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タイで下院第一党の党首が首相に選出されれば同性婚が実現しそうな見通しに
先月、バンコクで開催されたプライドパレードに下院総選挙で第1党となった前進党のピター党首も参加し、「政権を獲得すればすぐに同性婚の法制化を実現させる」と表明したことをお伝えしました。
毎日新聞が「タイで高まる同性婚法制化の期待 首相選出向け第1党党首が公約」との記事で、ピター党首と同性婚をめぐる続報的な記事を届けてくれました。
タイでは7月13日にも新首相が選出されるとのことで、5月の下院選で第1党に躍進した革新系野党「前進党」のピター党首が、プラユット政権を支持する議員が多数を占める上院の議員の承認も得て首相に選出されるかどうかに注目が集まっています。LGBTQや支援者は、ピター氏が首相になれば、同性婚が実現をするのではないかとの期待を込めて政局を見守っています。
前進党は野党8党による連立政権の樹立を目指しており、実現を目指す政策に関する23項目の覚書を他の7党と取り交わしました。LGBTQ人権擁護団体「FOR―SOGI」の法律顧問、ナイヤナ・スパプエン氏は、その2番目に婚姻平等の実現が明記された点を評価し、「前進党には当事者の議員もおり、我々との意見交換や勉強会での内容が法案にも反映されている」と語りました。
前進党は2020年、同性婚を認める内容の法案を国会に提出しました。一方、同性婚を認めない立場の与党側は、同性婚ではなく「シビルパートナーシップ法」を提出し、閣議承認しました(詳細はこちら)。両案は下院で審議入りしましたが、いずれも2023年3月の下院解散で廃案となりました。
下院選挙で前進党は、王室を中傷・侮辱した場合に禁錮刑を科す不敬罪の改正を訴えました。王室改革は国の根本を揺るがすタブーと言え、争点として注目されたため、同性婚の議論はかすんでしまったそうです。ナイヤナ氏は「同性婚の法制化は、世論の後押しもあり、不敬罪よりも他党の理解を得やすい。前進党にとっては実現することで政権担当能力があると証明する機会になる」と述べ、ピター氏が優先的に取り組むことに期待します。
野党8党の議席数は下院(定数500)で計312議席です。首相に指名されるためには上院(定数250)と合わせた計750議席の過半数に当たる376票が必要になりますが、2019年に当時の軍政が事実上任命した上院議員はプラユット首相らの意向を強く受けており、上院を切り崩すのは容易ではないと見られ、ピター氏が首相の座につけるかどうかは不透明だそうです。
ピター氏が無事に首相に選出されることを期待しましょう。そうすれば、長年の紆余曲折を経て、タイがアジアで2番目の同性婚承認国になることでしょう。
参考記事:
タイで高まる同性婚法制化の期待 首相選出向け第1党党首が公約(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230706/k00/00m/030/351000c