から申し上げると、公衆浴場での男女の取扱いは、厚労省ではあくまで身体的な特徴で判断をしていく、ということになります。

石川議員:
トランスジェンダーの皆さんに対する、誤解、誤認に基づく、ある意味、嘘に基づく差別が広がっています。こういったことに関して、法務大臣はいかがお考えですか。

法務大臣:
あくまで一般論としてですが、誤解に基づく差別・差別的な発言・行動はあってはならないと思います。


 この前の部分では、厚労省からすでに通達も出ている通り、答弁でも厚労副大臣が「公衆浴場における男女の取り扱いはあくまでも身体的な特徴に基づく」と述べているように、たとえ5号要件(外観要件)があってもなくても、将来、法改正で手術要件が撤廃されても、公衆浴場に入る条件は変わらない(“男性器のついたトランス女性が女湯に入ってくる”わけではない)との確認がなされました。
 そして、この後の部分では、石川議員は、4号要件(不妊化要件)が違憲である、身体を侵襲されない自由に反するとの判断が出されたが、5号要件(外観要件)についても当てはまるのではないか、5号要件を変えないとなると4号要件も変わらず(どちらも性別適合手術によって達成されるため)、違憲であるとの判断と矛盾をきたしてしまう、ということについて法務大臣に質問しましたが、4号は機能、5号は外観が焦点になっていると思うが、これ以上は個別案件になりかねないので、お許しをいただきたい、との答弁でした。
 石川議員は最後に、トランス男性は手術なしでよい、トランス女性は手術が必要とされている国は世界中探してもない、手術要件を削除した法改正が望まれる、と述べました。
(フルバージョンの質疑応答の動画はこちら
 
 最高裁が15人全員一致で違憲だと判断し、あれだけ具体的に「あえて他の利用者を困惑させ混乱を生じさせると想定すること自体、現実的ではない」との意見も出されたのに、今回の参院法務委では、あまりはっきりしない答弁となってしまいましたが、公衆浴場の利用に関する誤解、誤認、デマに基づく差別が蔓延していることについて、法務大臣から「誤解に基づく差別・差別的な発言はあってはならない」との答弁があったことは、一歩前進だったのではないでしょうか。LGBTQの権利を認めたり、性別適合手術の要件が撤廃されたら“男性器のついたトランス女性が女湯に入ってくる”というのは誤りであり、そのような誤った認識(誤解)に基づくトランスジェンダーへのヘイトスピーチや暴力は許されない、ということです。

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