NEWS
【同性パートナーシップ証明制度】和歌山県、徳島県が検討を表明、滝川市、深川市、町田市、米原市、三木市が導入へ
先日「基本的人権、憲法13条の問題だと思っている。全ての個人に幸福追求の権利がある以上、同性婚も認められるべきだと考えている」と述べて同性婚支持を表明した和歌山県の岸本知事が、和歌山県でも「パートナーシップ宣誓制度」の導入に向けて前向きに検討する方針を示しました。22日に開かれた県議会の一般質問で明らかにしました。
岸本知事は、「LGBTQといった性的少数者のみなさんが抱える社会的な困難は基本的人権の問題だ。みなさんの幸福を追求する権利は最大限尊重されるべきだ」「人権が守られて、一人一人が幸福を追求できる和歌山県にしなければならない。あらゆる差別をなくす運動を盛り上げていく」と述べました。
和歌山県内での導入自治体は橋本市だけで、那智勝浦町も昨年末に導入を表明しました。
和歌山県では、レインボーフェスタ和歌山とレインボーフェスタ那智勝浦が開催されてきました。那智勝浦町が動いたのは、レインボーフェスタ那智勝浦の方たちの働きかけのおかげです。
* * * * * *
同様に徳島県では、「レインボーとくしまの会」が2019年から県としての制度導入を訴え、昨年はとくしまプライドパレードを初開催しましたが、ついに県が動きました。
徳島県議会総務委員会は22日、同性パートナーシップ証明制度の導入を求める請願を全会一致で採択しました。3月7日の本会議でも可決される見通しで、県の制度導入に向けた大きな一歩となりそうです。
請願は「レインボーとくしまの会」の長坂航代表が昨年11月に提出したもので、11月定例会の総務委員会では最大会派の県議会自民党の委員が「まずは理解の推進が大事」などと主張し、継続審査となっていました。2月定例会では15日の本会議の代表質問で吉田益子議員(新しい県政)が制度導入について県の見解を問い、県側は「国での動向を注視する」などと述べたほか、議会での請願の審議を見守る旨の答弁をしていました。
長坂さんは「2019年にレインボーとくしまの会を立ち上げ多くの支援者の方のおかげで声をあげ続けてこれました。みんなでぜひお祝いしましょう」とFacebookでコメントしています。今晩の四国放送の番組にも出たそうですので、明日にはニュースが配信されそうです。
* * * * * *
北海道の滝川市と深川市が2023年度に同性パートナーシップ証明制度を導入することを目指す方針を明らかにしました。実現すれば、空知管内では岩見沢市に続き2例目、3例目となります。
滝川市は20日、2023年度に制度導入を目指す方針を明らかにしました。前田康吉市長は「多様性を認める社会の実現のために制度の導入を図りたい」と語っています。
市は市内の公営住宅へカップルでの入居を可能とするなどの行政サービスを想定しています。4月以降、道内の先行事例などの調査に着手し、市民アンケートも実施、制度の具体的な内容を固めます。
深川市は21日、2023年度に制度導入を目指す方針を明らかにしました。
市は公営住宅へのパートナーとの同居の申請や、市立病院での病状説明の同席や手術同意、火葬場利用の手続きなどを想定しています。具体的なスケジュールは今後詰めるそうです。
* * * * * *
岩手県盛岡市では、今年5月までに制度を導入する方針ですが、制度について調査してきた市議会の特別委員会が結果を報告し、「導入で幸せになる人が一人でも増えれば実施する意義がある」と導入の必要性を改めて訴えました。
調査は市と情報を共有しながら進められ、市がまとめた素案には、一緒に暮らす子どもも家族として認めるほか、異性どうしの事実婚も対象に含めるとした内容が盛り込まれています。
議会での報告では、特別委員会の委員長でオープンリー・レズビアンの加藤麻衣市議がこうした結論に至った経緯を説明し、「制度の目的は現状に生きづらさを感じる人たちの幸せを守ることであり、制度の導入で幸せになる人が一人でも増えるのであれば実施する意義がある」と述べました。そのうえで市に対し、当事者がさまざまな行政サービスを受けられるよう、導入後も関係部局との調整や民間企業への情報提供を行なうとともに、当事者からも継続的に話を聞き、必要に応じて制度を改正していくよう求めました。
議会のあと加藤議員は「性の多様性や互いの違いを尊重し、不公平が生まれない盛岡市や日本になってほしいです。制度の導入は盛岡市にとって大きな一歩で、今後も生きづらさを少しでも和らげていけるよう活動していきたい」と語りました。
