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ネパール最高裁が同性婚の法制化が実現するまで暫定的に婚姻登録を認めるとの裁定を下しました

 ネパール最高裁のTil Pradad Shrestha裁判官が6月28日、政府に対してセクシュアルマイノリティのカップルの婚姻登録に対応するよう求める裁判所命令を下しました。政府が結婚を異性に限定する現行の民法を改正して同性婚を法制化するまでの間、同性カップルの婚姻登録を暫定的に認めるよう求める措置です。
 
 オープンリーゲイの活動家で前国会議員のスニル・パント氏は、「みんな喜んでいる。大急ぎで生まれた村に戻り、結婚のための書類を集めている」「一緒に生きてきた人たちにとって、偉大な勝利だ。実際問題として、結婚の登録ができ、すぐに権利が行使できるようになる」「これは本当に重要だ、なぜなら同性カップルが法的に承認されたカップルとして生きていけるようになるからだ」と語りました。彼は200組のカップルが来月結婚するだろうと見ています。
 
 Surendra PandeyさんとパートナーのMaya Gurungさんは、ついに結婚の登録ができるようになったと喜んでいます。二人は6年前にヒンドゥー教の寺院で結婚式を挙げていて、僧侶が伝統に則って式を挙げ、友人や家族が参列したそうです。しかし、法的な結婚証明書はもらえていません。
「喜びで圧倒されています。この裁定、この日は私たちのコミュニティにとっての記念日です」とGurungさんは語りました。「この裁定は、私たちがこの国で平等な市民だということを保証してくれました」
 二人はしかし、法改正が実施されるまでこの活動は続きますと述べました。

 ネパールの最高裁は、広くLGBTQの権利を認めてきました。
 2007年、最高裁は政府に対して、LGBTQを支援する施策を行なうよう求めました。そのなかには同性婚法の準備する委員会の結成を要請し、ノンバイナリーの人々がパスポートや公的書類でサードジェンダーの表記ができるようにすることも含まれていました。2015年の新憲法では、性的指向による差別が禁じられ、LGBTQの権利が謳われました。
 同性婚については2015年、委員会が政府に対して同性婚の法制化を認めるよう勧めましたが、(政府や議会が動かず)実現を見ないままでした。今年3月、最高裁は、ドイツで結婚した同性カップルを認知するよう政府に求める裁定を下していました。

 今回の裁定で、事実上ネパールで同性婚が認められたに等しいと見る方もいらっしゃいますが、今回の裁定は一人の裁判官による「婚姻届の提出を受け付けるように」というものです。このあとアメリカブラジルのように最高裁が同性カップルにも婚姻を認める判決を出すか、民法改正が実現すれば、ネパールはアジアで2番目の同性婚承認国になったと言えそうです。しかし、歴史的な、大きな一歩であることは間違いありません。



参考記事:
Same-sex couples and LGBTQ+ rights activists in Nepal celebrate interim court ruling(CTV)
https://www.ctvnews.ca/world/same-sex-couples-and-lgbtq-rights-activists-in-nepal-celebrate-interim-court-ruling-1.6461069

Nepal’s Historic Achievement on Marriage Equality(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)
https://www.hrw.org/news/2023/07/05/nepals-historic-achievement-marriage-equality

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