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LGBT差別冊子への抗議署名5万筆が提出され、「LGBTをめぐる宗教と政治」と題する記者会見も開かれました
自民党の国会議員が参加する会合で神道政治連盟が「同性愛は精神障害、または依存症」などといった非科学的で差別的な内容の冊子を配布していた問題を受け、「LGBT差別冊子の対応を求める有志」が7月25日、自民党に対して内容を明確に否定するよう求める5万1503人分の署名を提出しました。
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神道政治連盟が「同性愛は精神障害で依存症」「LGBTの自殺は本人のせい」など誤謬と悪意に満ちた冊子を自民党系議連で配布していたことが明らかに
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LGBTQフレンドリーな神社を知るための「#私のお賽銭のゆくえ プロジェクト」が立ち上がりました
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6月29日、自民党の国会議員の大多数が参加する「神道政治連盟国会議員懇談会」が開いた6月の会合で、「同性愛は後天的な精神の障害、または依存症」「個⼈の強い意志によって依存症から抜け出すことは可能なので、同性愛からの回復治療の効果が期待できる」「LGBTの自殺は社会の差別が原因ではない。LGBTは⾃分⾃⾝が様々な⾯で葛藤を持っていることが多く、それが悩みとなって⾃殺につながる」「同性愛の原因について、家庭環境、特に親⼦関係に問題がある」「同性愛を擁護する教育をすれば同性愛者は増える」「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題となるから」などと記された冊子が配られていたことが明らかになりました(キリスト教原理主義の楊尚眞教授の講演録でした)
これに対し今月4日、同党本部前で抗議集会が開催され、数日後に要望書も提出されました。LGBT法連合会も声明を発表し、「こうした言説自体が人権侵害であるのみならず、極めて非科学的な事実誤認だ」と抗議しました。また、この問題を明らかにした松岡宗嗣さんが呼びかけ人となって「冊子に書かれている内容を明確に否定し、差別をなくす姿勢を示すこと」「誤った認識に基づく差別的な考えを広めないため、冊子を回収すること」を求める署名も集められ、約3週間で5万1503筆が集まりました。
7月25日、自民党総裁の岸田文雄首相と神道政治連盟国会議員懇談会事務局長宛に署名が提出され、併せて「LGBTをめぐる宗教と政治」と題して東京都内で記者会見が開かれました。
まず、抗議集会を開いたワインさんは、「自民党は率先して冊子の内容を明確に否定し、国民に正しい理解を示してほしいです。非科学的、非論理的な認識のままではLGBTQの人権を守れません」「正しい理解を党内で理解を深めてください」「家族や友人、知人、同僚、国民一人ひとりの人権と向き合う姿勢を示していただきたいです」と語りました。
署名の呼びかけ人である松岡宗嗣さんは、「いずれも事実として間違っており、悪質な差別言説」だと語り、特定の宗教と与党の政治家との関係に警鐘を鳴らしました。
「同性愛は精神障害や依存症ではなく、異性愛へと矯正しようとする転向療法は暴⼒的な⼈権侵害です。性的マイノリティの⾃殺率が⾼いのは、社会に根深い差別や偏⾒が残っているからであり、同性愛の原因は親⼦関係にあり、擁護すれば同性愛者が増える、家庭と社会が崩壊するといった⾔説も、悪質な差別⾔説であり⾔語道断です。問題は、この冊⼦が政権与党である⾃⺠党議員の⼤多数が参加する会合で広められたことであり、報道によると、司会の議員からは『ぜひ読んでほしい』と呼びかけられたと⾔われていることからも、こうした差別⾔説を正当化している点で看過できません。差別冊⼦の配布が報じられて以降、メディアの取材などで、神道政治連盟側は『差別の⽬的はない』などと⾔い訳をし、こうした明らかに事実誤認の差別⾔説が『いろいろな考え⽅の⼀つ』かのように語られてしまっています。⾃⺠党からも何の対応もなく、差別が容認されてしまっていると⾔わざるをえません」「旧統⼀教会の執拗な反対運動が展開されていることを知っていただきたいと思います。そして、昨今はトランスジェンダーにもその⽭先が向かっています。加えて、旧統⼀教会だけでなく、今回の神道政治連盟など、宗教右派と⾃⺠党保守派の議員がつながって、ジェンダー平等や性的マイノリティに関する権利保障に反対し続けていること、その動きが⾮常に根深く、法整備を妨げる⾼い壁になっていることが知られてほしいと思います」
