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　2月17日午前、元首相秘書官の差別発言を受け、LGBTQやアライ、経営者らでつくる市民グループが内閣府を訪れ、5月のG7広島サミットで性的マイノリティに関する取組みを議題にすべきだとする要望書を、小倉将信共生社会担当相に宛てて提出しました。要望書では「国際社会におけるLGBTQ+に関する取り組みを主要議題にすること」「具体的な取組みの議論や促進をすること（LGBT差別禁止法、結婚の平等、性同一性障害特例法の改正または新設の整備）」などを求めました。13企業と4つの団体が賛同しました。
　グループの松中権さんは「（LGBTQの）能力が発揮できるような職場環境に変える取組みを進めてほしい」と話し、要望書を受け取った和田義明副大臣は「一人でも多くの人が幸せになるのが政府の使命。しっかり受け止めて善処したい」と応じました。
　同日東京都内で開かれた会見で、パナソニック ホールディングス戦略人事部長の盛山光さんは、「差別禁止法の制定、婚姻の平等、法律上の性別の変更要件の見直しといったLGBTQに関する法整備を要望させていただく」と述べました。
　日本コカ・コーラ人事本部長でオープンリーゲイでもあるパトリック・ジョーダンさんは、パートナーの男性と海外で法的に結婚したものの、日本では配偶者として認められないほか、入国管理書の書類には夫なのに妻と書かれている、といったことを語りました。「自分が愛することを選んだ相手が男性であるというだけで、日本では困難や異なる扱いを受けるということを経験してまいりました」「日本政府に対し、同性婚の法制化などを緊急に検討するよう働きかけたいと思います」

　
　昼頃には、岸田総理大臣が森まさこ総理大臣補佐官を「LGBT理解促進担当」に任命する方針を固めたとの報道がありました。
　LGBTQに対する岸田政権の姿勢をめぐって今月、総理大臣秘書官の差別発言への批判が噴出し、LGBTQ+Allyコミュニティは差別禁止法や同性婚法の整備、性別変更に関する要件の見直しなどを求めてきましたが、国会では（国際的な評価にはかすりもしない）LGBT理解増進法を制定する方向で議論が進められ、しかも「差別は許されない」との文言に対して自民党内で「分断を招く」などの反対意見が出て、政権の人権感覚が問題視されてきました。
　こうしたなか、岸田総理大臣は、女性活躍を担当している森まさこ総理大臣補佐官に、新たにLGBTQへの理解を進める担当を任命する方針を固めました。政権として、多様性を尊重し、包摂的な社会の実現を目指す姿勢を改めて明確にするねらいがあるものとみられます。


　そして午後、岸田総理がLGBT法連合会、プライドハウス東京、認定NPO法人ReBitの代表と会い、元総理秘書官による差別発言について「先般の前総理大臣秘書官の発言につきましては、これ不当な差別と受け取られる極めて不適切なものであり、この皆様方をはじめ多くの皆様方に不快な思いをさせたことに対しまして、心からおわびを申し上げたいと思います」などと直接謝罪しました。そのうえで、「政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権あるいは尊厳を大切にする、そして生き生きとそれぞれの人生を享受できる社会を目指すべく努力をしていかなければならない」と強調しました。また、本日付で森まさこ総理補佐官を「LGBT理解増進」担当に任命することも表明しました。
　LGBT法連合会などは同性婚法やLGBT差別禁止法の制定などを訴えましたが、岸田総理は当事者の意見も踏まえて今後の対応を検討していく考えを示すにとどまったということです。
　　
　LGBT法連合会の神谷事務局長は、「岸田総理大臣からは、今回のわれわれの話を受け止め、しっかり考えながら進めていくという話があった。今日を境にして抜本的に政策が加速し、変化していくことを期待している」と話しました。
　松野官房長官は、午後の記者会見で「いただいた話も参考にしながら、社会のさまざまな場面で、性的指向や性自認の多様性に関する理解が進むよう、引き続き、関係府省が連携し、共生社会の実現に向けしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。
　立憲民主党の泉代表は記者会見で「岸田総理大臣には『聞きました』『これから勉強します』ではなく、まさに決断と実行の最終段階の面会であってほしい。超党派でまとめた理解増進法案が後退せず、差別解消法や同性婚の制度が実現するように決断と実行をしてもらいたい」と述べました。また、LGBT理解増進法案をめぐり、自民党内で「差別は許されない」との文言を修正すべきとの声が上がっていることについて「超党派でみんなで合意して作ったものにもかかわらず、自民党が了承しなかった。その理解増進法が自民党の手によって変えられてしまうかもしれない、これが今の状況。我々としては『それは駄目ですよ』と」と述べるとともに、同性婚の法制化も実現すべきだと改めて主張しました。

　LGBT法連合会によると、本日の岸田首相との意見交換について、今夜22:30からYouTube LIVEでの緊急配信が行なわれます。どのような意見交換がなされたのか？について、詳しく知ることができます。ぜひご覧ください。




参考記事：
LGBT差別問題、G7の議題に　当事者らグループ、政府へ要望（共同通信）
https://nordot.app/999169676602408960?c=768367547562557440
LGBTQ差別に13企業が「NO」、差別禁止法や結婚の平等求める。「企業の努力だけでは限界ある」（ハフポスト日本版）
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_63ef23f9e4b0063ccb2c076a

首相 森まさこ首相補佐官を“LGBT理解促進担当”に任命の方針（NHK）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230217/k10013983331000.html
【速報】岸田総理がLGBT関連団体に直接謝罪　森補佐官を「LGBT理解増進」担当とすると表明（TBS）
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/334702
LGBT担当に森補佐官　首相方針、差別発言受け（共同通信）
https://www.47news.jp/8954905.html

岸田首相 LGBTなど支援団体と面会 “多様性尊重 実現へ努力”（NHK）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230217/k10013983801000.html
岸田総理がLGBT当事者らと面会「不快な思いをさせたことに、心からお詫び」（テレ朝news）
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000288139.html
首相、元秘書官の差別発言を陳謝　LGBT支援団体と面会（共同通信）
https://nordot.app/999211693445758976
立憲・泉代表、LGBT理解増進法案「修正認めぬ」自民党保守派を牽制（TBS）
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/334910