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難民認定のガイドラインが初めて策定、性的マイノリティへの迫害も難民に該当しうると明記されました
出入国在留管理庁(入管庁)は24日、難民認定手続きの透明化を目的とし、認定の判断のポイントを整理したガイドライン「難民該当性判断の手引」を初めて策定、そのなかで難民条約上の「迫害」について、LGBTQ(性的マイノリティ)やジェンダーに関連した迫害も難民に該当しうると明記されました。大阪地裁がウガンダから逃れてきた同性愛女性を難民と認定したこととも関連すると思われます。
日本の難民認定率は1%程度と低く、「審査が厳しすぎる」「手続きの公平性・透明性に問題があるのでは」と批判が強かったため、入管庁は国連難民高等弁務官事務所と意見交換するなどし、審査で考慮するポイントを整理した「難民該当性判断の手引」を策定しました。
難民条約は難民について「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団、政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあって他国に逃れた人」であると定義しています。今回のガイドライン(手引)では、迫害について「生命、身体、自由の侵害・抑圧、その他の人権の重大な侵害」を意味するとし、認定には「迫害を受ける現実的な危険が必要」だとされています。ただし、国家機関などの迫害主体が難民申請者を個別に把握していなくても「それだけで迫害のおそれがないとは判断しない」とのことです。
「特定の社会的集団」には性的マイノリティや、ジェンダーを理由として迫害を受けるおそれがある人も該当しうると記載されています。
斎藤健法相は24日の閣議後会見で「難民の定義が変更されるものではなく、範囲が広がるものでもない。ただし、ポイントが整理され、それを踏まえた申請が予想される。結果として迅速な認定につながるケースが増加していく可能性は考えられる」としています。
政府が今国会で成立を目指す入管難民法改正案は、難民申請中は不法残留者らの送還を一律に停止してきた規定の見直しが含まれ、「保護すべき人が送還されてしまう」「不適正な難民認定の実務を見直すのが先だ」と批判する声が上がっており、入管庁は手引を策定することで批判をかわす狙いもあると見られています。
一方、全国難民弁護団連絡会議は「迫害を受ける可能性が極めて高い者しか認定されないおそれがある」と手引の問題点を指摘し、「改善するためには難民認定手続きを入管庁から独立した機関で行なうことが不可欠」などとするコメントを出しました。
参考記事:
難民認定の手引を初めて策定「性的マイノリティー」理由も該当(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230324/k10014018161000.html
【速報】入管庁が日本での難民認定の「手引き」策定 “性的マイノリティやジェンダーに関する迫害”についても明確化(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/394820
難民認定「現実的な危険」必要=ジェンダー迫害も対象―入管庁、定義明確化へ初手引(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023032400360
難民認定、手引で基準明示 入管庁「人権の重大な侵害」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA23DBQ0T20C23A3000000/
難民認定、初の手引 LGBT・ジェンダー迫害明記 入管庁策定(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15591255.html