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【同性パートナーシップ証明制度】栃木県などで制度スタート、長野県が来春導入へ
長野県の阿部守一知事は9月1日、同性パートナーシップ証明制度の導入を表明、来年4月の施行を目指す方針を明らかにしました。知事は「性的マイノリティの方々が生きづらさを感じている」とし、導入に向けて市町村などと調整を進める考えを示しました。
今年5月、当事者と支援者の団体「レインボーフェローズナガノ」が制度導入を要望したことを受けて、県が検討していました。長野県内では松本市と駒ケ根市がすでに制度を導入していて(長野市は今年中に導入予定、辰野町、千曲市、須坂市は時期未定ですが検討中です)、県もパートナーシップを宣誓したカップルに県立病院での面会や県営住宅への入居を認めていますが、県内の全市町村で速やかに制度が整備されるのは難しいと判断し、県として導入することを決めたそうです。
都道府県としてはこれまで茨城県、大阪府、群馬県、佐賀県、三重県、青森県、秋田県、福岡県、栃木県の9府県で「パートナーシップ宣誓制度」が導入されており、長野県は全国で10例目となりそうです。
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栃木県は、9月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました(都道府県として全国で9例目です)
希望するカップルが「互いを人生のパートナー」だとする宣誓書を窓口に提出すると、公的に二人の関係を認めたことを示す宣誓書受領カード(パートナーシップ証明書)を受け取ることができます。カップルはこのカードを提示することで、公営住宅に入居することができたり、どちらかが入院したときにパートナーが面会できるようになったり、また、新婚世帯らが協賛店舗で割引などの特典が受けられるとちぎ結婚応援カード「とちマリ」も利用できるようになります。
1日、宇都宮市に住むカップルが宣誓を行ない、宣誓書受領カード(パートナーシップ証明カード)を受け取りました。お二人は「制度の導入を待ち望んでいました。県で制度が開始され、願いがかないました」「今後は同性婚が法的に認められるとよいと思います」と県を通じてコメントを寄せました。
県内で性的マイノリティについての啓発活動に取り組んでいる20代の実さんは、「栃木県でもジェンダーに目を向ける制度が始まり、性的マイノリティに寛容になってきたと感じました。これを機に、性的マイノリティの人たちを理解まではできなくても、受け入れてくれる輪が広がってほしいです」と語りました。
県内では鹿沼市、栃木市、日光市、野木町の4市町が個別に制度を導入しており、佐野市でも1日に制度を導入しました。各市町でこれまでに計8組が宣誓していたため、県全体でパートナーシップ宣誓を行なったカップルは宇都宮市のお二人を入れて9組となるそうです。
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また、9月1日には新潟県三条市でも「パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度」が導入され、第1号のカップルが手続きを行ないました。
三条市役所を訪れた羽賀風真さんとパートナーの長谷川玲奈さんは1日の9時頃に三条市役所の窓口で宣誓を行ない、三条市内で作られている大谷地和紙の記念台紙を添えた証明書を受け取りました。
お二人は2021年の1月から一緒に暮らしていて、来年の3月に結婚式を挙げる予定だそうです。
羽賀風真さんは「みんなが婚姻届を出す時の感じって、ああいう感じなのかなと思った。なんか新鮮な気持ちだった」と、長谷川玲奈さんは「まだ実感がないけど、でもやっぱり公的に認めていただけたことに、改めてすごく喜びを感じる」と語りました。パートナーシップ制度について羽賀さんは「まず、制定されたということに対して、市役所の人たちと署名にご協力いただいた皆様にとても感謝しています。僕らが第1号だけど、この先、第2号、第3号という風に続いてほしい。市民、住民の人だけではなく、パートナーシップ制度をするために三条市に人が来てくれたらうれしい」と語り、長谷川さんは「三条市にパートナーシップ制度ができたことは第一歩だと思うけれど、やっぱり市町村ごとではなくて、次は県単位、その次は国単位でこういった制度ができるように引き続き活動していきたい」と語りました。
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県としての制度導入を検討している富山県では8月30日、富山県内の市町村長が出席するオンラインでの「ワンチームとやま連携推進本部会議」が開かれ、県は県内の市町村と連携しながら導入を進める考えを示しました。
この会議では、カード型の「パートナーシップ宣誓書受領証」を交付する案が県側から示されました。県に宣誓を行ない、受領証(証明カード)を受け取ったカップルは、公営住宅の入居申込みや公的病院での面会の申請などが認められるとしています。
