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経産省トランス女性職員訴訟の最高裁判決を受けて、当事者団体が声明を発表
昨日、経済産業省に勤めるトランス女性の職員が、職場の女性用トイレの使用を制限されているのは不当だとして国を訴えた裁判で、最高裁が職場のトイレ使用制限は不当で違法だとの判断を示しました(高裁判決を覆すもので、原告が逆転勝訴しました)。これを受けて本日、Transgender JapanやLGBT法連合会といった当事者団体が歓迎の声明を発表しました。そのほか、識者のコメント、新聞社の社説などもご紹介します。
Transgender Japanは最高裁判決を歓迎する声明を発表しました。
「本件は、経済産業省に勤めるトランスジェンダー女性(以下:トランス女性)職員が、勤務するフロア及びその上下階合わせて3フロアの女性トイレの使用を制限する人事院判定は違法だとして国を訴えた裁判です。判決は、裁判官5名全員一致で人事院判定のうち、トイレの使用制限に関する部分について、判定前後の事実経過を踏まえて「裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法」と判断する内容でした。TransgenderJapanはこの判決を歓迎します。
判決文の後半部分には各裁判官の補足意見が記載され、総ての裁判官が「自認する性別に即して社会生活を送る」ことを「重要な利益」「切実な利益」と位置付けています。その上で、その他の女性職員が抱くかもしれない違和感・羞恥心等を考慮した「激変緩和措置」として、一定期間の区別的取り扱いについては合理性を認めています。ただし、「誤解に基づく不安などの解消のためトランスジェンダーの法益の尊重にも理解を求める方向で所要のプロセスを履践することも重要である」と明記され、トランスジェンダーについての理解を増進することを目的とした研修や教育の実施、及び、区別的取り扱いの軽減・解除が期待されています。だからこそ、その一切を行わずに区別的取り扱いを続け、当該トランス女性職員に性別適合手術の推奨を反復するばかりだった本件について「一方的な制約を課すものとして公平性を欠くものといわざるを得ない」と結論づけられました。これらの補足意見は、この判決を個別事案に対する判断から共生の考え方の標準へと昇華する役割を果たしています。
さらに、宇賀克也裁判官の補足意見は「身体への侵襲が避けられず、生命及び健康への危険を伴うものであり、経済的負担も大きく、また、体質等により受けることができない者もいるので、これを受けていない場合であっても、可能な限り、本人の性自認を尊重する対応をとるべきといえる」と、性別適合手術、ひいては「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が規定する性別変更要件のあり方についても大きく踏み込んでいます。
現在、LGBTQ+とりわけトランスジェンダーに対する「感覚的・抽象的」な差別言説が吹き荒れ、立法府においてさえ、その不利益が著しく軽視される傾向があります。性別変更要件のうち手術要件についての最高裁大法廷憲法判断をはじめ、今後相次ぐであろうLGBTQ+の人権に関わる法的な判断においても、本件に倣った真摯な検討がなされることを司法に望みます。合わせて、立法やその運用場面において、このような司法判断が活かされることを望みます。
最後に、本件を提訴し、トランスジェンダーへの差別や偏見に立ち向かってきた原告であるトランス女性職員の方に敬意を表します」
LGBT法連合会も「経済産業省におけるトランスジェンダーの施設利用に関する最高裁判所の判決についての声明」を発表しました。
「2023年7月11日、最高裁判所(以下「最高裁」)は、経済産業省(以下、経産省)の職員が性自認に基づいた女性トイレの利用を制限されたことについて、国を相手にそれらの取消し等を求めた裁判において、制限を是認した人事院の対応を違法であると判断した。判決は、人事院の判定は、具体的事情を踏まえることなく、当事者ではない職員に対する配慮を過度に重視し、当事者の不利益を不当に軽視したものであり、著しく妥当性を欠くとした。具体的事情に即し、当事者の不利益を不当に軽視しない本判決を、当会は評価するものである。
