NEWS

NEWS ZEROで鈴木亮平さんが「社会を変えてみる勇気が求められている」と語ったインタビューが素晴らしかったです

 連日のようにマスメディアで、同性婚をはじめLGBTQ関連の法整備、権利擁護をサポートする報道がなされています。

 2月17日、日テレ「news zero」に鈴木亮平さんが出演しました。映画『エゴイスト』の主人公の浩輔(鈴木亮平さん)が龍太(宮沢氷魚さん)の家を訪ねた際、お母さんには友人であるということにしていたので「結婚は?」などと聞かれ…という場面と、そこに重ねるように「ずっとこうやって演じて生きていかなきゃいけないのかっていうことを初めて体感した時に、話しで聞いていたより遥かにつらいな、これは、と思ったんですよ。愛する人のお母さんなので、とても大切に思う存在の方に、常に嘘をつかなければいけないというっていう、この社会の状態っていうのは、自分が思っていたより未熟なんじゃないかなと率直に感じました」という鈴木亮平さんの語りが放送されました。さらに、このインタビューのロングバージョンが18日に放送され、ゲイの方からも「泣いた」という声が上がるなど、反響を呼びました。
 鈴木さんは、自分がゲイ役を演じることで世間のゲイに対する偏見を助長させてしまうのではないかと心配し、オファーを受けるかどうかすごく悩んだといいます。しかし、監督さんともよく話し、LGBTQ+インクルーシブディレクターがきめ細かく監修し、セックスシーンについてもインティマシーコーディネーターがつき、友人役もすべてゲイの方が演じ、といった座組になるということで、そこまでするなら、と引き受けたと語っていました。
 『エゴイスト』への出演をきっかけに、本を読んだり、ドキュメンタリーを観たりして勉強し、自分自身が、後輩になにげなく「彼女いないの?」「いつ結婚するの?」となどと聞いてしまっていた、相手が同性愛者である可能性を考えていなかったとい無意識の偏見に気がつき、反省したという鈴木亮平さん。「その無意識の偏見とか知らないということが、いかに人を傷つけていたかもしれない。今まで自分が育ってきた価値観とか、常識と自分では感じていたことが、いかに偏っていたのかいうのを実感するきっかけにもなりました」と語ります。
「自分の感覚っていうのは、恐らくこの社会の中で、子どもの頃から培われていたもので、そこに偏見があるんじゃないかっていう自分の意識とか感情を疑って、それが誰かを傷つける結果を招いているんだとしたら、それはもう社会がより良く変化させていくしかないよね、というところを僕はこの映画をやりながら非常に感じました」 
 インタビューの後半で鈴木さんは、テレビとか映画が性的マイノリティを描く、その描き方が変わらなければいけない、当事者が出ることも重要だと語りました。「マイノリティを描く場合は、当事者が見たときにこれは自分たちを描いた物語だなって思ってもらえるかが大事だなと思っていまして。(今後は)今よりもはるかにマイノリティを演じる場合には当事者の方が演じることが当たり前になってくると思いますし、そうあるべきだと思います」「(当事者の俳優が)今あまりにも少な過ぎるなというのは恐らく、こちら側業界側の問題が非常に大きくて。性的マイノリティでいうと、カミングアウトするとキャリアに非常に大きな影響が出るという現実があるんですよ」
 最後に、同性婚の法制化や、社会を変えていくということについて、大事なメッセージを伝えてくれました。
「異性愛者であるとか、性的にマジョリティであるっていうことが当然として、その前提の下に成り立っているシステムとか、僕たちの意識というものがまだまだたくさん残っているなというのを感じます。それを一つ一つみんなが納得して変えていける方法っていうのを探っていかないといけないかなと思いますし、それには教育がとても大事だと思いますし、同性婚の法制化も含めての法律面での法の整備というものが、これから本当に議論が急がれる問題だなと思っています」
「例えば同性婚を法制化するかどうかという問題に関しては、本当に基本的なところでの人間としての尊厳の話や、人権というところの話なんじゃないかなと。国が、“あなたたちの性のあり方っていうのは当然なんですよ”っていうことを明言することで、生きづらい思いをしている方たちが、当たり前のように権利を受けることができるという。そこははじめの一歩としては有効だと思いますし、僕も含めて(性的マイノリティについて)知らないという人たちが圧倒的だと思うんですよね。知らないものを恐れるっていうのはすごくよくわかるんですけれども、そこを一歩踏み出してみて、自分たちの社会を変えてみようというその勇気が今求められているんじゃないかなと思います」
 鈴木亮平さんのとても真摯な、心からの言葉は、ジェンダーやセクシュアリティを問わず多くの人々の胸を打つものがあったと思います。本当に素晴らしかったです。これがアライというものでしょう。感謝です。
(なお、ORICONによると、10日から公開された『エゴイスト』は動員ランキングトップ10に入ったそうです。この調子でロングランヒットを続け、全国隅々まで上映され、たくさんの方にご覧いただけるとうれしいです)


