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元水曜日のカンパネラのコムアイさんや、徳川家康の末裔・家広さんが同性婚法制化に賛同
月曜日の石川大我参議院議員の国会での追及の後、政府や国会のなかでLGBTQ関連法整備について特に目立った動きは見られなかったのですが、メディア上では同性婚やLGBTQ差別解消の法制化を求める様々な記事が上がっています。まとめてご紹介します。
まず、一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さんがYahoo!で、石川大我議員の質問と総理の答弁についてまとめた記事を上げています。
荒井元首相秘書官の差別発言についてG7サミットで謝罪を、と求められながら、総理がそれを拒否した件について、先月7日、国連のドゥジャリク報道官が「事務総長は嫌悪(ヘイト)に強く反対しており、誰を愛し、誰と一緒にいたいかを理由に誰も差別されてはならない」と批判していること、先月来日したジェシカ・スターン米特使が性的マイノリティへの差別について「コミュニティの一部が疎外され、排除されるときはいつだって、私たち全員が傷つくのです」と語っていることなどを引用しながら、「岸田首相は「日本の実情を説明」というが、性的マイノリティの人権を守る法律が日本にはないという"実情"をわざわざ説明するのだろうか。このような状況で、元首相秘書官の差別発言について謝罪もなく、各国要人を招いたG7サミットを開催できるのか疑問だ」と述べています。
また、総理が「超党派議員連盟の議論の結果『理解増進法』が作られ、自民党で同法案の準備が進められている。理解増進法の成立にむけて、努力していくことが重要だと思っています」と答弁した件について、先月15日にエマニュエル駐日米国大使が記者会見で「性的マイノリティを保護するための『明確で曖昧さのない』法律を制定することを望んでいる」と述べ、この問題に関する岸田首相のリーダーシップに「完全な信頼を寄せている」と語ったことを挙げ、「G7サミットまでに世界から求められる法整備は、「理解増進」とお茶を濁すものではなく、差別を禁止したうえで適切な認識を社会に広げるためのものであることは明らかだ」と述べています。
同性婚について、総理は「一人ひとりの家族観、国民生活に関わる課題で、国会での議論、裁判の行方、自治体のパートナーシップ制度の状況を踏まえながら、議論を進めていくべき」と従来の答弁を繰り返し、石川議員が「議論する議論する議論する、という間に、私たちは死んでしまいます」「私はいつ、愛する人と結婚ができるのでしょうか?」と問うたことに対し、「社会の理解や議論の深まりによって結論を出していく、こうした取り決めの進み具合によって、時期が決まってくると考えます」と答えましたが、松岡さんは、どの世論調査を見ても、同性婚の法制化は賛成が多数で、反対を大きく上回っており、社会の「理解」はすでに広がっていると指摘しています。
8日にはジャーナリストの西村カリンさんが『ニューズウィーク』誌に、「「社会が変わってしまう」と答弁した岸田首相は、同性婚に本気で賛成なのか?」と題する記事を寄稿しました。たいへん鋭い
「岸田首相は、5月19~21日に行われるG7広島サミットの前に「LGBT理解増進法案」を成立させることを目指している。ただ自民党内の一部の反対により、内容は「LGBT差別禁止法案」になっていない。中身だけでなく、「理解増進」という表現もおかしい。いったい何を理解するのか。「LGBTQは普通ではない、異常だけど理解をいただきたい」と言っているように聞こえる。少なくとも別の言語に翻訳すると、そういうふうに聞こえてしまう。LGBTQへの差別的な姿勢や表現、暴言などを明確に禁止し、それは罪であると定める法案にしない限り、差別は許され続ける。つまり、昨年6月のG7の声明に背くことになる。日本の政府が海外に向けて言っていることと、国内の現実あるいは法律で定められていることが異なるのは問題だろう」
