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【サッカー女子W杯】史上初、ノンバイナリーの選手が出場
先日、カムアウトした選手が少なくとも94名に上り過去最多を記録とのニュースをお伝えしていた(その後1人増えて95名になったそうです)FIFA女子ワールドカップで、また新たな歴史が生まれました。大会史上初めて、ノンバイナリーの選手が出場を果たしたのです。
カナダ代表のクィン選手は2020年9月にノンバイナリーであることをカミングアウト、名前は一語の「クィン」と呼ばれることを希望し、代名詞は「they/them」を望んでいる方です。出生時に割り当てられた性別に基づき、女子サッカーでプレーしています。2021年の東京五輪に史上初めてトランスジェンダーの選手として出場し、カナダの金メダル獲得に貢献し、トランスジェンダー初の五輪メダリストとなりました。
そして7月21日、オーストラリアとニュージーランドで行なわれているサッカー女子W杯で、カナダの初戦であるナイジェリア戦に出場しました。クィン選手は90分間フル出場しました。試合は両者得点なく引き分けに終わりました。クィン選手はノンバイナリーで、性別適合手術を受けたりはしていないものの、トランスジェンダーの選手がスポーツで競技することについての論争が続き、種目によってはトランスの選手の出場を禁止するケースもあるなか、これは特別な意義があると言えます。
W杯に先立ち、クィン選手はカナダメディア「Streets of Toronto」に対し、「トランスジェンダーのアスリートとして、スポーツの世界に居場所を見出すのは難しいことでした。それはシスジェンダーの女子にとっても同じです。北米には男性優位のスポーツ文化がありますが、彼女たちもスポーツに自分の居場所があると知るだけの価値があります」「若いサッカー選手にとって、スポーツのロールモデルを持つことはとても大事なことです。女子代表チームを見て、幸運にもその何人かと交流できたことは、自分にも道があると理解するうえでとても重要なことでした」と語っています。
カナダのフリージャーナリストであるハー・ジョハル氏は、クィン選手の女子ワールドカップへの参加について「これは画期的で歴史的なことです。スポーツを見る人々に、ノンバイナリーでも素晴らしいスポーツに参加できると示すものです」「クィン選手は偉大なサッカー選手であり素晴らしい人間です。幸せで安心感がある。まさにプロのアスリートが最高のプレーをするために望むことです」と述べています。
クィン選手はスポーツ界におけるトランスジェンダーの権利を積極的に支援しており、13歳〜17歳の少女や多様な性を持つサッカー選手の個人指導も行なっているそうです。
ノンバイナリーの選手の活躍といえば、7月8日(現地時間)、米オレゴン州で行なわれた全米陸上競技選手権大会女子1500メートルレースでノンバイナリーのニッキー・ヒルツ選手が優勝しました。沿道で観戦している観客のなかにはトランスジェンダー・プライド・フラッグを掲げる方もいらしたそうです。
『CITIUS MAG』誌のインタビューでニッキー・ヒルツ選手は、「優勝できて、本当にうれしいです。今の世の中には、たくさんの偏見や差別があります。例えば、若者に対しての反トランスジェンダー法案が成立してしまっています。LGBTQ+コミュニティが、何か希望を持てるようなことが必要だと感じました。レース中にはたくさんのことが頭をよぎりますが、それが私の心の奥にずっとあったんです」と語りました。
ニッキー・ヒルツ選手は2018年に自身がオープンリー・レズビアンであるとTwitterに書いていましたが、2021年にノンバイナリーであるとカムアウトしていました。クィン選手と同様、出生時に割り当てられた性別に基づき、女子陸上競技に出場しています。
なお、スポーツ界では、多くの競技が男女別に分かれているのが現状ですが、自身が男性でも女性でもないとのジェンダーアイデンティティを持つ方のために、ノンバイナリー部門が設けられるケースも見られるようになってきました。こちらのニュースでお伝えしたように、歴史あるマラソン大会「フィラデルフィア・ディスタンス・ラン」は、2021年の秋からノンバイナリー部門を設立しました。これまで男女別に分けられてきたマラソン大会(ロードレース)において、アマチュアからエリートまでノンバイナリー部門が設けられたのは全米初でした。男性・女性・ノンバイナリーの3部門において、それぞれの勝者に同等の賞金が授与されるそうです。
2022年には同様にボストンマラソンもノンバイナリー部門を新設しています。
参考記事:
サッカー女子ワールドカップ史上初 トランスジェンダー選手が出場(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_64c082ebe4b08cd259dde17d
快挙!ノンバイナリー系トランスジェンダー選手がマラソン大会で優勝(COSMOPOLITAN)
https://www.cosmopolitan.com/jp/trends/society/a44498484/nikki-hiltz-dedicates-usatf-championships-win-to-transgender-supporters/
歴史あるマラソン大会でノンバイナリー部門が設立へ、全米初(PRIDE JAPAN)
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2021/6/21.html
ボストンマラソンが「ノンバイナリー部門」を新設(TABI LABO)
https://tabi-labo.com/304708/wt-boston-nonbinary