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ウガンダで20歳の男性が「重度の同性愛」で訴追、死刑の可能性も…

 CNNによると、アフリカ東部のウガンダで18日、20歳の男性が同性と繰り返し性的関係を結ぶ「重度の同性愛」(加重罪)で訴追されました。今年5月に成立した反同性愛法が適用され、有罪となれば、死刑にされるる可能性があります。国際社会からの非難は必至です。


 東部ソロティ県で訴追された20歳の男性は、男性は41歳の障がいを持つ男性と何度か関係を持っていたようです(交際していたのではないでしょうか)
 彼を代理する弁護士は、同法の罪刑が全く均衡がとれていないと指摘、成人間の合意に基づくことが多い行為を犯罪化しようとする点でも完全に違憲だとの見解を示しています。
 弁護士によれば、この種の事件は公判まで時間がかかり、勾留の長期化が予想されるといいます。
 
 同法は近親相姦、未成年や障害者、年配者との性行為を「加重同性愛」行為と定め、死刑というあまりにも重い処罰を科しています。
 ウガンダは長年死刑を執行していませんが、長期政権となっているムセベニ大統領は2018年、死刑執行への同意を再開する構えを見せています。
 
 また、別の男性は東部ジンジャ県で「同性の12歳の子どもと性行為」をした疑いで先月訴追されています。
 二人とも9月に出廷する予定だそうです。

 ウガンダの反同性愛法は、同性愛者だと自認しただけで“犯罪者”とされ、性交渉を繰り返した場合には死刑に処されるような本当に恐ろしい法律で、議会にいったん差し戻された後、最終的にムセベニ大統領が今年5月に承認しました。国際的な非難を招き、国内のLGBTQコミュニティを恐怖に陥れました。多くのLGBTQがケニアに逃れ、難民となっているそうです(「#ケニア・ウガンダのLGBT難民にサポートを」というサイトに詳しいです。寄付などの支援も募っています)
 バイデン米大統領は「普遍的な人権の悲惨な違反」だとして、ウガンダへの支援や投資の見直しを指示。ウガンダ当局者へのビザ(査証)発給の制限も発表しました。
 世界銀行は今月、ウガンダから新たな融資要請があっても検討しないと発表。同国にある事務所も、地元当局から「権限の終了」を伝えられ閉鎖すると述べました。
 一方、ムセベニ大統領はこれらに反発し、世界銀行は「金を使って」自国の信念や文化、主権を捨て去るように迫っているなどと批判しました。


 同性愛者と自認しただけで“犯罪者”になるウガンダの法案、国際社会が非難とのニュースでもお伝えしたように、ウガンダではもともと(他の多くのアフリカの国々と同様、英国植民地時代のソドミー法が残っていて)同性間の性行為は違法でしたが、2010年、現地のタブロイド紙が「同性愛者手配リスト」として約100人の氏名や住所、顔写真を公表し、「絞首刑にしろ」などと書き立てて反同性愛感情を煽るというひどい事件があり、2011年にはそのリストに名前が載っていたゲイの活動家、デヴィッド・カト氏が自宅で撲殺されました(オバマ大統領がその死を悼む声明を発表しています)。同年、ゲイを死刑にすることができる法律が制定されそうだと報じられましたが、国際社会が動き、ムセベニ大統領は法案への署名をとりやめました。
 しかし2013年、この法案の死刑の条項を終身刑に修正した法案が国会で採択され、ムセベニ大統領は署名する意向を示し、再び国際社会から非難を浴びました(この時の法案も、同性間の性行為のうち一方がHIVに感染している場合や「連続犯」、未成年者との性行為を重罪とするものでした)。2014年、ウガンダの憲法裁判所によってこの恐ろしい法案が無効とされ、パレードも行なわれました(よかったですね)
 このように、同性愛者を死刑にできる法案は過去にも国会で採択されたことがあり、国際社会の非難を受けてムセベニ大統領が承認を思いとどまってきたという流れがあります。ですから、今回も、この恐ろしい法案の適用をやめるよう世界中で声を上げ続けることに意味があります。

 また、今年3月に大阪地裁がウガンダから逃れてきた同性愛女性を難民と認定というニュースもありました。同性愛者が生きていけない、次々に国外脱出している状況ですから、日本でもこのように難民認定が下りたことは素晴らしいです(実際問題として日本にたどり着ける方はそう多くはないですが、今後も同様に保護を求めて来られる同性愛者の方もいらっしゃるでしょうから、国に送り返したりしないようにしてほしいですね)
 
 
 先にウガンダを逃れ、ケニアに逃れる方も多いとお伝えしましたが、今年3月、ケニアで有名な若手ファッションデザイナーでLGBTQ活動家のエドウィン・チロバさんが殺害されていたことがわかったという報道があったように、決してケニアならLGBTQが安全に暮らしていけるということも言えません。
 
 今日のニュースで、ナイジェリアの警察が同性結婚式に参列した200人超を逮捕したという、信じられない話もありました(エジプトでも2001年に船上でゲイのクラブパーティに参加していた60人が逮捕されるという事件がありましたが、200人も逮捕ってすごい規模ですね…)。ナイジェリアでは同性間の性交渉は犯罪とされており、同性婚(同性婚は認められていないので、同性どうしの結婚式を挙げることだと思われます)やパートナーシップにも最長14年の禁錮刑が科せられるそうです。結婚式への参列も有罪です。
 ナイジェリアでは2018年にラゴスのホテルで男性57人が同性間の性交渉の疑いで逮捕されているそうです。

 このように、アフリカ諸国では、南アフリカだけが例外的に憲法でLGBTQ差別を禁止し、同性婚も実現していますが、それ以外の多くの国ではLGBTQが生きづらい、たいへん厳しい状況にあります。
 
 人権団体アムネスティ・インターナショナル・ナイジェリアは、同性結婚式での逮捕について「逮捕され、見せ物にされた」拘束者を直ちに釈放し、この「魔女狩り」をやめるよう、州警察に求めました。同団体はまた「汚職が横行する社会では、同性愛を禁じる法律が法執行者らによる嫌がらせや恐喝、脅迫にますます利用されるようになっている。これは容認できない」と訴えました。
 
 

参考記事:
「重度同性愛」で男性訴追 ウガンダ、最高死刑も(共同通信)
https://nordot.app/1069054546596414130
「加重同性愛」罪で死刑の可能性も、ウガンダで男性2人訴追(CNN)
https://www.cnn.co.jp/world/35208413.html

同性結婚式の参列者200人超を逮捕 ナイジェリア(CNN)
https://www.cnn.co.jp/world/35208416.html

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