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「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」が独自の民法改正案を発表しました

 公益社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」が3月15日、記者会見を開き、当事者や専門家らの意見をもとに作成した独自の民法改正案「婚姻平等マリフォー法案」を発表しました。現行法制度をそのまま同性カップルが利用できるようにするための最小限の改正になっています。

 
 記者会見では初めに、MFAJ共同代表である三輪晃義弁護士から同性婚法制化に関するよくある誤解や疑問について「論点整理」として説明されました。
1. 憲法改正は必要ありません
 憲法24条の「両性の合意」という文言が男性と女性を指していることから、憲法を改正しなければ同性婚ができないと主張する方もいますが、憲法では同性婚は禁止されていません、24条を含め、憲法には同性婚を禁止した条文は一つもありません。また、憲法に関するほとんどの学説で、憲法は同性婚を禁止していないとされており、裁判でも禁止されているとの判断はありません。法務省の見解も同様です。
 憲法制定当時、同性婚が想定されていなかったのだから、憲法を改正する必要があるという説について、裁判員制度や自衛隊も憲法制定当時、想定されていなかったが、法律ができていることを考えあわせても、端的に誤りであると言えます。
 過去80年、憲法は改正されていません。仮に改憲するとなると非常に長い道のりになります。
2. パートナーシップ法では不十分
 婚姻に似たパートナーシップ制度をつくればよいという考え方について。パートナーシップ制度では当事者の困りごとは解消されませんし、そもそも婚姻とは違う制度であり、同性カップルは異性カップルよりも劣った関係性であるというメッセージを国が発することになり、差別の維持や拡大につながってしまいます。夫婦とは違うパートナーシップ関係を新たに生み出すためには、これまで存在しなかった関係性の概念が新たに生じるため、混乱が起きないよう、国民に広く理解させるとなると、数兆円規模の予算が必要になると見られます。すでに存在する夫婦という枠組みを同性カップルにも適用すれば済む話です。
3. 社会は受け入れ準備OK
 時期尚早、まずは理解を、などという声も聞かれますが、社会の側の受け入れ体制はすでに整っています。世論調査でも6割7割の賛成という結果がたくさん出ており、若年層では顕著に高く、高齢層でも過半数であり、理解は十分増進していると言えます。
 
 続いて、同じく共同代表である寺原真希子弁護士から「婚姻平等マリフォー法案」の法案について説明が行なわれました。そのポイントを以下にお伝えします。
1. 性別にかかわらず結婚できることを明記
 婚姻の届出に関する民法第739条の「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」という条文を「婚姻は、性別のいかんを問わず、二人の当事者が戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生じる」と修正します。
2. 性別を明示する言葉をジェンダー中立的な言葉に置き換え
 「夫婦」とあるところを「婚姻の当事者」に、「夫」「妻」を「婚姻の当事者の一方」に、「父」「母」を「親」と置き換えます。
3. すでに養子縁組している同性カップルを救済
 これまで結婚の代替手段として養子縁組制度で法的な関係を結んできた方たちもたくさんいます。しかし、現行の民法では、一度でも養親子関係になったカップルは結婚することができません。そのため、養子縁組をしたことのある同性カップルであっても、この法律の施行日から2年間は結婚できるよう、「同性の当事者であってこの法律の施行前に当該当事者間で養子縁組をし、その後離縁をしたもの(この法律の施行前後を問わない。)は、民法第七百三十六条の規定にかかわらず、施行日から二年以内に限り、婚姻をすることができる」との特例を設けます。
 寺原弁護士は「マリフォー法案における民法の改正点は、単語の置き換えのみであり、複雑な調整を要しません。可及的速やかな法改正により、一日も早く婚姻の自由と平等が同性カップルに開放されることを心より願います」と語りました。

 会見ではさらに、立命館大学の二宮周平名誉教授(家族法)も参加し、海外でこれまで整備されてきた同性婚法や同性パートナー法について解説しました。
 これまでに婚姻平等(同性婚)を承認してきた34の国・地域は欧米が中心で、キリスト教による結婚の神聖視ゆえに同性婚への抵抗が根強かったものの、シビルユニオンなどの同性パートナー法の導入を経て、最終的には同性婚が認められてきた、オランダは世界で最初だったので、同性婚が社会的脅威ではないことを確認するプロセスが必要だった、といったお話でした。同性婚を認めたところで社会が変わるわけではないと認識されたことから、スペインやカナダなど、シビルユニオンを経ずに同性婚を導入した国も増えています。
 二宮氏は、世界のほとんどの国(台湾以外)の同性婚法制化は現行の婚姻制度を同性カップルにも拡張するかたちで進められてきたため、今回の「婚姻平等マリフォー法案」も妥当であると、また、日本には戸籍制度があるが、届出書式、戸籍の記載事項の修正で対応可能だとの見解も示しました。
 そして最後に「これまで、婚外子の相続分差別や、女性のみに課せられていた再婚禁止期間などが廃止されてきました。法律は現実に対応して、当事者の権利を保障するために変えていかねばなりません」と語りました。

 
 今回、MFAJが独自の民法改正案を発表するに至ったのは、2015年の「慎重な検討が必要」との見解以来、歴代の政権が8年間も同じ答弁を繰り返し、検討すらされてきませんでしたが、岸田総理は「議論が必要だ」と一歩踏み込んだコメントをしています、であれば、具体的な論点を示しましょう、資料は揃えていますよ、という考えからだそうです。
 今後、政府に届けるために調整しているところだそうです。
 法案の内容や現行法との対照表は、MFAJ公式サイトに掲載されています。
 

参考記事:
現行法の「夫婦」を「婚姻の当事者」に。同性婚実現に向け、弁護士らが“婚姻平等マリフォー法案”発表(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_64117c55e4b0bc5cb64d766c
「夫婦」を「婚姻の当事者」に置き換えて…同性婚の法制化求める団体が「民法改正案」公表(弁護士ドットコム)
https://www.bengo4.com/c_18/n_15759/

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