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電通「LGBTQ+調査2023」の結果が発表、LGBTQの割合は9.7%
dentsu Japanサステナビリティ推進オフィスは今年6月14日~19日、全国の20~59歳の個人57,500人に対してインターネット調査(スクリーニング調査)を行ない、その中で20~59歳の個人6,240人(LGBTQが600人、非LGBTQが5,640人)に対して本調査を行ない、その結果を「LGBTQ+調査2023」としてまとめ、10月19日に発表しました。(注:LGBTQ+の割合、人口構成比、都道府県、性別、年代(20-30代/40代-50代区切り)でウェイトバックをかけているそうです)
電通は2012年、2015年、2018年、2020年とほぼ3年ごとにLGBTQの人口割合やLGBTQに関する人々の意識を調査し、詳細な分析を行なっています。LGBTQ人口割合について見ると、2012年は5.2%、2015年は7.6%、2018年と2020年は8.9%という結果が出ていました(詳細はこちら)
今回の「LGBTQ+調査2023」では、全体の9.7%という結果になりました。内訳は、
<性自認>
・トランスジェンダー 1.15%
・ノンバイナリー(Xジェンダー) 1.38%
・クエスチョニング 0.26%
<性的指向>
・レズビアン 1.01%
・ゲイ 1.59%
・バイセクシュアル/パンセクシュアル 3.20%
・アセクシュアル 1.56% (※アロマンティックは1.43%でした)
・クエスチョニング 0.58%
となっています。
例えばトランス男性でゲイの方だったり、性自認・性的指向の両方でカウントされる方もいらっしゃいますので、上記を単純に合計すると9.7%を超えますが、全体としては9.7%でした。
2019年のLGBT総合研究所による調査で10%とのデータが示されていますが、これに近い数字となりました。
そもそもこの調査は、SOGIにかかわらず誰もが生きやすい社会づくりに向けて、LGBTQ+をめぐる現状の把握・課題発見を目的として実施されている意識調査で、2020年は同性婚に賛成する方が82.2%に上ったことが大きなトピックとして挙げられていました。今回もいくつかのトピックが示されています。
まず、LGBTQ+へのインクルージョン意識です。
「職場や学校などの仲間からカミングアウトを受けたら、ありのまま受け入れたいと思う」が84.6%、「職場や学校などの性的マイノリティに自分らしくいてほしいと思う」が84.5%と高い一方、「彼氏、彼女ではなくパートナーなど性別を特定しない言葉を使うようにしている」が17.1%と、とても低くなっています。「目の前で誰かの差別的な言動があったら話題を変えたり注意する」も36.7%と、低めです。「LGBTQ+に対するインクルージョン意識は浸透してきているものの、インクルージョンに繋がる行動を実際にとっている人は限定的である」とされています。
次に、LGBTQ+に関する取組みを行なう企業への就業意向です。
「LGBTQ+をサポートしている企業で働きたいと思いますか」との質問に対し、非当事者(シスジェンダー異性愛者)でも「待遇や職種に関わらず働きたい」が17.6%、「待遇や職種が他社と同条件であれば、働きたい」が41.9%に上り、LGBTQ+フレンドリーな企業への就業意向は約6割となりました(当事者だともう少し高くなります)。LGBTQ+支援を表明する企業へのイメージを尋ねたところ、「社会の変化に対応できる」「ハラスメントが少ない」「社員が働きやすい」が上位に入り、LGBTQ+だけでなく、非当事者のあいだでもポジティブなイメージが持たれていることが窺えました。
それから、LGBTQ+の子を持つ親(193名)に対しての質問で、「子どもの人生を精一杯応援したい」という回答が67.4%に上り、一方で、約6割が「LGBTQ+の家族がいる家庭は地域で暮らしにくい」と回答したことがわかりました。LGBTQ+の子を持つ親が地域での生活において、暮らしにくさや何らかの課題意識を感じている様子が窺えました。
また、同性パートナーシップ証明制度がある自治体で暮らし当事者の方への質問で、制度がある自治体に住んでいる方のほうが、制度のない自治体に住んでいる方よりも「住みやすい」と回答する方が多いことがわかりました(8.5ポイント高いです)
一方、制度のある自治体に住む当事者の58.4%が制度の存在を知らないと回答していることがわかりました。「導入されてからの期間が短い自治体も多く含まれるという事情は考慮すべきではあるが、パートナーシップ制度のある自治体では住民や企業などでの理解促進も期待されるため、周知が望まれる」
最後の「LGBTQ+へのサポート意識によって情報への向き合い方に差がある」というトピックが興味深かったです。
近年、SNSを中心として、LGBTQ+に関する誤解に基づく言説の流布が問題となっている状況を受け、非当事者層のクラスター分析※を用い、クラスター毎に情報への向き合い方に差があるかどうかを分析しました。その結果、「アクティブサポーター層」や「天然フレンドリー層」など、LGBTQ+へのサポート意識のある層では、8割程度が「自分とは異なる立場の意見にも触れるよう心がけている」ことがわかりましたが、反対に、「誤解流され層」や「批判アンチ層」など、LGBTQ+に関する理解が乏しく批判的な層の方が「フェイクニュースにだまされない自信がある」と感じている人の割合が高く、情報に対する向き合い方に違いが見られたということです。
※20~59歳のLGBTQ+非当事者層5,640人に対し、LGBTQ+に対する意識や知識を問う数十問の質問を用意。得られた回答を、課題意識、配慮意識、生理的嫌悪、社会影響懸念、知識の5つの因子で分析し、6つのクラスター(アクティブサポーター層、天然フレンドリー層、知識ある他人事層、誤解流され層、敬遠回避層、批判アンチ層)にグループ分けした。「LGBTQ+調査2020」の時からこのようなクラスター分析が行なわれています。
なお、今回の調査結果をもとに、「COMING OUT(カミングアウト)」「COMMUNICATION(コミュニケーション)」「DAILY LIFE(生活・暮らし)」「LOVE(恋愛)」の4つのテーマについて、当事者と非当事者双方の意識をデータで可視化したデジタルブック『実はずっと聞いてみたかったこと』が無償でダウンロードできるようになっています。双方の対話のきっかけとなり、LGBTQ+が安心して自分らしく生活できる環境づくりの一助となることを目指しているそうです。
出典:
電通グループ、「LGBTQ+調査2023」を実施
https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001046.html