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【同性パートナーシップ証明制度】盛岡市がついに導入へ、オープンリー・レズビアンの加藤麻衣市議の尽力で実現

 岩手県盛岡市が「同性パートナーシップ制度」を遅くとも来年5月までに導入する方針を決めました。オープンリー・レズビアンの加藤麻衣市議が制度導入を働きかけてきて、ようやく実現することになりました。8日に開かれた盛岡市議会定例会の一般質問で加藤市議は、胸を詰まらせながら、「県内外問わずお力添えをいただいたみなさまに対し、深い感謝の気持ちでいっぱいになりました…この場を借りてみなさまに御礼申し上げます」と語りました。


 2018年9月1日、岩手県盛岡市でいわてレインボーマーチが初開催されました。岩手県で初となるプライドパレードを主催した加藤麻衣さんはクロージングイベントで、お母さんにカミングアウトした時のエピソードを語りました。大学1年のとき、お母さんに言おうと思って、でも、なかなか言えなくて、とても切羽詰まった表情だったので、お母さんが「人殺しでもしたかと思った」と言ったそうです。そのうえで「麻衣が幸せならそれでいい」と言ってくれた…のですが、数日経つと、気が変わり、「病院に行け」と言い始めたそう…そこで、LGBTQの基礎知識が書かれた本を読んでもらうなどして、少しずつ理解を深めてもらいました。「今ではLGBTQのニュースがあると、こんなことがあったね、と話してくれます。人は変わることができます。根気よく対話を続けること。絶望せず。多様性ある社会には、コミュニケーションがとても大事だと思います。日本的な阿吽の呼吸ではなく。それが誤解を招くもとかもしれない。大変だけど、あきらめずに話していきましょう」。素晴らしいスピーチだなぁと感じました。
 そのパレードで、市内の繁華街に差しかかったとき、加藤さんは、当事者の方から寄せられたメッセージを読み上げました。「あと2、3年で、35歳になったら、自殺しようと思っていました。この街でレズビアンとして生きていくということは考えられなかったからです。しかし、岩手大学のLGBTサークルの集まりに参加するようになって、自殺を踏みとどまることができるようになりました」。嗚咽で胸を詰まらせながら、読んでいました。
 そんな加藤さんが市会議員を目指そうと思ったことには、必然性があったと思います。2019年8月の市議選で加藤さんは、めでたく2位で初当選を果たしました。

 加藤さんは(初めて議員になったばかりですし、若いセクマイ女性ですし、ベテランの議員からの見下しやホモフォビックな議員からの反発などもあったのではないかと想像しますが)、市議会で同性パートナーシップ証明制度をはじめLGBTQの社会的課題について訴え、2020年6月、盛岡市は、制度導入を検討すると表明しました。
 その後、市は第3次男女共同参画推進計画(2020~2029年度)に「制度導入の検討」を盛り込み、盛岡市男女共同参画審議会で制度導入の検討が進められてきたそうです(なお、盛岡市男女共同参画センターは今年5月、いわてレインボーマーチとコラボしたパネル展示を行なったほか、男女共同参画センターが入っているアイーナという建物をレインボーカラーでライトアップするという素敵な取組みを見せてくれました)。そしてこのたび、男女共同参画審議会の出席委員が満場一致で「同性パートナーシップ制度」導入準備を具体的に進めることが承認され、谷藤裕明市長が市議会で「自分らしく生きることができる社会を目指す制度としてとらえている取組みであり、今後は、令和5年度早期の導入を目指し、具体的な取組みを進めてまいります」と述べました。今後、男女共同参画審議会と協議しながら、制度の手法(条例なのか要綱なのか)、対象者の範囲・条件など具体的な内容を詰めていくそうです。
 加藤市議は、胸を詰まらせながら「県内外問わずお力添えをいただいたみなさまに対し、深い感謝の気持ちでいっぱいになりました…(数十秒の沈黙…「頑張れ!」のエールが飛び交いました)この場を借りてみなさまに御礼申し上げます」と語りました。
 岩手めんこいテレビの取材に対し、加藤市議は「私が目指す『生きがいのある世界』『生きていて良かった』とすべての存在が言える世界のことなんですけど、その実現に一歩二歩三歩近づいたと認識しています」と語りました。

 加藤さんは今年のいわてレインボーマーチ(IRM)のクロージングイベントで、パートナーができたことを紹介し、「やっと生きてていいんだと思えました」と、「まだまだ岩手には生きづらさを抱えた人が多いです。今年の3月にも自殺未遂した人がいます。その人たちのためにもIRMが続いていくことに意味があります」と涙ぐみながら話していました。
 保守的な東北・岩手の地で、生きづらさを抱えた方が多いなか、仲間のためにも勇気を持ってカミングアウトし、パレードを立ち上げ、市議にもなり、ついに「同性パートナーシップ制度」を実現したのは、きっと全国の地方の方々を勇気づける物語だと思います。彼女のこれまでの尽力に、心からの拍手を贈りたいです。
 

 なお、岩手県では、盛岡市だけでなく一関市も年内の同性パートナーシップ制度の導入を検討しています。盛岡市は一関市と合わせた今年度中の導入は難しいとしながらも、「情報交換しながら連携を図りたい」との考えも示しました。
 
 


参考記事:
【岩手県】「同性パートナーシップ」盛岡市が来年までに導入へ(日テレ)
https://news.ntv.co.jp/nnn/1170fasjtd7a0k9luuc
「パートナーシップ制度」 盛岡市が来年5月までに導入する方針 市議会で表明(岩手放送)
https://news.ibc.co.jp/item_48030.html
同性パートナーシップ制度 2023年導入へ 旗振り役の市議「大きな前進」と評価<岩手・盛岡市>(岩手めんこいテレビ)
https://www.fnn.jp/articles/-/414688
同性パートナーシップ制度 盛岡市が来年5月導入方針【岩手】(岩手朝日テレビ)
https://www.iat.co.jp/news-iat/news-785886/
同性パートナーシップ制度、来年導入へ 盛岡市、5月にも(岩手日報)
https://www.iwate-np.co.jp/article/2022/9/8/124591

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