2019年の東京地裁判決では、本件の個別具体的な状況を踏まえれば、「トイレの利用制限」は重要な法的利益を制約するものであり、違法であると判ずると同時に、トイレの利用制限等の理由に関する経産省の主張について「抽象的なもの」にとどまると示した。その後、2021年5月27日の東京高等裁判所では、経産省は、他の女性職員の性的羞恥心や違和感を考慮し、原告を含む全職員にとっての適切な職場環境を構築する責任を負っており、それを踏まえた上で当該職員に下された女性トイレ使用に関する制限は、人事院の裁量権の範囲を逸脱し、またはその濫用があったとはいえない、と判断していた。これを最高裁は、是認することはできないとし、原告の日常的な不利益や、具体的事情に即して、人事院の判断は著しく妥当性を欠いたものであるとした。
一方、今回の判決に対して、インターネット・SNS上などでは、まさに「具体的事情」を踏まえず、補足意見でも言葉として挙げられているような「感覚的」「抽象的」に捉える議論が横行しており、甚だ遺憾であると言わざるを得ない。補足意見で指摘されている通り、「個人がその真に自認する性別に則した社会生活を送ることを尊重することは重要な法益」であることは強調しすぎることはない。仮になんらかの調整が必要なケースにおいても、当事者の利害を軽視せず、客観的かつ具体的に調整が図られるべきである。
人権救済の最後の砦たる最高裁の判決は、性自認をめぐる歪められた認知や、トランスジェンダーに対する偏見やバッシング、また多くがそのような誤った認識に基づくと受け止められるLGBT理解増進法案の審議過程での質疑を踏まえると、あらためて意義あるものであると評価できる。今回の判決から、今後の「理解増進法」の運用にあたっても、当事者の具体的事情に即し、感覚的、抽象的な議論を排した上で、当事者の被る不利益や困難と真摯に向き合った議論が、より一層求められるようになった。当会は引き続き各方面の関係者・関係団体と共に議論を重ね、一人ひとりの性自認に基づいた人生において、多様性を尊重する共生社会の実現に向けて、人権が保障、確立されるよう取り組みを進めていく」
【追記】2023.7.14
東京レインボープライドも声明を発表しました。
「2023年7月11日、経済産業省に勤務するトランスジェンダー女性の職員が、省内の女性用トイレの使用を制限されているのは不当だとして国を訴えた裁判で、最高裁判所は5名の裁判官全員一致の意見として、トイレの使用制限を認めた国の対応は違法だとする画期的な判決を言い渡しました。逆転勝訴となった判決はもとより、後半部分で5人の裁判官全員が付けた補足意見も非常に重要な指摘です。
いずれの裁判官も補足意見において、「自認する性別に即して社会生活を送ること」が、「取り分けトランスジェンダーである者にとっては、切実な利益」であり「法的に保護されるべきもの」と認めた意義はとても大きいと考えます。また、その上で、宇賀克也裁判官が、「性別適合手術は、身体への侵襲が避けられず、生命及び健康への危険を伴うものであり、経済的負担も大きく、また、体質等により受けることができない者もいる」とし、手術を受けない場合でも「可能な限り、性自認を尊重する対応をとるべき」と指摘した点もとても重要です。というのも、先進国では手術の有無にこだわらず、本人の意思を尊重した性別移行が認められており(※)、未だ戸籍上の性別変更に手術要件を課している日本の法律は、人権侵害であると世界から厳しい指摘を受けています。それでもなかなか変わらない日本社会の現状がある中で、今回の判決は日本の戸籍上の性別変更要件の見直しに大きく繋がると考えるからです。
(※世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第11版(ICD-11)が「性同一性障害」を精神疾患の分類から除外したことで(2022年1月発効)、トランスジェンダーの概念は世界的には「脱病理化」へと向かっている)
さて、昨今のトランスジェンダー女性へのバッシングには、激しい憤りを感じざるを得ません。「心が女だと言えば、誰でも女性用のトイレや風呂に入れるようになる」「トランス女性はただの変態」などといった悪質なデマや誹謗中傷が、SNS上を中心に横行しています。先般の「LGBT理解増進法」成立の過程ではさらに激しさを増し、今も続いています。これらはまさに、今回の補足意見の中で出てくる「感覚的かつ抽象的」な言説であって、そのような「具体的かつ客観的」ではない曖昧な言説によって、不安を煽るようなヘイト(憎悪表現)を不特定多数に向けて発信する行為などあってはなりません。今後は、このような状況を改善していくためにも、施行されたばかりの「LGBT理解増進法」を、当事者の実態を踏まえて運用していくことが重要だと考えます。
今回はあくまでも個別のケースにおける判決ではありますが、このような事例の積み重ねによって、また、社会的な議論や理解の広がりによって、良い形での合意形成がなされていくことを希望します。
