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卓球、柔道、馬術という国内競技連盟3団体がLGBTQ差別禁止の新規定を設けました
昨夏の東京大会で実施されたスポーツの国内競技54団体(NF)のうち、卓球、柔道、馬術の3団体が東京大会を機にLGBTQ(性的マイノリティ)への差別的な言動を防ぐ規定を新たに設けたことが8日(五輪閉幕から1年となる日)、共同通信のアンケートでわかりました。
アンケートは7月中旬までに、昨夏の東京大会で行われた競技を統括する54団体を対象に実施し、53団体から回答があったそうです。性的マイノリティに関する相談窓口は20団体(37.7%)が「設置を検討中」と回答、10団体(18.9%)が「これまでに性的指向や性自認、性別変更などの相談があった」と回答した一方、「研修会や勉強会の実施は検討していない」と回答した団体が26団体(49.1%)に上りました。
そうしたなか、卓球、柔道、馬術の3団体がLGBTQ(性的マイノリティ)への差別的な言動を防ぐ規定を新たに設けたことが確認されました。
全日本柔道連盟は、倫理・懲戒規定の違反行為に「性的指向・性自認等に関連したハラスメント」を追加しました。また、公式サイトに「東京2020D&Iアクション-誰もが生きやすい社会を目指して-」という記事を掲載、「私たち一人ひとりは、人種、肌の色、性別、性的指向、性自認、障がい、言語、宗教、政治的又はその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別がなく、互いを認め合い、誰もが自分らしく生きられる共生社会を目指します。東京2020大会を契機として、私たちの社会と未来に向けて何ができるかを考え、大会後も実践していくものとして、私たちのアクションを宣言します」と謳いました(素晴らしいですね)
日本卓球協会は「多様性検討チーム」を新設し、新規定も策定したそうです(公式サイトには記述がなく、詳細は不明です)
日本馬術連盟の公式サイトにもまだ特にLGBTQ関連の記述は見当たりませんが、同様の規定を設けたようです。
(スポーツドクターの貞升彩さんという方が「馬術はもともとジェンダーカテゴリーがない唯一のオリンピック種目であり、このテーマに対するNFの意識も高いのかもしれない」とコメントしていて、なるほどなぁと思いました)
(そういえば、昨年のパラリンピックに出場した唯一のゲイの選手で、見事に金メダルを獲得したリー・ピアソン選手も馬術競技の選手でした)
東京2020大会は「多様性と調和」を掲げ、東京都が「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」を制定してLGBTQ差別禁止を明文化したり、大会組織委が「持続可能性に配慮した調達コード」を策定し、東京五輪に提供する商品やサービスの製造・流通等に関わるすべての企業がLGBT施策の実施(差別禁止)を求めることになりました。また、プライドハウス東京が中心となってLGBTQへの理解促進の取組みを行なってきたことも、こうした国内競技連盟でのLGBTQへの取組みにつながっているはずです。
昨夏の東京大会は、特に開会式の直前に人権に関してさまざまな問題が噴出し、批判を呼んだということはあったものの、こうして卓球、柔道、馬術という3団体がLGBTQ差別禁止に向けた取組みを進めたことは、東京大会のレガシーとして評価できるでしょう。例えば国内の企業では、パワハラ防止法のなかでSOGIハラ(LGBTQ差別)の禁止が盛り込まれ、防止策への取組みが必須(措置義務)となりましたが、スポーツ界においても今後、こうした動きがよりいっそう広がりを見せ、性的指向や性自認による差別がなくなっていくことを期待します。
参考記事:
3団体が性的少数者の新規定 五輪パラ機に、多様性検討も(共同通信)
https://nordot.app/929306232273567744?c=768367547562557440
LGBTQで3団体が新規定 柔道など差別的言動を禁止(産経ニュース)
https://www.iza.ne.jp/article/20220808-ERGE77ALYVKS3LCIUNRSP2N24Y/