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バイエルと虹色ダイバーシティが協働し、医療におけるジェンダー関連課題を視覚化するための動画を制作しました

 世界的な医薬品メーカーであるバイエルが、虹色ダイバーシティと協働し、医療におけるジェンダー関連課題を視覚化するための動画「LGBTQと医療」を制作しました。


 バイエル ホールディング株式会社(本社:東京都千代田区、以下「バイエル」)と認定NPO法人 虹色ダイバーシティは、ジェンダー平等の推進のため、2022年より3年間の協働を開始しました。協働活動の一環として2023年1月20日、動画「LGBTQと医療」を公開しました。
 バイエルは、インクルージョン&ダイバーシティを積極的に推進するライフサイエンス企業として、虹色ダイバーシティが掲げるミッション「Bridging the gaps for diversity and inclusion(ダイバーシティ&インクルージョンのための架け橋となる)」に共感し、虹色ダイバーシティによる「プライドセンター大阪」の運営や啓発活動を支援するため、2022年6月、虹色ダイバーシティに500万円を寄附し、I&D推進に向けた協働を開始しました。協働活動の一環として、医療におけるジェンダー関連課題を視覚化し、社会における理解促進を支援するため、LGBTQと支援者へのインタビューからなる動画「LGBTQと医療」を制作、一般公開しました。
 この動画は、Part1「当事者の経験談」、Part2「支援者の視点から」から成り、LGBTQ・支援者の語りからは、性別による決めつけ、カミングアウト、家族との関係、法制度などに関連する課題が浮かび上がっています。医療機関・企業・自治体・学校などにおけるLGBTQに関する理解を深めるための研修で活用できる「ファシリテーター向け補助資料」も添付されています。
 LGBTQは、社会構造によって生じる偏見や差別を背景として、さまざまな健康リスクに晒されやすく、また、医療の現場における性の多様性に関する知識や配慮の欠如がLGBTQの医療アクセスへの障壁の一端となりうるとされています(吉田絵理子『医療者のためのLGBTQ講座』より)
 こうした現状をふまえ、動画の制作背景や目的について、虹色ダイバーシティ代表の村木真紀は、「LGBTQサポート団体である虹色ダイバーシティと、ヘルスケアを中核事業とするバイエルが協働する相乗効果により実現できる活動についてディスカッションを重ねるなかで、医療におけるジェンダー関連課題をLGBTQ当事者・支援者の経験に基づくリアルな語りで視覚化し、共有するアイデアが生まれました。動画は、LGBTQの患者や医療従事者も当たり前にいることを大前提として、当事者・支援者の語りから、自分にもできることがあるかもしれないと考えを巡らせていただくことを目的としています。職場や学校での研修を含め、ぜひ、多くの場で活用いただきたいと思います」と語っています。
 また、バイエル ホールディング株式会社のフリオ・トリアナ代表取締役社長は、「ジェンダー平等の実現は、職場における公正さと相互の尊重、I&D、サステナビリティのいずれとも関連する重要な目標の一つです。多様な性で構成されている顧客をよりよく理解するためには、私たちの組織においても同様に多様な性や個性が尊重され、社員が安心して働き、能力を発揮できる職場環境を整えることが重要です。当社は虹色ダイバーシティとの協働を通じて、互いの多様な違いを認識、尊重していくために、ジェンダー平等の視点から考えるセッションを社員研修の一環として行ない、LGBTQ当事者の経験談から、多くの社員が新たな気付きを得ました。虹色ダイバーシティと協力して制作した動画『LGBTQと医療』が社会において広く活用され、より多くの方がLGBTQについて理解を深めてくださることを期待します」と語っています。
 ジェンダー平等に関連する協働活動は、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に貢献するものです。バイエルと虹色ダイバーシティは引き続き、協働活動を通じて、ジェンダー平等の推進に取り組みます。

 

 日経メディカルOnlineが昨年、医師会員8609人を対象に行なった調査によると、「LGBTという言葉の認知度」は一般よりも高いものの、「過去5年間のLGBTの患者の診療経験」を聞いたところ、45.9%が「全くない」、33.8%が「1~10人未満」との回答で、高年齢になればなるほどLGBTの存在に気づいていない様子がうかがえました。「同性パートナーについて、勤務先の医療機関でインフォームドコンセントや病名告知の場面、面会などにおいて配偶者(=患者の家族)と見なしているか」を聞いた設問では、1割弱の医療機関が同性パートナーを配偶者と見なしていないほか、配偶者と同等に扱うにはパートナーシップ証明書や公正証書など何らかの文書を必要とするとしている医師が3割弱に上りました(そもそも面会や医療代理人を「法律上の家族」に限定する定めはなく、同性パートナーの扱いは各医療機関に委ねられています)。また、「LGBTの方の診療で、どのようなことに戸惑ったり悩んだりしましたか?」という質問(自由記述)では、トランスジェンダーの患者さんへの待遇や接し方についての戸惑いや悩みがたくさん上がっていました。
 この調査では、医師の方々にLGBTへの認識を問う2つの正誤問題にも答えてもらっています。「出生時に割り当てられた性別と自認する性別が異なる場合、性別適合手術を行って違和を解消するのが最善の治療法となる」については正答率が52.5%、「性的指向(恋愛や性愛の対象がどのような性別に向くか)は、自分の意志で決められる」については正答率がたったの19.6%でした。性的指向は自分の意志で決められるものではないという根本的な(これを見誤ると差別につながりかねない)ことすら理解されていない、深刻な状況が浮き彫りになりました。
 そういう意味でも、今回の動画ができるだけ多くの医師(をはじめとする医療関係者)の目に触れ、LGBTQに関する基本的な事柄や当事者の困り事などを理解していただき、インクルーシブな医療につなげていただきたいですね。
 
 
 
参考記事:
虹色ダイバーシティとジェンダー平等の推進で協働 バイエル(農業協同組合新聞)
https://www.jacom.or.jp/ryutsu/news/2023/01/230124-64228.php
バイエルと虹色ダイバーシティ、ジェンダー平等の推進で協働(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000076998.html

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