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ブータンで同性愛者であることをカムアウトしているタシ・チョデンさんがミス・ブータンに選ばれ、ミス・ユニバース世界大会に出場することになりました

 ブータンで初めて、同性愛者であることをカムアウトしているタシ・チョデンさんがミス・ブータンに選ばれ、ミス・ユニバース世界大会に出場します。

 「幸せの国」とも言われるヒマラヤの小さな仏教国ブータン。経済成長よりも国民の幸福を優先する「国民総幸福量」を理念として掲げていることで知られています。しかし、LGBTQの幸福については歩みが遅く、同性間の性交渉を禁じる刑法(いわゆるソドミー法)が撤廃されたのは昨年2月のことでした。(2019年6月に下院で撤廃が承認されていましたが、2020年2月に上院で修正要求がついたため、いったん下院に戻され、2020年12月にあらためて上院で採択されて成立し、昨年2月に施行されたとのことです)
 
 14歳の時に両親を亡くしていたチョデンさんは、「たくさんのリサーチと自問」を重ねた末、昨年6月のプライド月間にカミングアウトを果たしました。当初は保守的で信心深い親戚からものすごい反発を受けたそうですが、「少し経つと、とても理解を示してくれるようになった」そうです。「多くの人が家族や親戚に受け入れてもらえないなかで、とても感謝しています」
 そしてチョデンさんは、自身が今年のミス・ブータンに選ばれ、約80万人の国民とこの国のLGBTQ(性的マイノリティ)の代表となったことを「一大事」だと語ります。「ミス・ユニバースのような大舞台で、ブータン社会を代表するだけでなく、LGBTQコミュニティも代表するのです。彼らの声になれるのです」
 ミス・ブータンに選ばれ、ミス・ユニバースへの出場が決まった後、インターネット上で「否定的な反応」も見受けられたそうですが、チョデンさんの姿勢は国内外で支持を集めているそうです。ロテ・ツェリン首相も個人的に祝辞を贈り、チョデンさんの健闘を祈りました。
 
 同性間の性行為が非犯罪化されて以降、ブータン社会はLGBTQに寛容になり、受容度が高まりつつあるといいます。
 トランス女性の法的性別変更が認められたり、テレビに出演するなどして、LGBTQコミュニティの動きが徐々に可視化されてきました。ブータンの活動家、ナムゲイ・ザムさんは、「ブータン社会は概して受容的。何人かのトランス女性が法的な性別や氏名の変更が認められるようになり、可視化も進んできました」と語っています。理学療法士のパッサン・ドルジさんは2015年、テレビでカミングアウトを果たしました。彼は「この美しい、幸せの国にもLGBTQコミュニティが存在するということを知らせたかったし、若い世代を勇気づけたかったのです」と語っています。
 同性カップルの権利保障をはじめ、LGBTQに関する法整備はまだ進んでいませんが、「政府はより受容的になってきたし、市民社会もオープンになってきました。たくさんの前進があります」とLGBTQの活動家、タシ・ツェッテンさんは語ります。
 
 そして今、ブータンを代表して世界中が見守るミス・ユニバースの舞台に臨むチョデンさんは、ブータンのLGBTQユースの希望の星になろうとしています。
 若いバイセクシュアル女性、レギタ・グルンさんは、「クィアの女性がミス・ブータンになったことで、クィアのコミュニティ、とりわけクィアの若者たちが、人生でより大きな目標を持つことができるようになりました」と語っています。「彼女が代表になったことで、私たちが自信を持って表舞台に立つ道が開かれたのです」
 
 

参考記事:
ミス・ブータン、同性愛公表して若者の希望の星に(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=20220822043399a
ミス・ブータン、同性愛公表して若者の希望の星に(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3419983

Are LGBTQ rights blossoming in Bhutan?(DW)
https://www.dw.com/en/are-lgbtq-rights-blossoming-in-bhutan/a-62394405

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