最後になりましたが、7年以上にもわたり尽力され、この歴史的な判決を引き出した、原告や弁護団をはじめとする関係者の皆様に感謝と敬意を表すると共に、多様な誰もが尊重される社会の実現を目指して、弊団体もこれまで以上に日々の活動に邁進していく所存です」
弁護団の一員である山下敏雅弁護士は、以下のように語りました。
「私が最も感銘を受けた補足意見は、渡邉惠理子裁判官の意見(林道晴裁判官も同調)の、次の部分でした。
「女性職員らの利益を軽視することはできないものの、上告人にとっては人として生きていく上で不可欠ともいうべき重要な法益であり、また、性的マイノリティに対する誤解や偏見がいまだ払拭することができない現状の下では、両者間の利益衡量・利害調整を、感覚的・抽象的に行うことが許されるべきではなく、客観的かつ具体的な利益較量・利害調整が必要であると考えられる」
「具体的」というのが、今回の判決の一番のキーワードでした。
最高裁は、弁論を開くことを決定した際、国に対し、人事院判定の違法・適法の論点について「事案に即した具体的な主張をするよう求める」という期日外釈明を行っていました。
そして昨日の判決は、法廷意見(判決理由のメイン)の最後に、「上告人に対し、本件処遇による上記のような不利益を甘受させるだけの具体的事情は見当たらなかったというべきである」、「本件判定部分に係る人事院の判断は、本件における具体的な事情を踏まえることなく他の職員に対する配慮を過度に重視し、上告人の不利益を不当に軽視するものであって、…著しく妥当性を欠いたもの」と、「具体的(な)事情」という言葉を二度も使っています。
ある一人の人生・生活を、多数の者のぼんやりした不安感を理由に、押しつぶしてはならない。
きちんと具体的な事情から出発して考えなければいけない。
これは、性的少数者に限らず、ハンセン病、HIV、外国籍、精神障害……あらゆる少数者・差別の問題に共通する、重要な指針です。
性的少数者に対するバックラッシュが激しくなりつつある今、最高裁がこの重要なメッセージをしっかりと出したことに、大きな意義があると感じています」
(なお、弁護団は、山下弁護士と永野靖弁護士、立石結夏弁護士、原島有史弁護士の4名でした。2015年から約8年間にわたって原告の方を支援してきたみなさん、本当におつかれさまでした)
コマニー、LIXILと共同で「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」を立ち上げ、「トイレ利用は、人間の尊厳にもかかわる人権のひとつである」という認識のもと、「性自認に関わらず、利用しやすいトイレのあり方」を追求し、すべての人々のトイレ利用に関する人権が尊重される社会環境実現の一助となることをめざしてトイレのオールジェンダー利用に関する意識調査を実施した金沢大の岩本健良准教授(ジェンダー学)は、「他の先進国では、国が職場での性的少数者への差別を禁じ、対応を制度化している。日本とは大きな格差がある」と指摘したうえで、判決について「性自認に沿って職場で過ごすことが重要な利益と明示された。基本的な対応の在り方の方向性を示した」と評価しました。昨年のトイレ利用の意識調査では、トランスジェンダー325人のうち、本当は男女別を使いたいのに共用を使うなど、希望とは異なるトイレを使用しているとの回答が約4割に上っていました。岩本准教授は「性的少数者について受け止め方の幅はあるが、企業は研修や相談窓口を設けることで、環境を整備する必要がある」と述べました。
最高裁は年内にも、トランスジェンダーの戸籍上の性別変更に不妊手術を事実上の要件とする現行法の規定について、憲法判断を示す見通しですが、岩本准教授は「国際的な人権水準を意識して向き合ってほしい」と求めました。
プライドハウス東京やMarriage For All Japan、LGBT法連合会などで活動してきたトランス女性の時枝穂(みのり)さんも判決を歓迎しました。「最高裁は性別適合手術の有無にとらわれず、トランスジェンダーの生活実態を踏まえた判断をしてくれた。雇用する側は当事者の受けている不利益を認識したうえで、対応を見直してほしい」
北海道新聞は、道内の当事者の声を伝えてくれました。
トランス女性の小鳥遊(たかなし)シオンさん(網走市在住)は、「職場のトイレは公衆トイレと違い、利用頻度が高い。上告した職員は不利益を被っている。性的少数者の人権を尊重しようという流れを後押しする画期的な判断だ」と語りました。小鳥遊さんは、普段は男性用トイレの個室を使っていますが、職場と話し合い、来客がない時は来客専用トイレを使っています。ほかに、会社側から「更衣室にカーテンの仕切りを設けては」と提案を受けて協議するなど、職場環境の改善を協力して進めています。「判決が契機となり、より性的少数者が生きやすい世の中になってほしい」