「フランスでは、2013年に同性婚が法的に可能になった。それ以前には反対派と賛成派の激しい議論があったが、国会でしっかり意見が交わされた上で法律が成立した。今も反対派はいるが、昨年の統計を見ると異性婚23万7000件に対し、同性婚は7000件だ。日本ではちゃんとした議論さえ始まっていない。その原因は、議論をしたくない自民党にある。というより、終わりのない中途半端な議論をずっとしていることにあるだろう。同性婚を認める法案が提出された上での議論ではなく、何となく意見交換をしているだけの議論が続いている」
「「社会が変わらない」ことを目的にするなら、日本の国民のために尽くしているとは言えないし、男女平等を目指しているとも言えない。誰もが同じ機会を得て、差別や暴力から保護されることに全面的に取り組むことも不可能だ」
また同日、朝日新聞の野平悠一記者が、公明党の山口代表とLGBTQの方たちとの意見交換会を取材したときのことを書いています。20歳のコウタロウさんという方が、「隣に住んでいるのもちょっと嫌」などの差別発言について言葉を絞り出し、「傷ついています。政治は何も変えられないと思ってます。でも、いま前にいてくれる。小さな声を聞いてください。差別を禁止してほしい。同性婚を認めてほしい」と訴えたそうです。
2021年のLGBT理解増進法案棚上げ以来の「この2年の空白を振り返るとき、当事者の苦しみや悩みは、選挙や連立の都合を考慮した政治の「不作為」が遠因ともいえる。すでに自民内からは4月の統一地方選への影響を考慮し、「党内を二分する議論を選挙前にするべきではない」と先送り論も浮上する。政党の事情を優先するのか、切実な小さな声に向き合うのか。政治の本気度が注目されている」と野平記者は述べていました。
BuzzFeedでは、「にじいろかぞく」が呼びかけている「#岸田総理に手紙を書こう」のことが取り上げられました。ママが二人、パパが二人といったレインボーファミリーのもとで育って子どもたちが、「ぼくのお母さんは2人います。産んでないほうのお母さんもぼくのお母さんです。かぞくにいれてください」「ママがふたりの家だけど、わたしもしあわせだし、ねこも犬もしあわせそうにいつもねてるし、ごはんもばくばく食べてます」「私は18年間、2人の母親に育てられました。2人の母を両親として尊敬しています。優遇してほしいとはいいません。ただ、他の家庭のように認めてほしいだけなんです」「ぼくのお母さんは2人います。2人はパートナーでおたがいけっこんしたいけど、日本のルールでできなくてかなしんでいます。日本のルールをかえて、どうせいこんをできるようにしてくれますか?してくれたらすごくうれしいです。産んでないほうのお母さんもぼくのお母さんです。かぞくにいれてください」といった手紙を書いています。
すでに同性カップルの親とその子どもたちは「家族」として生活していますが、同性婚が認められないため法的な家族になれず、不自由を強いられています。「にじいろかぞく」共同代表の青山真侑さんは、「子どもには日々、事故に遭わないように気をつけてと言い聞かせています。親として当然のことかもしれませんが、それだけじゃない。例えば我が子が交通事故にあったら、我が家では親の片方は手術の同意書が書けないんです。パートナーは、我が子が産まれた瞬間から一緒に子育てをしているのに、結婚ができないために親権を持っておらず、私のパートナーという形では子の手術の同意書が書けません」と語っています。「実際に、にじいろかぞくのメンバーでもそのようなケースを聞きました。その家族では、子どもが骨折をしたけど、産んだお母さんは出張中で、家にいたのは産んでない方のお母さんでした。産んだ方のお母さんが手術の同意書を書くためにダッシュで出張から帰ってきましたが、それまで数時間手術ができないまま子どもは待たされていたそうです」
婚姻平等(同性婚)は、ゲイやレズビアンのカップルが結婚できないということだけでなく、こうしてすでに家族として暮らしている子どもたちにも不自由を強いているのです。手術の同意などは命にも関わるような問題です。総理は「不当な差別であるとは考えていない」と述べましたが、子どもたちの声を、このような命にも関わるような実情を無視するのでしょうか、という話です。
同様に『AERA』でも「#岸田総理に手紙を書こう」のことが取り上げられました。
