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アウティング禁止条例を持つ自治体は26、3年で5倍に

 2018年4月1日、東京都国立市がアウティングの禁止を謳う初の条例を制定し、ニュースになりました。2016年、一橋大学法科大学院で同級生にアウティングされたことが原因で校舎から飛び降りて亡くなったゲイの学生さんのご遺族が裁判を起こしたことで、アウティングの問題が世間に認知されるようになり、一橋大学の校舎がある国立市が、全国で初めて条例にアウティングの禁止を盛り込んだのです。
 以後、東京都豊島区、三重県いなべ市、岡山県総社市、三重県などがこれに続いています。
 
 地方自治研究機構は今年9月までに、47都道府県と1741市区町村を対象に「性的指向」「性自認」などの言葉を条文に含む条例を抽出し、アウティングに関する規定の有無を調査しました。その調査結果をもとに共同通信が、禁止を明記している自治体に具体的な内容を取材し、今年10月1日時点で少なくとも12都府県で26自治体が条例でアウティング禁止を明記していることが明らかになりました。2020年は5自治体でしたので、3年間で約5倍に増えた計算です。

<アウティング禁止を謳う条例がある自治体>
埼玉県
埼玉県深谷市
東京都国立市、武蔵野市、町田市、日野市、豊島区、港区、江戸川区、杉並区、墨田区
神奈川県逗子市
静岡県富士市
愛知県岡崎市、豊橋市
三重県
三重県いなべ市
京都府福知山市
兵庫県宍粟市、加西市、明石市
岡山県総社市、美作市
宮崎県木城町
鹿児島県志布志市
沖縄県浦添市

 こうして見ると、同性パートナーシップ証明制度をいち早く導入したような自治体であっても、アウティング禁止条例がなかったりすることがわかります。条例でLGBTQ差別禁止を謳っていても、アウティングについては触れていないというケースも多いようです。
 共同通信の記事でも「アウティングは重大な人権侵害に当たる」と明言されています。LGBTQ差別の禁止だけでなく、アウティングを禁止する条例を設けることも重要な課題であるとの認識が広まり、今後さらに条例化が進むことを期待します。
 
 なお、6月成立のLGBT理解増進法ではアウティングの禁止は明記されていませんが、2020年施行のパワハラ防止法では、SOGIハラおよびアウティングがパワハラの一類型として規定されています(すなわち、職場ではアウティングが禁止されています)。今年7月には初の労災認定の事例も明らかになっています。
 

参考記事:
「アウティング」禁止条例が増加 26自治体、3年で5倍に(共同通信)
https://nordot.app/1088794571796529750?c=768367547562557440

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