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「Marriage For All Japan」が森首相補佐官と面会、AKB48の柏木由紀さんや和歌山県知事らも同性婚を支持
LGBT平等法(差別禁止法)実現や同性婚法制化をめぐる2月10日の動きをお伝えします。
公益社団法人「Marriage For All Japan」のメンバーらが10日、森雅子首相補佐官と官邸で面会し、G7広島サミットまでに、LGBTQへの差別的な取扱いを禁止する法制度の整備を求めるとともに、LGBTQの人権を担当する補佐官を官邸に置くよう要請しました。森氏は「受け皿はなくてはならない。必要だ」と理解を示しました。
そして連日のように、様々なメディアでLGBT平等法実現や同性婚法制化を後押しするような報道がなされています。
AKB48の柏木由紀さんが8日、水曜日のMCを務めるABEMA「Abema Prime(アベプラ)」に生出演し、法制化が遅れている同性婚について「異性を好きになるのも同性を好きになるのも何も特別なことじゃない。なぜダメなのかわからない」と語りました。柏木さんは、年配の人などが当たり前のように「(女性に)彼氏いるの?」「(男性に)彼女いるの?」と悪気もなく聞いてくると語り、「同性婚が法律で認められたら認識が広がっていくきっかけになるんじゃないかと思う」と、法制化を急ぐべきという考えを述べました(拍手)
熊本県知事に続き、和歌山県の岸本周平知事も「基本的人権、憲法13条の問題だと思っている。全ての個人に幸福追求の権利がある以上、同性婚も認められるべきだと考えている」との見解を示しました。そのうえで、自身も国家公務員だった経歴から、荒井元秘書官に対して「公務員の憲法順守義務が守られなかったことについて、先輩としていささか残念」「憲法を十分読み込み、その精神を体現してもらいたい」と述べました。
2月8日『news zero』では、国会でLGBT理解増進法案が審議されている件について、小栗泉・日本テレビ解説委員は「社会の多様性という点では、野党からは同性婚の実現を求める声もあります。自民党の閣僚経験者からは『今話している理解促進法の成立程度では、政権の本気度は示せない。せめて選択的夫婦別姓くらいやらないと』という声もあります」と述べ、辻愛沙子・クリエイティブディレクターは「一般的に『差別は許されない』というのは、政治的スタンスや思想信条を問わず、そもそも当たり前のことだと私は思います。そこに対していまだに、個人の感情論とも思えるような反対意見を言う国会議員がいること自体、本当に残念な状況だなと思います」「G7の中で同性婚が認められていないのはいまだに日本だけという現状で、差別禁止や同性婚の実現に向けた議論ではなく、理解を促す法案ですら進められていません。政治家の皆さんこそ、理解促進してほしいなと強く思います」と述べました。
琉球新報は、性的マイノリティカップル「みむみー」としてラジオパーソナリティーやモデル、ユーチューバーとして活動する沖縄市在住の安里ミムさん(バイセクシュアルの方)&みーちゃん(Xジェンダーの方)の結婚式を紹介しました。式の参加者にも性別に関わらず好きな服を着て出席してほしいと呼びかけ、ドラァグクイーンやコスプレした方などカラフルな出席者が式場を彩り、同性カップルやトランスジェンダーの方などもたくさん来られたそうです。みーちゃんは岸田首相の「同性婚を認めると社会が変わってしまう」、秘書官の「隣にいたら嫌だ」という発言に傷つき、憤りを感じたといい、正しい知識を持つことの重要性を再確認し、「これまでの常識や固定観念を捨てて感覚をアップデートするのは簡単ではないと思うけど、少しずつでも知ってもらえるよう努力したい」と語りました。
朝日新聞は、新潟県三条市で「PRIDE LINK(プライドリンク)」という団体をつくり、「パートナーシップ宣誓制度」を実現したトランス男性の羽賀風真さんと、そのパートナーの長谷川玲奈さんのことを紹介していました。羽賀さんは岸田首相が「社会が変わってしまう課題」と答弁したことに「セクシュアリティは人の数だけある。一人ひとりの人間を尊重してほしい」と語り、テレビのニュースで荒井前首相秘書官の差別発言が繰り返し流れることに胸を痛め、「僕より若い当事者さんとか、つらい思いをしている人が絶対にたくさんいる。そうした人が集えるように団体の事務所を構えたいし、団体の活動をもっと活発にしていかないと」と語りました。
