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米シアトルのLGBTQクラブを狙った放火事件の犯人に実刑判決

 2020年に米シアトルのLGBTQクラブ「Queer/Bar」を狙った放火事件で起訴された男性が、ヘイトクライムを犯した罪で4年の実刑判決を受けることになりました。刑期終了後も3年間、監視下に入ります。
 

 犯人のカルヴィン・ガルシア(26歳)は有罪を認め、連邦裁判所で懲役4年を言い渡されたと連邦検事局が発表しました。
 ガルシアは2020年2月24日、「クィア」と書かれた看板を見て怒り、「Queer/Bar」を標的にしてその真裏の路地でゴミ箱に火をつけたことを認めました。
 捜査はFBIシアトル支局とシアトル警察により行なわれました。裁判資料によると、ガルシアは警察に対して「社会にクィアが大勢いるのは間違っていると思う」と語ったそうです。
 発火の数分後に逮捕されたガルシアは、数週間後、見知らぬ男に「Queer/Barの中にいる人々を罠にかけ、痛めつけるつもりだった」と語っていたといいます。事件当時、クラブ内には100人以上の人々がいました。

 Pinke Newsによると、ガルシアの有罪答弁は10年以下の懲役と25万ドルの罰金を科せられうるというものだったそうですが、最終的に、懲役4年と監察処分3年ということになりました。

 ワシントン州西部地区連邦検事代理のテッサ・M・ゴーマンは、「ガルシアはLGBTQコミュニティのメンバーに対する憎悪ゆえに100人以上の命を危険に晒した。我々は、連邦、州、地域のパートナーと共に、性的指向や性自認を理由とする人々に対する憎悪行為の捜査と起訴に熱心に取り組んでいる。このようなヘイトクライムの影響は地域社会に残り、標的とされた地域社会のメンバーに数週間、数ヶ月、数年にわたってトラウマを与える可能性がある。この仕事は優先事項だ」

 
 米国では1973年のニューオーリンズのゲイクラブ放火事件、2016年のフロリダ州オーランドのクラブ『パルス』での銃乱射事件、昨年のコロラド州の『club Q』での銃乱射事件など、クラブを狙ったヘイトクライムが何度も起こっています。このシアトルのクラブへの放火事件の場合、幸いにして大事に至らなかったため、日本でもニュースになっていなかったようです。
 今回、こうして犯人が逮捕され、司法もきちんとヘイトクライムとして扱い、事態を重く見て(4年は短いのではないかとの見方もありますが)実刑判決を下したということは、LGBTQコミュニティの人々も納得できるような適正な対応と言えるのではないでしょうか。
 
 ちなみに、これはクラブでの事件ではありませんが、1978年にハーヴェイ・ミルクとサンフランシスコ市長ジョージ・マスコーニを殺害したダン・ホワイトは、裁判の結果、たったの懲役7年8ヶ月とされ、あまりにも刑が軽すぎると暴動が起こりました(ホワイト・ナイトと呼ばれ、ストーンウォール暴動に次ぐLGBTQ史上の大規模な暴動として記憶されています)。激怒した人々は警官に復讐と死罪を要求し、警察車両に火をつけるなどしました(ドキュメンタリー映画『ハーヴェイ・ミルク』に詳しく描かれています)。ダン・ホワイトはしかも、たったの5年で出所しました(が、社会復帰することができず、自殺しました)
 ホモフォビアやトランスフォビアをこじらせ、ヘイトクライムを起こしてしまう人たちの末路もまた、悲劇的です。『パルス』銃撃事件の犯人も、今年カリフォルニア州で店先のレインボーフラッグを守った店主を撃った犯人も警察に射殺されています。
 社会に蔓延するクィアフォビアという病(恐怖症)は、クィアピープルだけでなく、ストレートの人たちをも苦しめていると言えるのではないでしょうか。
 この世界からフォビアがなくなる日が一日も早く訪れることを祈ります。
 

出典:
米シアトルのLGBTQナイトクラブ「Queer/Bar(クィア/バー)」を狙った放火犯男性がヘイトクライムで実刑判決(iFlyer)
https://iflyer.tv/article/2023/10/08/arson-nightclub-wueerbar/
Man who set fire to LGBTQ+ bar sentenced to just four years behind bars(Pink News)
https://www.thepinknews.com/2023/10/04/lgbtq-bar-fire-four-years-prison/

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