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ニュージーランド 国会で同性婚に反対した議員が「ゲイの息子との約束」で引退の際にLGBTQコミュニティに謝罪したときの演説が話題になっています

 今月に入って首相やその秘書官による発言が批判を浴びているなか、ニュージーランド国会でモーリス・ウィリアムソン議員が「同性婚が認められてもベッドからカエルが飛び出してくることもないし住宅ローンが増えることもありません」という素晴らしい演説を行なったときの動画が何度目かのブームになっていますが、同じニュージーランド国会で当時反対票を投じた議員が引退に際してLGBTQコミュニティに公式謝罪した際の動画も話題になっています。
 
 2月2日、岸田首相が2月1日、同性婚を認めると「社会が変わってしまう」と国会で述べた件に対し、岩波書店公式アカウントがニュージーランド国会での名演説の動画をTwitterに投稿しましたが、これへの引用リツイートのかたちでRiceさんという方がTwitterに「この同性婚を認めるニュージーランドの2013年の法案成立には続きがあって。成立から8年経た2021年。当時反対票を投じたNick議員がLGBTQコミュニティに謝罪します。息子がゲイである事を告白してくれた時 Nick議員は全てを悟り『政治家を引退する前に必ず公式謝罪をする』と息子に約束。その日が来ました」として、ニュース映像に日本語字幕をつけて投稿してくれたのです。
 ニック・スミス議員は、2013年にモーリス・ウィリアムソン議員が同性婚擁護演説を行なった際に反対票を投じた保守派の議員でした。しかし、その8年後の2021年、そのことが誤りだったと認め、国会でLGBTQコミュニティに対して謝罪しました。「私はこの政治家人生で最大の誤りを犯しています。2013年のことです。私は同性婚法案に反対票を投じました。その過ちは個人的なものになりました。私の20歳になる息子はゲイなのです。私は今日、議事録に私の謝罪を残すためにこの議場に来ました。国のLGBT+コミュニティへの謝罪です。私はここに敬意を表します。ルイザ・ウォール(同性婚法案提出議員)、フラン・ワイルド(同性婚法を初めて提出した議員)、エイミー・アダムス(法務省で貢献した議員)、あなたがたのリーダーシップは、私の息子、そしてこの国の幾千もの人々の命を守り、生き方を守ってくれました。そしてジェニ・シップリ(ニュージーランド初の女性首相)、1999年に歴代首相として初めてゲイプライドに参加したことを称えます」。演説のあと、議場はスタンディングオベーションに包まれ、ルイザ・ウォール議員をはじめ何人ものクィアの議員がスミス議員のもとに駆け寄り、ハグしたり、マオリの挨拶をしたりしました。本当に感動的でした。


 Riceさんは昨年11月、ニック・スミス元議員が息子のローガンさんと一緒にニュージーランドのTV局のインタビューを受けた際の動画も字幕付きで投稿しています(松岡宗嗣さんが簗和生議員を批判した投稿への引用リツイートです)。「私の息子ローガンが3年前に言ったのです。”自分はゲイだ”と。私はすでにその頃、自分の見方は間違っていたのでは…そう感じていました。だから息子に約束しました。国会議員を引退する前に必ず公的に謝罪する、と」。法学部で学ぶ20歳のローガンさんは(涙を浮かべながら)「父を誇りに思います」と語りました。「父が記録を訂正したことは重要だと、大切なことだと思います。考えを実行に移し、表現する。人は間違いから学び、変われる、と」。ニック・スミスは「人は自分の家族のことを想います。その人の人生で最も大切な存在です。その気持ちと、LGBT+コミュニティを想うことは同じです。その想いは対抗しない。私はそれを理解していなかった」と語りました。最後にナレーションで「彼の代議士最後の行動は、父親としての大舞台でした」と語られます。こちらも感動的な動画でした。


 差別発言をしておきながら「非公式だった」「差別をするつもりはなかった」「誤解を与える表現だった」などと言い訳し、謝罪も撤回もしないままのどこかの国の議員とは大違いで、誤りは素直に認め、LGBTQコミュニティに公式に謝罪することで政治家人生に有終の美を飾る…本当に素晴らしいですし、これこそがあるべき政治家の姿だと、多くの方たちが感じたことでしょう。

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