「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟弁護団の加藤丈晴弁護士(札幌市在住)は、「性的少数者をめぐる他の訴訟に直接的な影響があるとは考えていないが、多様性を尊重する最高裁の姿勢は喜ばしい」と評価しました。「最高裁は『共生社会の実現に向けて、性的少数者それぞれの事情を丁寧に考えていくべきだ』とのメッセージを、われわれに突き付けている」
識者のコメントをご紹介します。
専修大法学部の長谷川聡教授(労働法)は、「職場において、一人一人の性自認が尊重されるべきだとした地裁判決を最高裁が実質的に支持したといえ、社会への影響は大きいと考えられる。今後、さまざまな場面で性自認をめぐる企業や組織の対応の一つの指標になる可能性がある」と述べました。「高裁判決と大きく異なるのは、トランスジェンダーの原告が置かれた状況に寄り添い、個別の事情をより詳細に検討した点だ。具体的なトラブルがなかったにもかかわらず、対応を見直すことなく放置し続けたことにも問題があったと結論付けた」「性自認にはさまざまな形があるが、今回の事例のように、職場においても男女いずれかに区分される場面は多い。個々の性自認を尊重し、誰もが働きやすい職場環境を確保するためには、企業や組織が少数派の声にも耳を傾け、負担が一方に偏らないように調整していくことが重要」
県立広島大の岡田高嘉教授(憲法学)は、「補足意見は性自認に沿った社会生活を送ることは重要だという点で共通している。性的少数者の差別解消の第一歩として、職場のトイレ利用に最高裁が判断をしたことに大きな意義がある」と評価。「性的少数者はひとくくりにされがちだが、それぞれ抱えている悩みや問題は違う。雇用者側は当事者の話をしっかり聞いて、真摯に対応することが必要だ」
それから、最高裁でこのような判決が出てもなお、一部の国会議員が「性同一性障害の人と、わいせつ目的の侵入者を見分ける基準はあるのか。女性スペースにおける安全・安心は重要だ」などと主張していることに対して、高千穂大の五野井郁夫教授(国際政治学)は、「糾弾すべきは『性別を偽る犯罪者』でトランスジェンダーの当事者ではない。あえて混同しているのなら、それこそ理解増進法にも明記された〈あってはならない〉〈不当な差別〉です。立法府の一員が司法判断をおとしめるのは許されませんし、約8年の法廷闘争の末に原告が勝ち得た権利を尊重すべきです」と批判しています。
新聞でも早速、社説が上がっています。
朝日新聞「(社説)性自認と職場 少数者守る環境 整えよ」では、昨日の判決を「本人が自認する性別で働くという意思を尊重し、職場の環境をととのえる。その大切さを示す判決」だと評価し、「民間企業も含め、さまざまな職場で共有すべき判断だろう」と述べられました。「以前から知る人の社会的な性が変わることに当初、戸惑いや違和感をもつのも自然なことで、雇用者側による当事者と周囲の人たちの利益の調整は欠かせない。ただ、抽象的な不安にとらわれるべきではない。性的少数者への無理解や偏見があるなか、女性トイレの使用にあたっては、認めることで他の女性職員は何を失うのか、具体的、客観的に検討することが必要だと、渡辺恵理子裁判官は補足意見で指摘した。男女別の更衣室、健康診断などにどう臨むか、どの範囲の上司・同僚まで伝えるべきかなどで悩む人たちもいる。当事者をとりまく実情を理解し、受け止める社会を築いていきたい」
毎日新聞「(オピニオン)経産省のトイレ制限 性自認の尊重求めた判決」は昨日の判決を「職場で日常的に受けている不利益を重く見て、性自認を尊重するよう求めたものだ」とし、金沢大などが昨年実施した調査の結果や、国際基督教大がオールジェンダートイレを設置した事例などにも言及しながら、「ただ、こうした取り組みは途上である」「先の国会で、性的少数者への国民の理解増進を目的とする法律が成立した。だが、誰もが生活しやすい環境づくりはこれからだ。偏見や差別をなくし、多様性を尊重する社会にしていかなければならない」と訴えました。
東京新聞「<社説>性自認とトイレ 個人の尊厳守ってこそ」は、「性的少数者(LGBTQ)の尊厳を守るのは当然で、社会も対応を急ぐべきだ」「性的少数者に対する国民意識は急速に変わっている。戸籍上の性と一致しない性で生きるトランスジェンダーが、本人が自認する性のトイレ使用を選択できるようにすべきはもはや自明の理だ」として判決を評価し、「トランスジェンダーが自身の性自認に沿ってトイレを利用することについて、肯定的な意見が七割を占める意識調査もある。多様性を尊重する共生社会こそ目指すべき方向である。本人の性自認を最大限尊重することを明確にし、性的少数者の尊厳を傷つけるような対応は排除する。こうした取り組みを重ね、差別のない社会を一刻も早く実現したい」と訴えました。