北海道新聞は、同性カップルを公的に認証する制度が全国255自治体に拡大し、4000組以上が認証されたことを取り上げました。その記事の中で、同性婚をめぐる動きについて、『台湾同性婚法の誕生』の著者である鈴木賢明治大教授(比較法)が「日本政府は現実社会の動きをあえて見ようとしていない。同性婚を導入した先行国でどんな変化があったかなどの調査もせず、空想だけで不安をあおるのは悪質だ」とコメントしていました。
同じ北海道新聞の憲法24条の解釈についての記事。二宮周平立命館大学名誉教授(家族法)は「24条の『両性』は男女とみるのが妥当」としながら、「24条は同性婚を想定していないだけで、禁止はしていない」とし、憲法が保障する別の権利によって同性婚を認めることは可能だと見ています。また、渡辺泰彦京都産業大教授(民法)は、「24条がつくられた目的は戦前の家制度を否定すること」であり、「家」ではなく「個人」の意思で結婚できることを保障する趣旨だと解説し、「両性の合意は、両当事者の合意、と読み換えられる。国会は24条の趣旨を踏まえ、婚姻を男女と定めた民法改正などの議論をさらに進めるべきだ」と述べていました。
「論座」で前田哲兵弁護士は、「同性婚を法制化するためには憲法改正が必要だ、同性婚は現行憲法の下では認められない」との声に対し、憲法24条1項の「両性の合意」条文について、歴史的な経緯をひもときながらその条文の意味するところを詳しく解説したのち、「大切なことは、当たり前であるが、LGBTQの方々も全て個人として尊重されるべきで、自らの生を謳歌して幸福を追求してよいのであり、憲法13条の保障が等しく及んでいるということだ」「婚姻は、それをしたいと望む者にとっては時に希望であり、時にアイデンティティーを形成し、時に人生そのものになることさえある。誰かを守り支えることに喜びを感じる人がいるように、それは生活基盤というだけでなく人格的活動の根本になり得る。国としては、それを望む者には広く門戸を開いておくべきだ」「少なくとも我々は、「生殖可能性」などという国家から見た計算上の利益によって画されるほど貧しい存在ではないだろう。憲法が志向した価値とは、より複雑で芳醇なものであったはずだ」と結んでいます。
Yahoo! JAPAN SDGs「同性婚の''今''を知る。結婚の自由は、誰もが生きやすい社会への一歩」は、「Marriage For All Japan」の寺原代表理事と、企業連携チームのリーダーである岩村隆行さんにインタビューし、あまり同性婚について深く考えたことがなかったような方にもよくわかるように、とても丁寧につくられていました。
フロントロウは、婚姻平等を実現した海外の国々で、同性婚できるようになったあと「社会がどう変わったのか」について、偏見・差別が減少した、経済効果が生まれた、出産数が増加した、といったデータを紹介していました。素敵な記事です。ぜひここで紹介されたデータを広めていきましょう。
ダイヤモンド社は「同性婚差別の荒井発言が開いた、自民党のLGBTQ巡る大問題」、「同性婚は「嫌だから」反対?差別撤廃に及び腰のツケが岸田政権・自民党に」という記事を相次いで掲載しました。後者の記事では、「マイノリティーは、常にマジョリティーから説明を求められる。なぜ権利を求めるのか、それに根拠があるのか、「我々」を説得することができるのか――。絶えず説明を求められるため、同性婚にしろ、選択的夫婦別姓にしろ、法制化を求める人たちはエビデンスを用意して議論に挑んでいる」「これから必要なのは、法制化を求める人たちにこれ以上説明をさせることではなく、反対する議員たちに、なぜ反対するのかを徹底的に言葉に出させることだろう」とし、「これまで「マジョリティー」であることにあぐらをかき、説明責任を持たされてこなかったことのツケが今になって噴出している」と結んでいます(よくぞ言ってくれました)
