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愛知・大村知事、事実婚のカップルにも婚姻に準じた法的保護を与える制度の新設を国に要請する意向
愛知県の大村秀章知事は19日、子どもの共同親権を認めるなど、同性、異性を問わず、事実婚のカップルにも婚姻に準じた法的保護を与える制度の新設を国へ要請する考えを表明しました。記者会見で知事は、「少子化対策を講じるなら、ここに踏み込まないと」と述べました。今月下旬に山梨県で開かれる全国知事会で説明し、他の都道府県知事にも賛同を呼びかけるそうです。
大村知事は事実婚のカップルについて「生まれた子は原則として母親の単独親権となるなど、親子が不安定な状況に置かれる」と指摘、子を持つことをあきらめざるをえない実態もあると説明しました。同居カップルが届け出れば法律婚と同様の社会保障を受けられるフランスの「PACS(民事連帯契約)」※を参考に、「日本版PACSと言えるような制度の創設を県から国に働きかけていきたい」と述べました。
※PACSはもともと婚姻から排除されている同性カップルのために作られた準婚姻制度であり、共同親権だけでなく、財産分与、税制上の優遇、被保険者の受給権、出産や子どもに関する家族手当、パートナーが亡くなった際の住居の継承など、婚姻に準じる様々な権利が認められます。
民法では、事実婚の夫婦から生まれた子どもは原則、母親の単独親権となり、父子関係を生じさせるためには父親の認知が必要です。認知をした場合でも父親は親権を行使できず、子どもの財産の管理ができないなどの不都合があります。
8月以降、法務省などに要請書を提出する予定で、出生届の嫡出子/非嫡出子の記載覧の廃止など婚外子差別につながる法制度の見直しも提案します。事実婚カップルでもパートナーの入院・手術の同意が認められたり、生命保険の受取人になれるよう、社会的な理解を促す取組みも求めるそうです。
(同性パートナーシップ証明制度を導入している自治体のなかには、事実婚カップルの制度利用も認めているところもありますが、まだ一部です。証明書があれば、公立病院でパートナーの入院・手術の同意なども認められたりしますが、実際には「親族じゃないと…」と断られるケースもあります。そういう意味で、きちんと法律で保障されたほうがいいですよね)
もし今回要請される制度がPACSと同様の内容であり、国が(同性カップルを排除せずに)これを認めた場合は、事実上、同性パートナー法ができることになります。(もちろん婚姻平等ではありませんし、決してゴールではありませんが、同性カップルが一定の権利を得られることになります)
行方を見守っていきましょう。
参考記事:
事実婚でも結婚に準じた法的保護を 愛知・大村知事が国に要請へ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR7M5TW4R7MOIPE009.html
「事実婚カップルの子にも法的保護を」 愛知知事、国に要請へ(毎日新聞 / 共同通信)
https://mainichi.jp/articles/20230719/k00/00m/040/357000c
事実婚の子にも法的保護を(大阪日日新聞)
https://www.nnn.co.jp/articles/-/96374