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インドで最高裁が同性婚について審理中、社会も変わりつつあります

 タイネパールに続き、インドでも同性婚法制化の可能性が見えてきたというニュースをお伝えします。
 昨年末、インド最高裁が同性婚を認めるべきかどうかについて審理することになりましたとのニュースをお伝えしていました。歴史的な最高裁審理は今年4月に始まり、社会にも影響を与えています。判決は年内に下される見通しですが、具体的な期日はまだ発表されていません。

 こちらに請願を提出したゲイカップルをフィーチャーした記事が掲載されています。プリヨ・チャクラバルティさんとアブヘイ・ダンクさんは、2012年からおつきあいしていましたが、スプリヨさんがコロナで重症になり、病院のベッドや救急車もない状態を体験し、「人の命はもろい。もし愛する人に何かあったら、どうなるのか」と強く考えたそうです。2021年、お二人は結婚式を開き、地元メディアなどで報じられると、大きな反響を呼んだそうです。「あなたは私に人を愛する方法を教えてくれました」というメッセージも届きました。2022年11月、お二人はこの結婚を法的なものにしたいと、最高裁へ請願を出しました。他の同性カップルも、各地で多くの請願を提出しました。「この旅は、私たちの権利や幸せのために始まった。でもそれがもし他の人を鼓舞したのなら最高だ」と感じたそうです。「私たちはこの国や司法制度に大きな信頼を寄せている。二人で、よりいい太陽を見られるように祈っています」
 
 最高裁の審理が始まると、LGBTQのお見合いサービスを手がけているカマクシ・マダンさんのもとに、息子の未来の配偶者を見つけてほしいという親たちからの問合わせが寄せられるようになったといいます。(保守的な)バックグラウンドを持つある父親から電話で「私の娘のためにどうか花嫁を探してくれ」と言われたこともあるそうです。
 
 インドの風習では結婚式には多額の費用がかけられ、何日間も続くそうです。金融会社リライアンス・マネーによると、インド人は生涯で稼ぐ富の実に2割を結婚関係の費用に充てており、業界の規模は1兆ルピー(120億ドル)に達します。

 しかし、インド政府は同性婚を法的に認めることに反対の立場で、裁判所に提出した書類の中で同性婚は「この国の社会倫理からかけ離れた都市エリート主義の概念だ」と主張、人間関係に法的承認を与えるのは司法ではなく、「本質的に立法府の機能だ」と訴え、同性婚を認めないよう最高裁に促しているそうです。
 インド最高裁のチャンドラチャド長官は4月20日の審理で、インドは同性愛に関して「憲法的にも社会的にも、すでに中間段階にきている」とし、同性愛は「単なる肉体的な関係としてだけではなく、より安定した感情的な関係として捉えている」と述べています。
 いまでもインド社会では、同性愛はタブー(禁忌)とみなされていますが、人々の姿勢は変わりつつあります。ピュー・リサーチ・センターが6月に公表した調査では、インドの成人の53%は同性婚の法制化に賛成しています。
 
 同性カップルのために伝統的なヒンドゥー教の結婚式を執り行なっているサンスクリット学者のサイラブ・ボンドレさんは、「多くのヒンドゥー聖職者は実際には同性結婚式を執り行なうことに反対ではないが、それによって聖職者の世界でつまはじきにあうことや、異性の結婚式に呼ばれなくなることを恐れている」と語ります。同性婚が実現することによって、そうしたヒンドゥー聖職者にも安心感を与えられるとボンドレさんは見ています。自身も当事者であるボンドレさんによると、多くの同性カップルはインドの一般的な文化的風習に従って、伝統的で宗教色のある結婚式を行ないたがっています。「われわれは、自分たちの親戚や友人(のカップル)が互いに愛を確認しているのを見ている。同じようにするのが私たちの夢だ」

 LGBTQ向けの婚活アプリを開発したサミア・スレージェスさんは、最高裁が同性婚をめぐる審理を始めたことで、インド全土のLGBTQの間で、カミングアウトし、生涯寄り添う相手を探す動きが加速していると語っています。4月18日の審理開始以降、このアプリの1日当たりダウンロード数が2倍になったそうです。「毎日100人余りの新規登録がある。われわれは以前より広告費を減らしているのに」
 スレージェスさんは、最高裁判決で同性婚が認められたらメンバーになろうと待ち構えている人々が何百万人もいると見ています。

 もしかしたらアジアで2番目の同性婚承認国は、タイでもネパールでもなく、インドになるのかもしれません。
 


参考記事:
アングル:印で同性婚合法化も、結婚産業に追い風 変わる社会認識(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/india-society-idJPKBN2YN05D

インド同性婚の合法化なるか、最高裁で審理 「この国を信じる」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR4P5T17R4MUHBI02P.html

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