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台東区議が小学校の性教育について「偏った指導あれば同性愛に誘導」などと発言し、批判の声が上がっています

 東京都台東区の松村智成区議(自民)が20日の区議会で、性的マイノリティについて教える学校教育に対して「偏向した教材や偏った指導があれば(児童たちを)同性愛へ誘導しかねない」と発言していたことが判明し、批判の声が上がっています。

 
 松村区議は一般質問で、6月に議員立法で成立したLGBT理解増進法について、区の教育現場での取組みについて質問しました。区議は、多様な性的指向や性自認があることを紹介した他の自治体で使われている小学校高学年向けの教材を例示し、この年代は、性も含めた自我の形成を図っていく非常に敏感で繊細な時期だとして「性の多様性ばかりに重点を置き、男性や女性の特性を軽視するような教育をしては児童が混乱する」と発言しました。さらに、偏向した教材や偏った指導によって児童らが同性愛に誘導されかねないとし、「性に違和感のある子どもへの理解を優先するあまり、男らしさ、女らしさといったものが無くなってしまう」と述べ、区の対応を問いただしました。区教委側は「今後も学習指導要領に基づいた適切な指導を続けてまいりたい」と答弁しました。
 LGBT法連合会の神谷悠一事務局長は毎日新聞に対し、「事実誤認で差別的だ。科学的に間違った発言をする公人に影響され、差別が広がる。発言を訂正すべきだ」とコメントしました。
 一方、松村区議は毎日新聞に対し、「『同性愛は気持ち悪い』という不当な偏見、差別は許さない気持ちでいるが、(同性愛について)自我が形成されていない子どもに対して押しつけるのは困る。学校で教える必要はない。発言を訂正するつもりはない」とコメントしました。
 
 22日、この毎日新聞の記事が出たことで松村区議の発言が広く知られることとなり、SNS上では批判の声が多数、上がっています。
「こんなあからさまに差別的で事実誤認の非科学的な言説を披露できてしまうことに唖然とする。性の多様性に関する教育で「子どもがLGBTに誘導」は使い古された典型的なバッシング言説。教育を行うことで同性愛者に"なる"わけでは当然ない。この区議はむしろ自分が教育を受けたら"同性愛者になる"と思っていて、それを恐れているのだろうか? いかに事実を何も知らないかが伝わる発言。性的マイノリティの自殺未遂の割合は、非当事者に比べてLGBが6倍高く、トランスは10倍高い。10代LGBTの約半数がいじめ被害を経験しているというデータも。こういった差別的な議員が放置されることで、結果的に子どもたちの命や尊厳が貶められていく。発言を撤回すべきだし議員も辞めるべき。1970年代のアメリカで、歌手のアニタ・ブライアント氏が「Save Our Children」という団体をつくり、反同性愛活動を展開した。その際用いられたのが「子どもが同性愛に誘導される」「子どもが性的虐待の被害にあう」というもの。いかに同じような言説が繰り返されてきたかがわかる」(一般社団法人「fair」代表理事・松岡宗嗣さん
(なお、松岡さんは東京新聞に対して「性的指向は誘導できるものではない。性的少数者は異性愛者であるように強制され、普通じゃないとみなされれば、いじめなどの被害にも遭ってきた。悩んでいる子どもたちを苦しめる発言だ」とコメントしています)
「またも自民党の議員がLGBTについて非科学的な差別発言。強い怒りを覚える。謝罪し撤回すべき。こうした議員によって差別が広がり、当事者の子どもたちを傷つける。慣れずに抗議の声を挙げよう」(石川大我参議院議員
「性的マイノリティの全国団体になんかコメント求めないで。「誰が見てもアウト」と言い切ってほしい。それと、こういう話多いけど、議会はすぐに動議を出して発言取り消しを求めることができる。差別に瞬発力を発揮できるよう、日頃から意識したい」(小原明大長岡京市議
 ほかにも「無茶苦茶な偏見」「開いた口が塞がらない」「許しがたい」「一線を超えている」「それはどこから聞いてきた話か追及すべき」「カルトの教義丸出し」「こういう差別的で無知な人間にならないためにも小学校での性教育は不可欠」「偏った指導で異性愛に誘導され続けた結果、なんてことなく同性愛のままなんだよなァ! こちとら偏った考えを社会から植え付けられたせいで、同性への初恋と恋心をその当時、リアルタイムで認識できなかったんだ! 私の思春期を返せ!」といった声が上がっています。

 2020年9月に足立区の白石区議が「LとかGばかりになったら足立区が滅んでしまう」などと発言した際は、SNS上で「#私たちはここにいる」というパレードのようなムーブメントが起こったり、抗議集会が開催された李、発言撤回と謝罪を求める3万3000筆超の署名が足立区長宛に提出されたこともあり、のちに区議が謝罪して発言を撤回(議事録から削除)、区議会厚生委員会の委員長も辞任しています。そして、この事態を重く見た近藤弥生区長が率先してLGBTQ支援に乗り出し、当事者からヒアリングを行なうなどして、全国で2例目の「ファミリーシップ制度」導入を実現しました。
 今回も(石川議員の言うように、「またか」と慣れてしまったりせず)、区議にはきちんと認識の誤りを正していただき、台東区政がいい方向に進んでいくよう、声を上げていきたいですね。「雨降って虹が出る」ことを祈ります。
 
 

参考記事:
「偏った指導あれば同性愛に誘導」 台東区議、小学校性教育巡り発言(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230922/k00/00m/040/333000c
「教育が児童を同性愛へ誘導しかねない」 自民党区議、台東区議会で発言 当事者「差別や偏見に基づく非科学的な発言」(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/279466

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