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アロマンティック・アセクシュアルの方たちへの調査結果が公開、「まだいい人に出会っていないだけ」「あなたは人間に興味ないもんね」など無理解な言葉で傷つけられる実態が浮き彫りに
アロマンティック・アセクシュアルについて当事者の立場から発信をしている団体「As Loop」が昨年、当事者の方たちを対象にしたアンケート調査を実施し、その結果が公開されました。「まだいい人に出会っていないだけ」「あなたは人間に興味ないもんね」など周囲の無理解な言葉で傷つけられている実態が浮かび上がりました。
ドラマ『恋せぬふたり』や映画『そばかす』なども評判を呼び、近年、アロマンティック・アセクシュアル(以下「アロマ・アセク」)についての認知が高まってきています。しかし、アロマ・アセクの方たちのコミュニティや団体が立ち上げられたのは比較的最近で、当事者への調査も国内ではほとんどありませんでした。2018年にアセクシュアル啓発委員会が立ち上げられ、講演やシンポジウムなどを開催、2020年にはインターネット上でアンケート調査も行ないました。そして2021年にアロマ・アセクに関する正しい知識や当事者の声、コミュニティの人たちの多様性について知ってもらったり、学術研究の発展や運動の活性化に寄与することを目的とする「As Loop」という団体が設立されました。
「As Loop」では2022年6月に2回目の当事者アンケート調査を実施し、12月にその結果を公表しました。自認している性的指向や、恋人が欲しいか、性欲があるかなど約100問を尋ね、アロマ・アセクとそれに近い指向の人たちから約2300件の回答を得ました。
調査結果によると、「つきあいたいと思うことがあるか」という問いに、アロマンティックの方は計90%が「ない・あまりない」と回答。「自分に性欲があると思うか」については、アセクシュアルの方は計69%が「思う・やや思う」とした一方、「他の人と性行為をしようと思うことがあるか」には計92%が「ない・あまりない」と回答しました。アセクシュアルの方の場合、他人に欲求が向かなくても性欲はある人が多くいることがわかりました。
また「恋愛関係かつ性的関係のあるパートナー等を望むか」という問いには71%が「望まない」と回答。一方で「恋愛関係も性的関係もないパートナー等を望むか」という質問には「1人望む」が43%、「複数人望む」が8%、「グループを望む」が15%などとなり、求めるパートナーの形は多様なことがわかりました。
「アロマ・アセクであることで経験したこと」では、周囲の人から「まだいい人に出会っていないだけ」「あなたは人間に興味ないもんね」などの言葉をかけられたり、両親にカミングアウトしたら罵倒された、ネット上で「Aは生物としておかしい」などと書いているのを見かける、保健の性教育の授業で「恋愛的・性的に惹かれる」のが当たり前と教科書に書かれていて居心地が悪い思いをした、就活で結婚出産を考えているかと聞かれ「ありません」と言ったところ「あなたは女性として怠けている」と言われた、といった回答が寄せられました。なかには「精神科で治療がんばってね」などと病気扱いされたという方もいたそうです。
(調査結果はこちらでご覧いただけます)
「As Loop」では、恋愛に消極的な「草食系」などの言葉を「要注意フレーズ」だとして気をつけるよう求めています。「恋愛や性で他人に引かれない人もいる。恋愛の話は人類共通の話題ではないと知ってほしい」と訴えています。
参考記事:
アロマ・アセク調査結果 「恋愛しないのは病気」 周囲の無理解な言動で傷(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230105/ddl/k26/040/158000c