これを踏まえ会議では、制度の導入には市町村の協力が必要だとして、取組みへの理解と性の多様性に関する普及啓発への協力が呼びかけられました。
県では来月、パートナーシップ宣誓書受領証を受け取った方に適用される行政サービスの内容について課題を検討する市町村担当者会議を開くことにしています。
制度導入時期はまだ発表されていないようですが、こうして具体的な検討が進んでいることがわかりました。
富山県で導入されると、都道府県としては北陸初になります(福井県も今年6月、当事者や支援団体などの話を聞いたうえで調査・研究していくとの方針を示してします)
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岩手県では、同性パートナーシップ証明制度に限らず、差別禁止や、さまざまな分野での性的マイノリティの人権の尊重を盛り込んだ制度づくりをLGBTQ支援団体が求めました。
要望を行ったのは「岩手レインボー・ネットワーク」など県内の8つの団体で、8月29日に代表が県庁を訪れ、要望書を手渡しました。昨年、県内に住んでいるか住んだことのある当事者の方たちにアンケート調査を行なったところ、90%以上が「差別や生きづらさを感じたことがある」と回答し、同性パートナーシップ証明制度の創設を求める意見も多く寄せられたということです。これを踏まえ、要望書では、性的指向や性自認などを理由とした差別の禁止や、多様な家族のあり方を認める制度の創設、学校教育や防災などさまざまな分野での性的マイノリティの人権の尊重などを求めています。
要望書を受け取った福田直環境生活部長は「制度面で取り組むべき課題に対し、みなさんと意見交換しながら考えていきたい」と述べました。
要望を行なった「岩手レインボー・ネットワーク」の山下梓主宰は、「県内には、もう明日しんどいと思っている人たちもいるはず。仲間の団体と一歩踏み出せたて、スタートにようやく立ったと思う」「個別の支援や居場所づくりだけでは限界があると感じていた。制度面での整備が進み、生きづらさを抱える人たちの暮らしを少しでもよい方向に変えていきたい」と語りました。
岩手県と隣接する青森県、秋田県ではすでに県として「パートナーシップ宣誓制度」が導入されています。岩手県も当事者の方たちの要望を聞き入れ、制度導入を決めていただければ…と願うものです。
参考記事:
「同性パートナーシップ制度」来年4月施行目指す 阿部県政4期目スタート コロナ・物価対策など急務(長野放送)
https://www.fnn.jp/articles/-/411518
長野県、パートナーシップ制度を来春導入へ(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASQ9174VLQ91UOOB004.html
性的少数者の「パートナーシップ制度」 長野県、来年4月施行を目指す(信濃毎日新聞)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022090100997
県が「パートナーシップ宣誓制度」を導入 今月から(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20220902/1090013254.html
県、パートナーシップ制度導入 カップル第1号誕生 「願いかなってよかった」/栃木(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220903/ddl/k09/040/099000c
宣誓第1号、宇都宮在住のカップル パートナーシップ制度導入 栃木県(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/629808
三条市でパートナーシップ制度開始 第1号のカップルが手続き(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20220901/1030022475.html
「公的に認められたこと喜び」三条市パートナーシップ第1号(新潟放送)
https://news.goo.ne.jp/article/bsn/region/bsn-140472.html
「公的に認めて頂けたことに喜びを感じる」新潟県三条市でパートナーシップ制度の第1号カップルが宣誓し、証明書を受領(日経新聞)
https://www.niikei.jp/494016/
“パートナーシップ制度”市町村と連携し導入へ…カード型「宣誓書受領証」交付案も 富山県(富山テレビ)
https://www.fnn.jp/articles/-/410259
「LGBT」支援団体が県に要望書提出 差別の禁止など(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20220829/6040015361.html
性の多様性認め合う社会を 8つのLGBT団体が県に要望/岩手(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/137601