* * * * * *
山形県では、やまがたにパートナーシップ制度を求める会が先月、立ち上げられました。同会は来月、山形市に制度の導入を求める要望書を提出する予定で、19日に当事者や支援者などがJR山形駅前で制度への賛同を求める署名活動を行ないました。
活動に参加した当事者の茉柚さんは「多様な生き方であるLGBTQを知ってもらい、知人や職場など身近にいるかも知れないと意識を向け活動に賛同してほしい」と話しました。
団体の代表を務める山形大学の池田弘乃准教授は「山形市が多様性に開かれた街となれば、街の魅力はさらに高まる。市民全員にとって大事な制度だという意識を広げていきたい」と話しました。
署名はインターネット上でも行われています。
また、来年度から制度を導入する予定の山形県酒田市で21日、酒田光陵高を会場に、市地域共生課職員とLGBTQの方々、制度の研究をしてきた同校生徒が制度のあり方を議論する会が催されました。
ともに30代女性であるカップルは、市の制度導入の方針を受けて、携帯可能な証明書の発行や、手術同意書への署名ができると医療機関に周知すること、相談窓口の設置、教育機関で職員と児童・生徒に性の多様性を学ぶ場を提供することなどを求め、「当事者のニーズを盛り込み、家族であることを保証する制度にしてほしい」と訴えました。
参加者からはほかにも、LGBTQ支援企業の認証制度の導入や、啓発イベントの開催といった案も出されました。地域共生課の釼持ゆき課長は「LGBTQの全体数やニーズを把握できずにいたが、切実に望まれているとわかった」と語りました。
* * * * * *
東京都町田市が、「パートナーシップ宣誓制度」を盛り込んだ「町田市性の多様性の尊重に関する条例」を4月1日に施行することを予定していると報じられました。
同条例は性自認や性的指向の多様性が尊重される社会の実現に寄与することを目的に据え、市の責務、市民・事業者・教育に携わる者の役割、性的マイノリティに対する差別の禁止などを定めています。同様の条例は全国60以上の自治体で導入されています。
市民協働推進課の担当者は「パートナーシップ宣誓制度を要綱に位置づける自治体が多い。当市は当事者の意見を踏まえて、ハードルは上がるが、議会での審議を経て条例化することで社会全体に呼びかけやすくなると判断した」と話しました。
市によると、宣誓したカップルは市営住宅に家族として申し込むことが認められるほか、市職員が「各種休暇制度」などの適用が認められるようになります。公共サービスだけでなく民間サービスも含めて活用できるように取り組んでいくそうです。
東京都とは、制度開始と同時に連携協定を締結予定で、東京都発行の証明書を提示すれば、町田市の行政サービスが受けられるようになります。その他の制度導入済みの都内市区町村(2022年10月現在16区市)や隣接自治体との証明書の相互活用の調整も進めるそうです。
* * * * * *
神奈川県の横浜市と相模原市は20日、「パートナーシップ宣誓制度」の都市間連携に関する協定を締結しました。制度を利用している方たちが両市の間で転入・転出する場合に生じる負担の軽減を図ります。3月1日から実施されるそうです。
* * * * * *
富山県では3月1日の「パートナーシップ宣誓制度」のスタートに向けて、2月20日から宣誓日の事前予約が始まりました。すでに数件の申込みがあるそうです。
それから、2月4日、富山県氷見市で高校生が主催する「しらなきゃ!LGBTQ+ってなに?」という勉強会が開かれ、「パートナーシップ宣誓制度」への期待と課題についても話し合われました。LGBT法連合会代表理事も務める富山大学人文学部の林夏生准教授は、県の制度を当事者や支援者が待ち望んでいたと語りました。「決して同性カップルに限ったことではない。異性の事実婚のカップルにも利用できるし、その子ども、家族も安心して地域社会に暮らせるようになる。とても工夫がなされている良い制度だと思う。制度の導入を歓迎している方がたくさんいるということを広く知っていただきたい」。支援団体レインボーハート富山のさわ共同代表は、「パートナーと暮らしていて県外に行こうと思っていたけど、この制度ができるんだったら富山で暮らしていこうという声もありました」と語りました。
