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【同性パートナーシップ証明制度】仙台市、滋賀県が来年度中に導入へ
宮城県仙台市が19日、2024年度中に同性パートナーシップ証明制度を導入する方針を明らかにしました。
郡和子市長が市議会9月定例会の代表質疑で「仙台は多様な市民との協働を続けてきた歴史と風土がある。世界から選ばれるまちづくりにもダイバーシティは不可欠だ」と答弁し、市の審議会で制度の具体的な内容など要綱の策定に向けた議論を進める考えを示しました。
仙台市では市議会で6年前から制度導入に関する質問がたびたび出ていました。2020年10月には地元のLGBTQ団体「にじいろCANVAS」が市議会に制度創設を求める陳情書を提出しました。2021年2月には、男女共同参画推進審議会が2021~2025年度の「男女共同参画せんだいプラン」のあり方に関する答申のなかで、同性パートナーシップ証明制度の検討を盛り込むよう求めていました(詳細はこちら)。しかしその後の動きは特になく、郡市長は今年6月の記者会見で「政令指令都市において本市がいちばん最後まで残されたところとなった」「どのような制度が望ましいのか、考えていくというところ。『こういう形でやりましょう』というところまで固まっていないので、今申しあげることができない」と述べていました。今回ようやく、市長が重い腰を上げることになったわけですが、そこには何かきっかけがあったのでしょうか…。
「にじいろCANVAS」の小浜耕治さんはX(twitter)で「今回、施行に言及することになったのは、東北大が卓越ナントカ大学候補になり、国際化が求められ、国内外から求められる都市に成長するという文脈の上でのことでした」とコメントしています。「やっと施行することが明言され、ほっとしたはしたのですが、来年度中って何? 何をまた悠長なことをと呆れます。サクッと要綱作って、来年度始まったらすぐに施行するようにしてください。パートナーシップ制度は看板です。住宅、医療福祉、防災などでカップルが実際に使えるようになるには、行政のタテ割りを超えた調整が必要です。そんなことは、制度を施行してから整備していけばよいこと」
仙台市は政令指定都市のなかで唯一、制度導入を発表していなかった都市でした(20政令市のうち18市が導入済みで、神戸市は来年5月から導入予定)。また、宮城県は全国で唯一、制度導入に向けて検討を進める市町村が一つもない県でした。そういう意味で、今回の発表は、単に一つの市が制度導入を発表したということにとどまらず、すべての政令指定都市が対応済みとなり、すべての都道府県が制度導入予定自治体を持つことになる(ついに空白県がなくなった)という意味を持っています。
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滋賀県の三日月知事が19日の会見で「パートナーシップ宣誓制度」の導入に向けた具体的な検討を始めることを明らかにしました。滋賀県では彦根、米原、近江八幡の3市が制度を導入済みです。
滋賀県では、今年3月、県議会が性的指向・性自認に関する差別解消を政府に求める意見書を採択しています。6月にはLGBT理解増進法が成立しました。三日月知事はこれらの動きを受けて「制度構築に向けて、県の人権施策推進審議会や県議会、県民の声を聞いて来年度中にはパートナーシップ宣誓制度をスタートさせたい」との意向を示しました。
県によると、制度の導入により、県営住宅へのカップルでの入居のほか、県立病院での面会や手術への同意などで夫婦と同等の権利・サービスを認めることなどを想定しています。
知事は会見で、「どこまでをどのような形で広げることができるのか、認めることができるのか、いずれにしろ、当事者の方々の、これまでの困り事に寄り添う形で対応できるような、改善ができるように努力したい」と語り、対象となる人や具体的な仕組みについては今後、県の審議会や県議会、それに県民から意見を聞きながら検討を進め、来年度中には何らかの形でスタートさせたいと述べました。また、同性婚について、「愛する人が必ずしも異性でない状況はあると思う。そのような人の権利は広く認められてしかるべきだ」との考えを示しました。
三日月知事は、今年2月、全国23県の知事有志が共同で性の多様性を尊重する社会の実現に向けた取組みを国に求める緊急声明を発した際、名前を連ねています。
都道府県としては、現在14都府県で制度が導入済みで、9県で導入予定(時期も公表)、5県で検討中または導入に向けた何らかの前向きな動きが示されています。来年度中には9県すべてで導入され、また、検討中の県のうち何県かではおそらく導入がなされるでしょうから、そうすると、47都道府県の過半数を超えることになります。
同性カップルも婚姻相当だと認める制度が、政令指定都市全てで導入され、47都道府県の過半数を超え、人口カバー率も8割くらいになれば、いよいよ国もこの状況を無視できなくなる(同性婚法の法制化の議論を進めざるをえなくなる)、全国の裁判でも「社会通念が」などという言い訳は通用しなくなるのではないかと期待されます。
ここまでたくさんの自治体が制度導入に動いてくださったこと、本当に感慨深いです。心から感謝申し上げます。
さらにもし、全国の自治体が、三重県議会や滋賀県議会が性的マイノリティに対する差別の解消を政府に求める意見書を採択しているように、LGBTQ差別禁止法や同性婚法の制定、性同一性障害特例法の要件の見直しなどを求める声を政府に届けていただけたら、本当に素晴らしいことです。
参考記事:
仙台市 「パートナーシップ制度」来年度中に導入へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/k/sendai/20230919/6000025003.html
性的少数者カップルを婚姻と同等の関係に パートナーシップ制度導入へ 仙台市 来年度中にも 宮城県内初(仙台放送)
https://www.fnn.jp/articles/-/588549
仙台市がパートナーシップ制度を来年中に創設 宮城県内初 政令市では最後(河北新報)
https://kahoku.news/articles/20230919khn000023.html
滋賀県「パートナーシップ宣誓制度」導入に向け具体的検討へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20230919/2060014274.html
来年度中を目指し 県が「パートナーシップ宣誓制度」導入へ(BBCびわ湖放送)
https://www.youtube.com/watch?v=OUw_qiOila0
滋賀知事「愛する人が必ずしも異性でない状況ある」 宣誓制度導入へ(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230919/k00/00m/040/156000c