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　昨夜のニュースでお伝えしたように、荒井勝喜前首相秘書官による差別発言を受けて、松岡宗嗣さんら有志の方たちが5日夜、オンライン署名「更迭だけで終わらせない！ #岸田政権にLGBTQの人権を守る法整備を求めます」を立ち上げたところ、1日も経たないうちに2万5千通を超える署名が集まりました。（2月6日20時現在、2万6600筆超です）
　署名サイトでは、荒井氏の発言について「言い訳しようがない差別発言」だとし、「更迭によって、この問題を『幕引き』にしてしまえば、同じような差別がきっと今後も繰り返される」と指摘。日本がG7の中で、性的少数者に対する差別を禁止する法律や同性婚の制度がない唯一の国であることなどを挙げ、LGBT差別禁止法（性的指向や性自認に関する差別的取扱いを禁止する法律）や、同性婚（婚姻の平等）、法的性別変更に関する非人道的な要件の撤廃（性同一性障害特例法の改正または新設）について、早急な法整備の実現を求めています。
　


　それから、全国で「結婚の自由をすべての人に」訴訟を展開している「公益社団法人Marriage For All Japan」（以下MFAJ）のメンバーが本日、発言は当事者を深く傷つけるものだと抗議し、同性婚を認める法整備などを求める要請書を岸田総理大臣宛てに提出しました。総理大臣官邸を訪れ、森まさこ総理大臣補佐官が受け取りました。
　要請書では、荒井氏の発言について「性的マイノリティの存在を否定するに等しいものだ」と抗議し、そのうえで（1）同性婚を認めるように民法と戸籍法の改正に着手、（2）政府内に性的少数者の権利保障を検討するワーキングチームをつくって当事者や家族からヒアリング、（3）性的少数者の人権を専門に担当する首相補佐官を任命、（4）2025年の国勢調査で同性カップルの実態を把握することを求めました。
　MFAJ代表理事の寺原真希子さんは「性的マイノリティの存在を否定するに等しいもので、発言を聞いて死を選ぶほどに絶望した方がいる。政府は厳にことの重大性を自覚してもらいたい」と述べました。
　受け取った森氏は「官邸として申し訳なく思っている。岸田首相に伝える」と応じました。


　なお、本日、岸田首相が首相官邸で開かれた政府・与党連絡会議で、荒井前首相秘書の発言について、「不快な思いをさせてしまった方々におわびを申し上げる」と謝罪しました。首相は荒井氏を更迭した経緯に触れ、「引き続き、多様性を尊重し、包摂的な社会を実現する政府の方針を丁寧に説明していく」との考えを示し、「（発言は）全く政府の方針と反している。国民に誤解を生じさせたことは遺憾だ」と述べました。
　一方、松野官房長官も同日の衆院予算委員会で、謝罪したうえで、「発言は断じて容認できない。性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならない」と述べました。さらに、松野氏は同日の記者会見で同性婚制度に関し、「当事者から出来るだけ速やかに話を伺う場を設けたい」と述べ、政府としてLGBTQから意見を聞く考えを明らかにしました。「我が国の家族のあり方の根幹に関わる問題だ。極めて慎重な検討を要する」との考えも示しました。
　与党内では、2021年に「差別は許されない」と明記することで与野党が合意したものの自民党内で（「種の保存に背く」などの差別発言が出て）議論が紛糾し、国会への提出が見送られたLGBT理解増進法を、今回の件を機に法制化すべきだとの声が上がっていますが、自民・梶山幹事長代行は「（法制化は）現行の法制度を尊重しつつ、網羅的に理解増進を目的とした諸施策を講じることが必要だ」「周りの理解があってこそ包摂的な社会ができるものだと思っておりますので、その是非を含めた慎重な検討をしている」と消極的です。公明・山口代表は「自民党がもう少し積極的になることが国民の全体の意識を受け止めることに繋がるのではないか。まず、自民党が姿勢を整えるということが大事だ」として早期成立を目指す考えです。一方、SNS上ではすでに「理解が進んでいないのは与党の議員でしょう。成立させるなら差別禁止法を」といった声も上がりはじめています。

　今後、政権が、MFAJの要望書や、2万5千人もの人々が賛同した署名に書かれた要望をきちんと聞き入れ、実効性のある法制度を整備してくださることを願います。
　



参考記事：
「同性婚の法整備を」署名始まる　すでに1万3千超　差別発言うけて（朝日新聞）
https://digital.asahi.com/articles/ASR264VNZR26UTIL022.html

同性婚発言 性的マイノリティー支援団体が政府に抗議と要請（NHK）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230206/k10013972271000.html
同性婚団体、政府に抗議（時事通信）
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023020600805
同性婚の法制化を求める団体、首相宛てに要請書を提出（朝日新聞）
https://news.livedoor.com/article/detail/23662149/

松野官房長官、ＬＧＢＴ・同性婚カップルから「話を伺う場設けたい」（読売新聞）
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230206-OYT1T50154/

“LGBT理解促進法案”めぐり与党に温度差　公明代表「自民がもう少し積極的に」（テレ朝）
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000286426.html