ゲイの父親をもつ50代の女性のお話が素敵でした。その方はシングルマザーで、子どもが小さかった頃、父親と男性パートナーにたくさん育児を助けてもらったといいます。「LGBTQの人たちは急に現れたわけではありません。うちの父も生まれてから80年以上、この社会でつつましく暮らしている。得体が知れないように感じる人もいるかもしれませんが、既にそこにいる人たちなので恐れることはない。当事者に合った行政サービスや制度を設けることが大事です」 彼女は同性婚の法整備をすることは「服のサイズがSとLしかない世界にMサイズをつくるようなもの」だと喩えました。「服のサイズがMの人たちは今、パツパツのSを着るか、ダブダブのLを着るしかない。そこで『自分たちに合うサイズの服がほしい』と主張すると『社会が変わってしまう』などと言われるのですが、MサイズができてもSやLの人の生活は何も変わりません。父たちにとっての同性婚はこれと同じこと。そばにいる者として、早く必要な制度を作ってほしい。そうすると、我々の親たちもにこにこして、気持ちよく過ごせるわけです」
それから、水曜日のカンパネラの元ボーカルでアーティストのコムアイさんが同性婚支持を表明しました。
10日、インスタグラムで妊娠を報告したコムアイさんは、パートナーの太田光海さんとは「籍は入れないつもりです」とコメントし、その理由について「日本の婚姻制度に同性婚と選択的夫婦別姓を求めます。多様な家族の形が存在する現代社会に柔軟に対応する制度であってほしいです」と語りました。(2011年にブラピとアンジーが「アメリカ全土で同性婚が認められるまでは結婚しない」と宣言したのを思い出しますね)
なお、水曜日のカンパネラは2019年のTRPのステージでスペシャルなライブを披露し、会場を盛り上げてくださいました(コムアイさんが歌ってくださっていました)
また、徳川家康の末裔である家広さんも、都内で開催された将軍・殿様サミットの中で、「私はやっぱり幸福追求権が一番大事だと思う。憲法が制定された当時は、結婚はだいたい親が決めていた。結婚は、本当は両人の同意に基づいて行うものだ。時代は変わった。最近、同性婚がらみでよく出てくるが、私はどんな形もありだと思う。幸福追求権中心に『好きな人と一緒にいたい』と思えば、それに尽きるのではないか」とコメントしました。(いまNHKで『大奥』のドラマも放送されていますけれども)徳川家という“伝統的”な家族観を重んじそうな方であっても、このように語ってくださっています。
著名人の方々の同性婚支持表明が続々と届きます。「社会は変わった」のだなと実感させられますね。
参考記事;
岸田首相 G7サミットでのLGBT差別発言への謝罪拒否(Yahoo!)
https://news.yahoo.co.jp/byline/matsuokasoshi/20230306-00340036
「社会が変わってしまう」と答弁した岸田首相は、同性婚に本気で賛成なのか?(ニューズウィーク)
https://www.newsweekjapan.jp/tokyoeye/2023/03/post-147.php
(取材考記)空白の2年 LGBT法案、政党事情優先か 野平悠一(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15576037.html
小学生の手紙は首相に届いた。国会答弁での返答は…。「岸田首相へ。ぼくのお母さんは2人います」子どもたちが手紙を書いた理由(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/letter-to-pm-photopost
ママが2人の家でしあわせです 側近の差別発言を経てLGBTQ家族の子どもたちが送った首相への手紙(AERA)
https://dot.asahi.com/aera/2023030700031.html
《関連》コムアイも報告!「身体全体が工事現場になったような感じ」(テレビ朝日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_geinou/articles/hot_20230310_160.html
徳川家康の末裔、家広氏「相続税に涙」「法事は年に20〜30回」 家系を継ぐ“当主”の役割とは?(ABEMA Prime)
https://times.abema.tv/articles/-/10070513