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台東区議が謝罪・撤回へ、しかし今度は横浜市議のトンデモ発言が…

 東京都台東区の松村智成区議(自民)が9月の区議会で、性的マイノリティについて教える学校教育に対して「偏向した教材や偏った指導があれば(児童たちを)同性愛へ誘導しかねない」などと発言した問題で、区議会自民党は6日、「配慮に欠ける表現があった。おわびと取り消しを申し出る」と発表し、松村氏を厳重注意したことを明らかにしました。

 LGBT法連合会が「事実誤認で差別的だ。科学的に間違った発言をする公人に影響され、差別が広がる。発言を訂正すべきだ」とコメントしたのをはじめ、たくさんの批判の声が上がっていたほか、「Stand for LGBTQ+ Life」が「台東区議会の松村智成議員はLGBTに関する誤った認識を改め、撤回・謝罪をしてください」との署名を立ち上げ、7日に上野駅前で抗議行動も行なっていました。

 区議会自民党の石塚猛幹事長は、「性的マイノリティについての質問は、慎重にも慎重を期すべきだった。基本的人権のことなので、区議としてしっかり学ばなければいけない」と説明しています。
 区議会本会議最終日の10月26日に松村氏が発言の取消しと謝罪をする予定だそうです。

【関連記事】
台東区議が小学校の性教育について「偏った指導あれば同性愛に誘導」などと発言し、批判の声が上がっています
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2023/09/23.html
「偏った教材で同性愛に誘導」発言の区議、自身が副委員長を務める台東区民文教委員会で謝罪・撤回を求められるも発言拒否
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2023/10/1.html





 台東区議の件がひと段落したと思ったら、今度は横浜市議会で山田桂一郎市議(維新)が、旧約聖書にあるソドムとゴモラの逸話を引き合いに出し、「『同性愛はおかしいことではない』ということは義務教育で言わなくてもいい」などと述べていたことがわかりました。
 
 「ソドムとゴモラ」は旧約聖書の一節で悪徳と退廃で神の怒りを買って滅ぼされる街の名で、その悪徳と退廃が同性愛だと決めつけられてきました(ナショジオによると、ソドムの街の男たちが神の派遣した二人の天使を辱めようとしたことなどから性的に放埒であったのではないかと考えられる、とされていて、別に同性愛ではありません)。しかし、このソドムの名を引いた「ソドミー法」(同性間の性行為などを罰する法律)は何世紀にもわたり英国などで同性愛者を苦しめ(オスカー・ワイルドやアラン・チューリングが実際に逮捕されています)、英国の植民地だった地域ではいまだにソドミー法が残存しているところもあります。
 
 山田市議は9月12日の本会議で、会派を代表し、LGBTQへの理解を進める学校教育に関する一般質問で、「性的少数者の児童生徒の権利を過大に要求することで学校現場が混乱しないか」「自分は女性だと偽り、女性用トイレや更衣室、風呂に入るといった女性スペースの安全問題が依然として解消されていない」などという「懸念の声」を紹介。「横浜市が旧約聖書にあるソドムとゴモラのようにならないように」などと締めくくったそうです。
 山中市長は「理解増進法の施行により、従来の整備の方向性が変わるものではない」と、鯉渕信也教育長は「児童生徒の状況に応じた個別対応を図っていく。相談に応じられる体制づくりを進める」と答弁しました。
 山田市議は神奈川新聞社の取材に対し、「『同性愛はおかしいことではない』ということは義務教育で言わなくてもいい」などと述べました。ソドムとゴモラの意味については「道徳心がなく、街が滅亡したと聞いている」と説明し、引用した意図は「特にない」、意図していない言葉を議場で使った理由については「ノーコメント」と答えました。また、LGBT理解増進法施行により女性用トイレがなくなることを心配する声が駅頭活動などで複数寄せられていたと説明し、自らの発言に「差別意識は全くない」と述べました。

 SNS上では、「またも差別発言。怒りに震える。「同性愛はおかしいもの」と思っていなければ、出てこない発言だ。悪質」「カルト臭がすごい」「まさか史実だと思ってんの?」「言語道断の差別発言をしたという自覚すらないらしい」「速やかに謝罪、撤回をして頂きたい」「これ党の政策とも矛盾してるよね」「同性愛で街は滅びませんが、維新が強くなると街は…」など批判の声が噴出しています。


  過去には「足立区が滅ぶ」「種の保存に背く」などの発言もありましたが、何年経っても、こうしたトンデモな差別発言がなくならないですね…。こうした議員(をはじめとする公人)にこそ理解増進が必要ですし、こうした差別発言が野放しにならないよう、きちんと対処できるような法律の整備が求められるのではないでしょうか。今年のサミットのG7首脳宣言でも「LGBTQが差別や暴力を受けない社会を実現する」と約束したわけですから。



参考記事:
「性的指向は誘導されるものではない」 台東区議の差別発言受け市民団体が上野駅前で集会(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/282428
「配慮に欠けた」台東区議が謝罪と撤回へ 「同性愛へ誘導」発言(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20231006/k00/00m/040/255000c
「偏った指導で同性愛に誘導」と発言の台東区議 謝罪と取り消しへ(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASRB661BQRB6OXIE042.html

横浜の維新市議が性的少数者を差別 「同性愛で街滅ぶ」逸話を引用 法の趣旨外れる持論展開(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-1025400.html

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