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1月から同性カップルも「フラット35」を利用できるようになりました

 住宅ローンの商品の一つ、全期間固定金利型ローンの代表格である「フラット35」が2023年1月から同性カップルも利用できるようになりました。
 

 以前は同性カップルが家を買おうとした場合、一方が単独で住宅ローンを組むことを余儀なくされてきました。どちらかの名義で購入し、パートナーは表に出ない形で(非公式に)ローンの一部を負担して、事実上、二人で住宅ローンを支払っていくようにしていたと思いますが、購入名義の方が亡くなった場合、そのパートナーには法的な権利がないため、(亡くなった方の親族が同性愛に無理解な場合)長年住んでいた家を追い出されることもありました(結婚が認められていないがゆえの悲劇です)。2015年、渋谷区が条例で同性パートナーシップ証明制度を創設することを発表したことを受けて、企業が同性パートナーも配偶者として認める施策が進み、2017年、みずほ銀行が初めて家族ペア返済※1(ペアローン)や収入合算※2における配偶者の定義に同性パートナーを含める対応を行ない、2020年には三井住友銀行が同性カップルにも住宅ローンの連帯債務型借入を適用するなどして、同性カップルも共同で協力してお金を出し合って住宅を購入できるようになってきました。

※1 家族ペア返済:お二人が同居し、持分を共有する住宅について、お二人それぞれでローンを組むお借り入れ形態です。
※2 収入合算:ご本人の収入に、ご家族の収入を合算してお借り入れの審査を行うことです。
※3 連帯債務型借入:ペアローンとよく似ていますが。契約が1本で、持分をあらかじめ決める仕組みです。収入合算ができ、諸費用を抑えたうえで二人とも住宅ローン控除の適用となり、併せて、住宅売却時の3000万円控除のダブル適用も受けられます。ペアローンはローン契約が2本であり、それぞれの債務者が団体信用保険(パートナーに万が一のことがあった場合の返済への充当のための保険)に加入することが要件になっているため、同じ共有でも連帯債務型借入に比べて諸費用が高くなります。二人で住宅ローンを組む際、最もお得な商品が連帯債務型借入です。

 「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供している住宅ローンで、35年などの長期間にわたって金利が変わらないのが特徴dす。提携先の民間金融機関によって、実際に借りるときに適用される金利や融資手数料が異なります。「フラット35」を利用する場合は、同性カップルで「収入合算」が利用でき、住宅ローンの申込者に収入を合算する人は「連帯債務者」となります。加えて、2人とも団体信用生命保険に加入できる「夫婦連生団信(デュエット)」を利用できるのがメリットです。一般的に、住宅ローン控除の対象にはなっても、団体信用生命保険の対象にはならないことが多いのですが、「夫婦連生団信(デュエット)」を利用できると、たとえどちらか一方が亡くなった場合でも、残りの住宅ローンが保険金で返済されるので安心です(ただし、デュエットを利用する場合は、金利上乗せの形で追加の保険料相当費用を支払うことになります)
 同性カップルが「フラット35」を利用するには、地方自治体が発行するパートナーシップ宣誓受領書などのパートナーシップ証明書や同性パートナーに関する合意契約に関する公正証書などの書類が必要になります。これは「フラット35」に限らず、多くの金融機関で共通しています。公正証書の取得には時間も費用もかかりますが、東京都で「パートナーシップ宣誓制度」が導入され、かなり多くの方々がパートナーシップ証明書を取得しやすくなった今、手続きがずいぶん楽になったのではないでしょうか。

 同性パートナーが生命保険の受取人になること、共同で住宅を購入すること、10年前には想像もできなかったようなことが現実になっています。LGBTQが奪われてきた権利の回復を求め、さまざまなかたちで世間に働きかけをおこなってきた活動家の方たちや、パレードなどに参加してきたみなさん、支援してくれたアライの方たちのおかげで、社会が変わってきたのです。

 住宅・不動産の分野でそうした活動のさきがけとなったのが、オープンリー・ゲイの須藤あきひろさんを中心に当事者の方たちが主体となってLGBTQフレンドリーな物件探しのサポートなどに取り組んできたIRISです。一昨年には米国の大手企業と連携して不動産仲介の全国展開を開始したり、着実に事業を広げ、より多くの当事者の方にリーチしてきました(最近、パートナーと同居するために大阪に引っ越しをした方のインタビューが掲載されましたが、同性カップルとしてお部屋探しをする際、どのようなきめ細かな配慮があるとよいかということがよくわかる記事でした)
 そのIRISが1/20、「東京都パートナーシップ宣誓制度」導入に伴って不動産会社もLGBTQフレンドリー化を強く求められるようになったことを受けて、LGBTQの住宅課題を考えるセミナーを実施するそうです(詳細はこちら)。主に不動産会社向けですが、LGBTQの住宅課題に関心のある方ならどなたでも参加できるそうです。



参考記事:
2023年1月から同性パートナーの方とも連帯債務でお申込みいただけます(住宅金融支援機構)
https://www.flat35.com/topics/topics_20221220.html
【フラット35】同性パートナーの申込み、今年から可能に。必要書類、住宅ローンの返済方法は?(SUUMOジャーナル)
https://suumo.jp/journal/2023/01/12/192894/

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