経済産業省のトランスジェンダーの職員が国を訴えた裁判の原告代理人を務める立石結夏弁護士(昨年のトランスジェンダーへの差別や排除のない社会について考えるオンラインイベントにも登壇してくださいました)に荒井前首相秘書官や岸田首相の発言について尋ねたインタビュー記事も、たいへん素晴らしかったです。「もし、秘書官室に多様な人たちが集まっていれば、今回のような発言は出てくることはなかったと思います」「マジョリティに入らない人を日本の周縁に追いやるような発言は、あまりにマイノリティへの想像力を欠いています」「多くの同性愛者は、生まれたときから同性愛者で、それは自分の意思で変えられないことなのに、婚姻制度から除外されている。社会の方が早く変わるべきであると首相は認識を改めてほしい」「欧州では同性婚だけでなく、トランスジェンダーの取り扱いについてもすでに議論が進んでいます。近年、英国でトランスジェンダーの取り扱いについての議論が活発に交わされています。日本とは全く経緯が違い、まず大前提としてトランスジェンダーの様々な権利や、差別を受けないことが法的に保障されているのです。欧州連合(EU)加盟国では、差別禁止法制により、職場がトランスジェンダーに自認する性のトイレを使わせなければ、いわゆる平等法違反になります。日本では同性愛者やトランスジェンダーの権利を保障する法律もないので、話を始めることも難しくなっています」「自分自身も弱い立場であるために、自分よりさらに弱い者にネガティブな感情がわくこともあります。思うように人生がいかなかったり、仕事がなかったり、恵まれなかったり。自分が救済されていないという感情が、より弱者に向かっている可能性もあります」「もし日本が自分よりさらに弱い立場の人を攻撃するような社会に進んでいるのなら、それはすごく悲しいことです。世の中には『嫌だと言うのも多様性の一つ』と主張する人がいると聞いて驚いています。相手の人格を否定することは、多様性ではなくただの暴力です」
それから、能町みね子さんが「これを読めばとりあえずは十分でしょうってくらい間違いなくまとまってる」と太鼓判を押していたのが、BUSINESS INSIDERの「荒井元秘書官「同性婚、見るのも嫌」がなぜ問題なのか? 日本は“その理由”と向き合わないといけない」という北丸雄二さんへのインタビュー記事です。「2023年5月にはG7サミットが日本で開催されますが、外圧で同性婚を推進しようというのはちょっと違うと思います。同性婚を認めないことが、本当に恥ずかしいことだと、内側から気づかなければ意味がありません」「スペインで同性婚を合法化した当時のサパテロ首相は『我が国は同性婚を世界で最初に認める国になる栄誉は逃したが、最後の国になる不名誉は回避できた』と演説しました。その意味を考えてほしい」「岸田首相は荒井氏を更迭して終わりではなく、なぜ更迭するのか、なぜダメなのかを示すべきです。それが真の性的マイノリティ理解のスタート地点です」
東京新聞は、自身の答弁や秘書官の差別発言でLGBTQへの無理解を露呈した現政権と旧統一教会との関係について追及する記事を上げていました。今回の(というより、これまで数えきれないほど繰り出されてきた)自民党議員の差別発言の問題の根源に迫るような内容でした。
「同性婚や性的少数者に対し、政権中枢に広がる強い拒否感は、旧統一教会の主張と重なる。教団関連の日刊紙『世界日報』や週刊新聞『サンデー世界日報』は長年、同性婚などに反感を表すキャンペーン報道を続けてきた」
ジェンダー問題に詳しい米モンタナ州立大の山口智美准教授(文化人類学)は、「『伝統的な家族のあり方を守るべきだ』とする宗教右派による反発はあったが、同性愛など性的指向の多様性に対する反発は、世界日報が突出していた」と振り返ります。「各地の自治体の条例づくりや米国での状況を批判的に伝え、議論をリードした。そうした記事はネットでも広く拡散されました」
その後も、同性パートナーシップ証明制度や性的マイノリティの権利を保護する条例の整備について、教団は反対論を展開してきたといいます。
今回の岸田政権での問題発言について山口氏は、「教団との直接の関係性は不明だが、同性婚などに対する価値観は一致している。教団や関連の媒体が報じてきた内容が価値観の根底となっている」と見ています。
LGBT理解増進法に「差別は許されない」との文言を明記するかどうかについて、自民党内で「内心の問題に関わる」などと反対の声が上がっているのも、教団などの宗教右派とのつながりをうかがわせる状況だと指摘されています。
