NEWS
立民福山氏がトランス女性バッシングについて政府に対応を求めました
「性的指向や性自認を尊重する(差別を禁止する)法整備が進むと、男性が“心は女性だ”などと言って女湯に入ってきても差別を理由に止められなくなる」などといった事実無根の言説が流布され、トランス女性に対する中傷が相次いでいることに対し、LGBT法連合会が16日、「デマが当事者の生活を脅かしている」「人々の不安をあおる議論は、性自認による差別と憎悪を助長するもので断じて容認できない」と抗議する声明を出しましたが、翌3月17日、立憲民主党の福山哲郎元幹事長が参院外交防衛委員会で「トランスジェンダーの女性が女湯に入ってくるといった無責任な中傷、誹謗が出ている」「性犯罪はそもそも誰であっても犯罪だ」と述べ、政府に対応を促しました。
LGBT法連合会の記者会見で当事者の方たちも述べていたように、こうしたバッシング(ヘイトスピーチ)はトランス女性を苦しめ、絶望させ、命をも脅かしています。このようなバッシング(ヘイトスピーチ)をやめさせるためにも、LGBTQ差別禁止法が必要ですし、今すぐの法整備は難しいにせよ、政府として、「男性が“心は女性だ”などと言って〜」といった話は事実無根であり、トランス女性への差別だと明言し、ヘイトをやめさせるよう呼びかけることはできるはずです。世間でデマを鵜呑みにする人が増え、差別やバッシングが横行するなか、福山氏のように命を守る対応を求めていくことは本当に重要だと言えます(もっと多くの議員が声を上げていただきたいです、喫緊の課題として)
福山氏はまた、同委員会で、日本政府が国連で「性的指向や性自認を理由とする差別を根絶するため、取り組みを進めていく」と公約しているにもかかわらず、差別解消法の整備を進めていないのは「ダブルスタンダードと言われても仕方がない」「意見表明に全く追いついていない。このギャップを埋めなければ公約違反だ」と批判し、法整備を進めるよう求めました。
林外相は「首相にしっかり伝える。首相も(国際社会での公約と国内の取組みのギャップについて)知っていると思う」と答弁し、差別解消法などの法整備に関しては「われわれとしてやるべきことをやっていく」とするにとどめました。
それから、G6とEUの7人の大使が連名でLGBTQの人権を守る法整備を促す書簡を岸田首相宛てに送った件について磯崎官房副長官は、「外交上の問題で信頼関係を損なう可能性もある」として正式に受け取ったかどうか明らかにしなかったそうです。
なお、参院法務委員会では石川大我議員が、7月に行われるG7司法相会合でLGBTQの人権問題をテーマに加えるべきではないかと質問し、斎藤健法相は「性的マイノリティの問題は重大な課題と認識している。検討していきたい」と答弁したそうです。
17日にはLGBTQに関する以下のようなニュース、記事もありました。
NHK福井が、ブラジル出身で福井県越前市で子育てをしている女性カップルに取材し、今の日本では「定住者」のパートナーは原則長期滞在可能である一方、子どもについては規定がないため、認められる滞在期間の今月を過ぎたら家族が一緒にいられる保証がない…という現実に直面していることを伝えていました。「結婚をめぐる制度が変わらなければ、これからもアナさんのような連れ子を抱える家族は大きな不安を抱えることになります。海外でも、日本でも変化していく結婚への考え方。今後議論が進むことに期待したいと思います」
専門家の見解が読める教養ポータル「SYNODOS」に「結婚の自由をすべての人に」訴訟の寺原真希子弁護士が寄稿し、これまでに判決が出た3つの訴訟で原告らが何を主張しているのか、婚姻の平等(いわゆる同性婚)がなぜ必要なのか、国はどう反論しているのか、そして裁判所はどのように判断したのかについて説明していました。
元文部科学次官の前川喜平さんは毎日新聞で岸田政権のこれまでを振り返り、「選択的夫婦別姓や同性婚を巡る問題でも、個々人の選択を認めない。これは一種の全体主義だと思います」と批判しました。
東京新聞は、24日からオンライン開催される「トランスジェンダー映画祭」を紹介していました。冒頭でお伝えしたようなトランスジェンダーへの攻撃が米国でどのように始まったのかを追ったドキュメンタリー映画『最も危険な年』をはじめ、トランスジェンダーの実情を知ることができる良作が上映されます。実行委メンバーでトランス男性の遠藤まめたさんは「国会でLGBT理解増進法案の議論が進むなか、映画と同じバッシングが日本でも展開されている」と指摘し、支援者として実行委に加わる奥川舞さんは「どの作品も、トランスジェンダーのリアルを知るために必見」と強調していました。
参考記事:
トランス女性への攻撃非難 立民福山氏、政府対応促す(共同通信)
https://www.47news.jp/news/9072237.html
日本政府のLGBTQ対応は「二重基準」 国連で「差別根絶に取り組む」と過去に約束 立憲が批判(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/238644
娘と一緒にいたいだけなのに(NHK福井)
https://www.nhk.or.jp/fukui/lreport/article/000/20/
「結婚の自由をすべての人に」訴訟(いわゆる同性婚訴訟)の現状と今後(SYNODOS)
https://synodos.jp/opinion/society/28695/
元文科官僚・前川喜平氏×寺脇研氏 どうする岸田政権(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230317/dde/012/010/013000c