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「偏った教材で同性愛に誘導」発言の区議、自身が副委員長を務める台東区民文教委員会で謝罪・撤回を求められるも発言拒否
東京都台東区の松村智成区議(自民)が9月20日の区議会で、性的マイノリティについて教える学校教育に対して「偏向した教材や偏った指導があれば(児童たちを)同性愛へ誘導しかねない」と発言したことをめぐり(詳細はこちら)、10月2日、松村区議は、自身が副委員長を務める区民文教委員会で共産党やれいわ、国民民主党などの複数の議員から謝罪や撤回を求められたものの、発言を拒否しました。
この日の区民文教委員会で「台東にじいろの会(立憲・れいわ)」の風沢純子区議は、「同性婚訴訟を通じて(性的指向は)意思によって変えられないとの判決が札幌地裁で出ている。一般質問を通じて誤解を広めた責任は極めて重い」と指摘し、同会派は、発言の撤回と謝罪を求める申入書を松村議員と自民会派の石塚猛幹事長宛てに提出し、委員会の場で発言を求めました。共産党区議団も「性的少数者の尊厳を傷付け、差別を助長する発言」として、松村議員と石塚猛幹事長宛てに発言の訂正を求める申入書を提出していました。
松村議員は一切発言しませんでした。取材に対しても「答えないものは答えない」と話し、石塚氏も「これから党として対応を考える。今日話せることはない」と述べました。
なお、質問を受けた区教育委員会は、「(教育で)性的指向について誘導ということは考えていない」と答弁しました。
LGBTQの権利回復に取り組む団体のワインさんは、「ニュースで発言を知った。恋愛感情を持つかどうか、それが誰に向くかは教科書に誘導されるものではないことは、みんな体感としてあると思う。誤った言説を広げないでほしい」と語りましした。
SNS上では、一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さんが「こんな明らかに差別的で事実に基づかない発言をしてしまう人が、教育を担当する文教委員会の「副委員長」。自身の発言が正しいと思うなら、その根拠を述べれば良いのに、何も答えられず沈黙というのが、意図的な差別発言であることを明示している。辞職すべき」とコメント、石川大我参議院議員が「松村議員は副委員長という立場にもかかわらず、終始無言。委員から発言を求められてもシカト。不誠実極まりない松村議員。差別を拡散させているのが、わからないのか? 一日も早い撤回謝罪が必要」とコメントしているほか、「多くの抗議の声が届いているはず。松村議員はその声に議会できちんと応じるべき」「議論すら拒否する態度は傲慢。区民のために動かないのならリコールすべき」など批判の声が上がっています。
なお、本日、「台東区議会の松村智成議員はLGBTに関する誤った認識を改め、撤回・謝罪をしてください」という署名が立ち上げられました。神政連の差別冊子の撤回を求める抗議集会を開催した「Stand for LGBTQ+ Life」が立ち上げたものです。署名がたくさん集まり、撤回・謝罪を求める声が届けられ、区議が認識を改めていただけることを期待します。
参考記事:
LGBTQ教育「同性愛へ誘導」発言の自民・松村智成台東区議に訂正要求 共産区議団(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/280710
「偏った指導あれば同性愛に誘導」 台東区議、小学校性教育巡り発言(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230922/k00/00m/040/333000c
「偏った指導で同性愛に誘導」と発言の台東区議 撤回要求に発言拒否(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASRB25QVZRB2OXIE021.html
台東区教委、性的指向の誘導を否定 「偏った教材で同性愛」発言巡り(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20231002/k00/00m/040/172000c