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【追記あり】全国23県の知事有志が共同で、性の多様性を尊重する社会の実現に向けた取組みを国に求める緊急声明を発しました
茨城県の大井川知事、千葉県の熊谷知事ら全国23県の知事が20日、性の多様性が尊重される社会の実現に向けて、あらゆる政策分野における取組みをさらに進めるよう、政府や国会に求める緊急共同声明を発表しました(素晴らしい!)
声明は、LGBTQに対する前首相秘書官の差別発言を受けたもので、各自治体がこれまで以上に多様性を尊重することの大切さを周知・啓発することや、誰もが活躍できる社会の実現に向けて政府や国会を後押しすることなどが盛り込まれています。熊谷知事は「多様性の尊重の重要性が関心を集めているタイミングに力強いメッセージを出すことが大切。日本全体が多様性を尊重する社会となり、活力に満ちていくことを願っている。われわれも地方から頑張りたい」と述べました。
この有志知事による「多様性への理解促進と誰もが安心して暮らし、活躍できる社会づくりを求める緊急共同声明」には茨城県、千葉県のほか、岩手県、三重県、滋賀県、鳥取県の各知事も参加していますが(鳥取県の報道提供資料より)、その他の17の県がどこなのかということや、この声明の詳細な文面については、まだオンライン上では公開されていないようです。わかり次第、追記します。
【追記】
21日、茨城県の公式サイトに声明の全文ならびに共同で声明を発した知事のみなさんの名前が掲載されました。以下の通りです。
多様性への理解促進と誰もが安心して暮らし、活躍できる社会づくりを求める緊急共同声明
少子高齢化や社会経済のグローバル化、価値観やライフスタイルの多様化が進む中、我が国が持続的に発展していくためには、SDGsの考え方を踏まえながら、年齢や性別、障がいの有無や国籍、性的指向・性自認などの違いにかかわらず、一人ひとりが個性や能力を遺憾なく発揮し、自分らしく安心して暮らし、活躍することができるダイバーシティ社会の実現を図ることが重要である。そのためには、国民が多様性を尊重することの意義を理解することが不可欠であり、我々は各自治体の考え方に基づき、セミナー等の開催による啓発やパートナーシップ制度の導入等の取組を行ってきたところであるが、LGBT等の性の多様性については、偏見や誤解などにより深く傷つき、生きづらさを感じている人々がいることも事実である。こうしたことから、我々としては、政府が目指している多様性が尊重される包摂的な経済社会の実現に向けて、それぞれの地域において、これまで以上に性を含めた多様性を尊重することの重要性を周知・啓発するとともに、性的少数者に対する理解促進と、様々な取組を一層進めていかなければならないと考えている。さらに、政府及び国会が、LGBT等の性を含めた多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会の実現に向け、統合的な組織体制の構築を図るとともに、あらゆる政策分野における取組をさらに進められるよう後押ししていく所存である。
令和5年2月20日
岩手県知事達増拓也
宮城県知事村井嘉浩
福島県知事内堀雅雄
茨城県知事大井川和彦
千葉県知事熊谷俊人
富山県知事新田八朗
福井県知事杉本達治
山梨県知事長崎幸太郎
長野県知事阿部守一
三重県知事一見勝之
滋賀県知事三日月大造
兵庫県知事齋藤元彦
鳥取県知事平井伸治
島根県知事丸山達也
岡山県知事伊原木隆太
広島県知事湯﨑英彦
山口県知事村岡嗣政
徳島県知事飯泉嘉門
香川県知事池田豊人
高知県知事濵田省司
長崎県知事大石賢吾
宮崎県知事河野俊嗣
鹿児島県知事塩田康一
これだけたくさんの知事の方々がLGBTQ施策の推進を呼びかけてくださっています。胸が熱くなりますね。
歴史的な出来事じゃないでしょうか。
毎日新聞滋賀版によると、6人の知事が参加した共同記者会見では、都道府県レベルで全国初のパートナーシップ宣誓制度を創設した茨城県や、同制度で同県と自治体間連携を締結した三重県の知事らがそれぞれの取組みを紹介し、滋賀県の三日月知事は「差別を許さない、包摂性のある多様性が尊重される滋賀県をつくろうと、さまざまな取り組みをしている。他府県を参考にしたい」と述べたそうです。会見後の報道陣の取材に三日月知事は「滋賀県にない制度を導入している県もある。滋賀県は遅れている面もある。ただ、より多くの方々の理解を得て施策を進めるというプロセスも大事だ。丁寧にやっていきたい」と語りました。同性婚の法制化については「個人的には認められてもいいのではないかと思っている」としつつ、「大変重要であると同時に見解が分かれる問題。憲法14条の法の下の平等、憲法24条の両性の合意に基づく婚姻に照らし、どのような法理論構成・構築ができるのかという兼ね合いもある」とし、国会での議論を深めることが重要だと語りました。
なお、千葉県は全国で唯一、男女共同参画条例がありませんが、熊谷知事は14日の県議会で「多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会の実現を図るため、すべての県民が理念を共有できる、千葉県らしい新たな条例の制定を検討したい」と述べ、性別や障がいの有無、国籍、性的指向・性自認などの多様性を尊重し、誰もが活躍できる社会を目指すための新たな条例の制定を表明しています。
参考記事:
多様性尊重する社会の実現に向け有志の知事が緊急共同声明(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20230220/1080020014.html
多様性理解促進へ 熊谷知事ら声明(チバテレビ)
https://nordot.app/1000362640664051712
「性の多様性、あらゆる政策で」 茨城、千葉など23知事が声明(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023022000863
知事「国全体の議論を」 性的少数者尊重、23県共同声明(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230222/ddl/k25/040/190000c