LGBT法連合会の神谷悠一事務局長は「立法に反対する自民党議員には、共産主義と性的少数者をやたらと結びつける教団の言説が入り込んでいるのではないか」と疑いの目を向けつつ、「これまでの政策過程で、ジェンダーに関して、どのような教団の関与があったのか明確にするべきだ。総括がないと、また、同じような発言が繰り返され、法整備も進まない」と述べています。
参考記事:
森雅子首相補佐官、LGBT担当配置に理解 同性婚支援者らと面会(共同通信)
https://mainichi.jp/articles/20230210/k00/00m/010/420000c
柏木由紀が同性婚について意見 「なぜダメなのか分からない」(スポニチアネックス)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/02/08/kiji/20230208s00041000642000c.html
和歌山知事「元秘書官、憲法を十分読み込んで」 同性婚差別発言巡り(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230209/k00/00m/040/174000c
LGBT法案 一転“前向き”に……3つの理由 「差別発言」「サミット」もう1つは? 反対派「一時の雰囲気で決めるのはどうか」(日テレNEWS)
https://news.ntv.co.jp/category/politics/3299fdda382d4b9fbd4a8d3777146c8f
2人でドレス、祝福も虹色に Xジェンダーのみーちゃんとバイセクシュアルのミムさん結婚式 多様な性に「平等な選択肢を」(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1660086.html
「隣の人」も尊重して 刺さった言葉、パートナーと生きやすい社会に(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR284GFSR27UOHB00K.html
同性カップル認証 255自治体に拡大 日本社会に理解広がる(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/799261
同性婚「両性」の解釈焦点 憲法24条の婚姻規定 政府は「男女」、専門家「当事者」(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/799783
同性婚を認めるには憲法改正が必要か?(Web論座)
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2023020800011.html
同性婚の''今''を知る。結婚の自由は、誰もが生きやすい社会への一歩(Yahoo! JAPAN SDGs)
https://news.yahoo.co.jp/articles/99edd79b919b53906c789bc89f1ba0f871c7423f
【検証】同性婚を認めて社会はどう変わった?海外の事例から見た(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17606031/p3
同性婚差別の荒井発言が開いた、自民党のLGBTQ巡る大問題(DIAMOND ONLINE)
https://diamond.jp/articles/-/317435
同性婚は「嫌だから」反対?差別撤廃に及び腰のツケが岸田政権・自民党に(DIAMOND ONLINE)
https://diamond.jp/articles/-/317480
性的少数者「嫌だ」と言う人へ トランスジェンダー訴訟弁護士の提案(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR293F4PR28UTFK01L.html
荒井元秘書官「同性婚、見るのも嫌」がなぜ問題なのか? 日本は“その理由”と向き合わないといけない(BUSINESS INSIDER)
https://www.businessinsider.jp/post-265357
同性婚や性的少数者に無理解な岸田政権 重なる旧統一教会の主張(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/230292