【追記】2023.7.13
地方紙でも今回の判決を受けての社説が掲載されています。
琉球新報「<社説>トイレ制限違法判決 多様な性との共生契機に」では、「さまざまな性を自認する人々と共に生きる社会の在り方を考える契機としたい」「この判決の意義は経産省内にとどまるものではない。さまざまな性自認を持つ人々が暮らしやすい社会を目指す上で重要な提言がなされていると言えよう」「トランスジェンダーに対する偏見を払拭するのは容易ではない。さまざまな意見の衝突も存在する。丁寧な議論を通じて克服しなければならない。今回の最高裁判決を、性多様性を尊重する社会を目指す歩みの指標とすべきだ」と述べられました。
山陰中央新報の論説「性自認とトイレ制限 意識改革を強く促した」では、「近年、少数者の認知度は高まり、同性婚を認めていない現行制度を「違憲」「違憲状態」とする地裁判決が相次いだのは記憶に新しい。またトランスジェンダーを巡っては、性別適合手術を性別変更の要件としている性同一性障害特例法の規定について最高裁大法廷が憲法判断を示す見通しで、合憲とした判例が変更される可能性もある」「だが国会では、少数者の権利保護に向けた議論は遅々として進まない。トランスジェンダーの4割以上は職場で使いたいトイレを利用できないとされ、そのような厳しい現状に国会は正面から向き合う必要がある」と述べられました。
中国新聞「<社説>トイレ制限訴訟 性自認、尊重できる社会に」では、「社会に欠かせないのは、性的少数者に寄り添う人権意識だろう」「にもかかわらず、先月成立したLGBT理解増進法の国会審議では偏見や誤解の根深さが散見された。「体は男でも自分は女だから女子トイレに入れろとか、ばかげたことが起きている」「女性の権利侵害は許されない」といった発言は、まさに無理解がなせるわざに違いない」「性的少数者の人権を尊重することと、防犯の問題をひとくくりにするのは、人権への配慮を欠いた乱暴な議論ではないか」「政府は社会全体で性自認の尊重についての議論を深め、合意形成を図る努力を積み上げる責務がある」「欧米に比べ、性的少数者のための仕組みづくりが遅れているのはまぎれもない。その現状に警鐘を鳴らす最高裁判断から政府は目をそらしてはならない」と述べられました。
参考記事:
「性自認は個人の尊厳」と明示 最高裁判決に識者評価―トイレ制限訴訟(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023071101063
トイレ制限訴訟 「私は女性」闘った8年 逆転勝訴、原告「満足」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230712/ddm/041/040/053000c
道内性的少数者「画期的な判断」 トイレ制限訴訟、最高裁が国に違法判決(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/876214/
論点 「性自認尊重、一つの指標に」専大・長谷川聡教授(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20230711-SZIUJQM25VO7HM7FZKBDBGGJIU/
性的少数者への理解促す 5判事全員、補足意見 トイレ制限、認めず(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230712/ddm/003/040/132000c
女子トイレ利用制限は「違法」と最高裁判断も…消えない保守系議員の性的少数者への差別意識(日刊ゲンダイ)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/325899/
(社説)性自認と職場 少数者守る環境 整えよ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15685276.html
経産省のトイレ制限 性自認の尊重求めた判決(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230712/ddm/005/070/127000c
<社説>性自認とトイレ 個人の尊厳守ってこそ(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/262542