北陸GID研究会に出席した横田副知事は、「課題はそれぞれの県でちょっとずつ制度が違うということなんですね。この辺りもよく議論して、どういったものがいいのかということ、将来に向けて将来の改訂も含めて議論していく必要があるのかなと思う」と述べたそうです。
* * * * * *
滋賀県米原市が4月から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入します。二人のどちらかに子どもがいる場合は、ファミリーとしても宣誓できるものです。同様の制度は、県内では彦根市が導入し、近江八幡市も導入に向けて準備を進めており、県では3例目となりそうです。
* * * * * *
兵庫県三木市が同性パートナーシップ証明制度の導入を検討しています。市が2022年度に実施したアンケートでは、1000件以上の回答があり、制度導入に対して「賛成」「どちらかといえば賛成」が85%に上りました。市は、県や近隣自治体とも連携しながら制度について検討していくそうです。
* * * * * *
ここ数日で続々と制度導入の動きが見られました。来月は富山県と静岡県がともに導入し、人口カバー率が2/3を超えてきます。4月には全国でたくさんの自治体が制度を導入すると見込まれています。
これだけ多数の自治体が同性カップルも婚姻相当だと認めているということを国もしっかりと受け止め、法整備を進めていただきたいですね。
参考記事:
パートナーシップ宣誓制度 和歌山県でも前向きに検討する方針(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20230222/2040013943.html
パートナーシップ制度へ請願採択【徳島】(四国放送)
https://www.jrt.co.jp/news/news99wjcqdu2m0gouzlii
パートナーシップ制度求める請願を全会一致で採択 県議会総務委員会(共同通信)
https://nordot.app/1000993519307702272?c=39546741839462401
滝川市、パートナー制度導入へ 23年度予算案に関連経費10万円(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/804922/
深川市、パートナー制度導入へ 2023年度(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/805492/
パートナーシップ制度導入へ 盛岡市議会特別委が調査結果報告(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20230221/6040016885.html
パートナーシップ制度導入求め署名活動 山形市に要望書提出へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20230219/6020016768.html
当事者ら、市の担当者と在り方議論 酒田市、パートナー制度来年度導入へ(山形新聞)
https://www.yamagata-np.jp/news/202302/22/kj_2023022200555.php
町田市「パートナーシップ条例」制定へ 「性の多様性」尊重(相模原町田経済新聞)
https://machida.keizai.biz/headline/3680/
転居手続き簡素化 パートナー制度で相模原市と横浜市連携(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-970585.html
パートナーシップ宣誓制度の受け付け始まる すでに数件の申し込み 富山(チューリップテレビ)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/339369
期待と課題 パートナーシップ宣誓制度 富山(北日本放送)
https://www.knb.ne.jp/news/1773/
米原市、パートナーシップ制度を4月から導入(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/640691
「パートナーシップ制度」導入に賛成85% 意識調査受け導入検討、啓発に注力 三木市(神戸新聞NEXT)
https://www.kobe-np.co.jp/news/miki/202302/0016057215.shtml