 それから、美輪明宏さんが『女性自身』に登場し、岸田首相や彼の前秘書官の発言についてコメントした言葉も素晴らしかったです。
「岸田首相や彼の前秘書官が同性婚導入について発言した問題は、日本の新聞やテレビのほか、外国のメディアにも大きく取り上げられました。私はこの発言を聞いたとき、怒りというよりあきれました。率直に申し上げて、歴史のお勉強が足りない人たちなのだと」
「同性婚、性的少数カップルが嫌だという偏見は、その人自身が過去の軍国主義の悪い部分だけに振り回されていて、本当の歴史を学んでいないためです。そのような人たちが、日本の政治を動かしているということにあきれてしまったのです。地球上には、古くから同性愛というものがあることをご存じないのですから」と言って、美輪さんは公家や貴族、武士たちの間で男色が当たり前に行なわれていたことを説明したあと、「終戦後も、同性愛に対する偏見やネガティブな価値観は、引きずられた状態のままです。だから令和の時代となった今でも、歴史を学ぼうとしない日本の政治家が、あのような発言を繰り返すのです」と語りました。
「男が男を、女が女を愛し合っても、人間同士が愛し合うことに変わりはない。同性愛者だからといって人が人を愛したことの何が悪いのか。何ひとつ盗んだわけでもなく、殺したわけでもない。私が公言することによって、わずかでもプライドを持って生きられる人も出てくるのではないか、そう思っていたのです。当時は、同性愛者というだけで身内からも非難され、会社にバレたらクビになるような時代。思い悩んで自殺する同性愛者もいました。私は、そういう間違った世の中を変えたかったのです」
 美輪さんは「人が人を愛することは悪ではない罪ではない」「男と女が 女と女が 男と男が」「どんな力も奪えるものか この権利を守りぬくのだ やっと手にした愛の権利を あなたを愛する権利を」という『愛する権利』という歌を歌っています(その歌詞が昨年、TRPに合わせて渋谷PARCOの1Fの外壁にART WALLとして展示されました
「岸田首相は、同性婚は“社会が変わってしまう”とおっしゃいました。その程度の見識しかない人が日本の政治家です。だから日本は、いつになっても世界から“政治は三流国”だと言われるのです。“隣に住んでいるのも嫌だ”という発言にしても、あなたの隣にいる人だって、じつはあなたのことを嫌だと思っているかもしれません。“時代遅れで、知識のない人間”と。自分だけが正しいと思い込んでいるので、周りが全然見えていない。つまり、そういう人間は、人に指をさすのではなく、その指を自分にさして物を言うべきなのです」
「これまでの歴史、そして世界がどういう価値観でLGBTについて向き合っているか。今回の問題で、日本の政治家がいかに時代遅れで無知であるということが露呈されました。いま問われていることは、正しい見識を持つことなのです」
 
 
 18日、同性婚をめぐる首相秘書官の差別発言について昨年のMR.GAY JAPANでグランプリに選ばれた田中愛生(あいき)さんが語るインタビュー記事が朝日新聞に掲載されました。
 田中さんは「やっぱり傷つきますし、社会全体が自分たちを嫌っているんじゃないかという思いに陥ってしまいます。自殺を考えてしまうという内容のツイートをした人もいました。一方、国のトップの人たちが自分たちをないがしろにするような発言が繰り返されることに、残念な意味で慣れてしまった自分がいる。心の平穏を保つために、慣れないといけなくなっているんです」と語りました。
『世の中が「オッケー」な雰囲気になってきているのに前進しないのは、そもそも首相が社会に思いをめぐらせていないからではないかと感じてしまいます。今回の発言で世界各国から、国としてのモラルが問われる事態になっていることを自覚するべきだと思います」
「(差別を禁止すると分断が起きるという発言について)「分断が起きる」ということは、世の中に差別発言をしかねない人たちが元々いて、禁止になるとその人たちが排除されてしまうと思っているのでしょうか。(そういう人が)いることを前提にするなら、なおさら差別への対応が必要と考えるべきです。理解増進法にとどまらず、差別禁止法の制定までしてもらいたいです」
 田中さんは昨年、ベトナムであった性的マイノリティの権利を考える国際会議(ホーチミンで開催されたILGA Asia Conference 2022のことだと思います)に参加した際、同じ30代のゲイの方が「結婚しようと思って」台湾に移住すると話していたことに衝撃を受けたそうです。そして「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京地裁判決の翌日、違憲状態とする判決が出たことを会議の場で報告すると、「少しの前進でも素晴らしい」と拍手が起きたそうです。
「同性婚ができるようになってもいいという人が多いのに、政府で議論が進まないのが不思議です。同性婚の制度は婚姻の対象を広げるものであって、いまの制度を使っている人たちが苦しむわけではありません。生理的な嫌悪感を持つ人がいるかもしれないですが、反対する根拠にはならないと思っています」

 
 NHK東海NEWSは、17日に行なわれた「結婚の自由をすべての人に」訴訟の弁護団の方々によるYouTubeライブ配信のことをレポートしてくれました。
 「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟の水谷弁護士がお話している様子のほか、名古屋地裁で今年5月30日に判決が言い渡されることなども報じられました。配信に携わった松本直也さんは「今回のライブ配信を行うことで、変化を起こそうとしている人がいることを伝えたかった。決して希望を捨てないでほしいというメッセージが届けられたらいいです」と話していました。
 なお、この配信はアーカイブが残っており、こちらからご覧いただけます。まだご覧いただいてない方もお時間があるときにぜひ。




参考記事:
ゲイ役演じた鈴木亮平 今求められるのは「自分たちの社会を変えてみようという勇気」(日テレNEWS)
https://news.ntv.co.jp/category/culture/a88a2f3bb758473f98c66d41e0b979d1

美輪明宏さん語る同性婚問題「岸田首相の無知にあきれ…人が人を愛したことの何が悪いのか」(女性自身)
https://jisin.jp/domestic/2179360/

岸田首相や秘書官の発言に「ミスター・ゲイ・ジャパン」が感じたこと(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR2J5VJ0R2BTZNB00L.html

愛知 “性的マイノリティーに理解を” 弁護士らライブ配信(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20230218/3000027712.html

ジョブレインボー
レインボーグッズ