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米国が献血禁止基準から男性間性交渉の条件を撤廃、ゲイ・バイセクシュアル男性差別が解消へ
米食品医薬品局(FDA)が1月27日、ゲイ・バイセクシュアル男性の献血を制限していた「過去3ヵ月間に性交渉がないこと」との条件を撤廃する指針改正案を公表しました。長年のゲイ・バイセクシュアル男性への差別がようやく解消されることになります。
米国のゲイ・バイセクシュアル男性は1980年代、そのHIV感染リスクの高さを理由に献血が全面的に禁止されました。FDAは2015年、ゲイ・バイセクシュアル男性からの献血について「全面禁止」から「最後の性交渉から1年たった場合」に緩和し、2020年には「3ヵ月」に短縮しました(コロナ患者を救うため、多くの医師が声をあげたのでした)。このように、近年、その条件は緩和されてきましたが、性的指向を基準とした感染リスクの査定に対しては医学的根拠がなく、差別的だとの批判は免れませんでした。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHIV専門家モニカ・ハーン氏は、「もはやこのような禁止措置や待機期間を設ける医学的根拠は皆無」であり、FDAの方針は差別的で時代にそぐわず、科学にも基づいていないと述べています。ハーン氏は、「血液サンプルからHIV感染を発見する技術は今や革命的な進歩を遂げた」とも指摘しています。米疾病対策センター(CDC)は、献血されたすべての血液に関してHIVの抗体検査と核酸増幅検査(NAT)の両方を実施するよう義務付けており、抗体検査はHIVに曝露してから23~90日後でないと陽性反応が出ませんが、NATの場合は10~33日で感染を検出できます。NYマウントサイナイ医科大学の感染症専門医キース・シーゲル氏も、「深刻な血液不足が続くなか、制限はまだ厳しすぎる」と述べていました。
そうしてこのたび、FDAが正式に、規制を撤廃する方針を決め、性的指向による差別が解消されることになりました。
英国では2020年、献血禁止基準が見直され、性別や性的指向による差別が撤廃されました。フランスでも2022年、性別や性的指向による差別が撤廃されました。カナダやギリシャも同様です。
今後、他の国でも同様の基準の見直しが進みそうです。
なお、日本ではいまだに「過去6ヵ月以内に男性どうしの性的接触があった場合」献血できないことになっています(詳細はこちら)
参考記事:
米、献血制限緩和へ案公表 男性間性交渉の条件撤廃(共同通信)
https://www.47news.jp/8867755.html