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世界が美輪様を再発見、「もののけ姫」のモロの声を演じた”ドラァグクイーン”として
Yahoo!の記事でも紹介されたように、『もののけ姫』の舞台裏を追ったドキュメンタリーから美輪様の演技力の凄さがわかるシーンがSNSに投稿されて反響を呼び、『Out』誌が美輪様を高く評価する記事を書くに至りました。いわば、世界が美輪明宏というクィア・アクターの凄さを再発見したのです。
A reminder that Akihiro Miwa (born in 1935) is one of the most prominent queer icon in Japanese history who survived the atomic bombing of Nagasaki (his hometown) during WW2.
— 箕島 綺譚(they/them) Support Black Trans Liberation (@MishimaKitan) August 24, 2022
(Continued ↓) https://t.co/jZiBt3xdiI
言うまでもなくジブリ作品の多くは海外でも上映され、絶大な人気を博し(千と千尋はアカデミー賞も受賞しています)、多くのジブリファンが存在していますが、『Out』誌によると『もののけ姫』もまた「永遠の名作」であると認知されているようです。
Yahoo!の記事によると、日本以外では、国外のアニメ作品は母国語の吹替で観るのが当然のこととなっているため、ジブリ作品もまた、英語での吹替版が鑑賞されてきました(『もののけ姫』でモロの声を演じたのは『X-ファイル』シリーズでおなじみのジリアン・アンダーソンだったそうです)。オリジナルの日本語バージョンで鑑賞する人はごくわずかなマニアの方に限られ、美輪様の演技を知る人もほとんどいなかったようです。
そんななか、『もののけ姫』の製作の舞台裏を追った2001年のドキュメンタリー『「もののけ姫」はこうして生まれた。』(英題:”How Princess Mononoke Was Born”)から、とあるファンの方が、美輪様がモロを演じているシーンと、その迫力の演技を(ふだんは厳しめな)宮崎駿さんが手を叩いて絶賛している様子を切り抜いてTwitterに投稿したところ、世界的に拡散され(視聴回数は240万回超)、7.8万件のいいねがつき、さらに、この投稿に対してノンバイナリーの箕島綺譚さんという方が「1935年生まれのアキヒロ・ミワは日本の歴史における最も優れたクィア・アイコンであり、長崎で被爆し…」という解説を加えた引用リツイートには13万件のいいねがつくというかたちで、美輪明宏という人がどんな人物なのかが紹介されました。
そうして『Out』誌が8月24日、日本のアイコニックな「ドラァグクイーン」として美輪様をフィーチャーした記事を掲載しました(美輪様はドラァグクイーン文化が日本に伝わるずっと前から活躍していた方ですし、ドラァグクイーンとか異性装者といった概念を超えた存在だと思いますが、海外の方は(マーシャPジョンソンなどと同様に)敬意を込めてこう称しているのでしょう)
「『もののけ姫』は永遠の名作だが、多くのファンはさらにこの作品を神格化するような1つのトリビアを今知ったところだ」
「オリジナルの日本版でモロ(狼の女神)の声をドラァグクイーンの美輪明宏が演じている。あの有名な狼の笑い声は彼が演じるのが完璧だと感じさせる」
「『もののけ姫』はオスカー受賞監督の宮崎駿の最も愛される作品だが、多くのファンにとっては、モロは忘れることのできない存在だ。狼の女神であり、サンの母親は、恐ろしくも美しい、強く、シャープで、危険な、良き母親だ。その声がクィアの人物によって与えられたことは、モロをさらに素晴らしいものにしている」
「美輪が間違いなく身の毛がよだつような、力強い、フェミニンで、どら声の高笑いを画面に定着させたことは、素晴らしく、才能ある声優のパフォーマンスがいかに映画をより良いものにするかということを示している」
「ファンはまた、日頃はストイックな宮崎が幸せそうでポジティブなリアクションで美輪を讃える様を愛している」
『Advocate』や『PinkNews』などとともに最も多くのLGBTQに読まれているオンラインマガジンの一つである『Out』が、こうして美輪明宏という日本のレジェンダリーなクィア・アクターを高く評価し、世界がその素晴らしさを知ることになったのは本当に誇らしいことです。ジブリのおかげでもあります。
これを機に、日本ではほかにもピーターさんのような素晴らしいクィア・アクターが60年代から活躍していたということや、『ルポールのドラァグレース』に負けないくらいたくさんの素晴らしいドラァグクイーンがいるということも認知されるようになるといいですね。
参考記事:
Meet the Japanese Drag Queen Who Voiced One of Studio Ghibli's Most Iconic Characters(Out)
https://www.out.com/film/2022/8/24/meet-japanese-drag-queen-who-voiced-iconic-ghibli-character
「もののけ姫」のモロの君の声を「日本のドラァグクイーンが演じていたのか!」と、いま感激する海外の反応(Yahoo!)
https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/20220831-00312870