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の発起人であり、「私のお賽銭のゆくえプロジェクト」の共同発起人でもある井田奈穂さんは、これまで選択的夫婦別姓の実現を求めて数々の自民党の(閣僚を含む)国会議員に陳情をしてきたなかで、「お寺と神社にお願いに行きなさい」「神社本庁が支持母体の議員はNGだと思うけどね」などと言われたこと、神社の境内で配布されているパンフレットに「神政連の役員を中心に別姓婚や同性婚を食い止めてきたという成果」との文言があったこと、議員会館に置かれている別姓婚・同性婚反対のビラなども含めてやたらと共産主義、反日工作員というワードが出てくることなどを明かしながら、神政連、日本会議、旧統⼀教会などの思想が同党の政策に影響を与え、別姓婚や同性婚の実現を阻んできたことを指摘しました。「私のお賽銭のゆくえプロジェクト」には多くの神社から「差別的なのは神社本庁や神政連のごく一部の幹部で、迷惑している。活動を応援している」という声が寄せられている、ということも教えてくれました。
ジェンダーをめぐる政治などに詳しいモンタナ州立大社会学・人類学部の山口智美准教授は、会合で配られた楊尚眞教授の思想がアメリカのキリスト教原理主義の影響を受けていること、神社本庁・神政連の考え方と近いことなどを指摘し、こうした状況がなぜ起こったかということについて、2000年代初期の「ジェンダーフリー」へのバックラッシュの頃まで遡って説明してくださいました。そのお話のなかで、統一教会が地方のLGBTQ施策に介入してきたことが明かされました。宮崎県都城市で2003年に制定された「性別又は性的指向に関わらず人権を尊重する」と謳う画期的な条例に対して統一教会が反対運動を展開し、2006年に「性的指向」の文言が外されることになったということ、そこから富山や福井など地方の男女共同参画運営の場などにも入り込んで内部から政策を変えていったということ(富山といえば、富山市議が統一教会幹部の勉強会を議会棟で複数回行なっていたことが記者会見と同日の報道で明らかになっています→こちら)、2015年の渋谷区の同性パートナーシップ証明制度のときにも反対のチラシが撒かれたこと、先日の埼玉県の条例などでも反対運動を展開したこと、自民党の『わが党の基本的な考え方』から性的指向や性自認の文言が消えたことや、LGBT新法の審議の際の差別発言なども、統一教会と結びつきの強い論客や議員が関わっていることなどを挙げながら、「このようにパートナーシップ制度の広がりやLGBT新法などの法整備に対するLGBTQバッシングが拡大しています。統一教会が家族や結婚というイシューに関して、具体的にどう政策に影響を与えてきたのか、まだあまり報道されていないと思いますので、選挙運動の応援をしたとかのレベルではなく、どのように同性婚や別姓婚を阻止してきたかという点での追及が必要だと思います。当事者の動きもどんどん報道してほしい」と語りました。
4名のお話の後、質疑応答が行われ、会場の記者の方から、世界的なトランスバッシングの意味、トランプ政権との関係、幸福の科学との関係、家庭教育支援法のことなど、盛んに質問がなされていました。
今回の記者会見はポリタスTVにてご覧いただけます。詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
参考記事:
「同性愛は依存症」冊子に5万人の抗議署名 「政治と宗教がマイノリティの権利保障を阻害」(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/105109
「人権侵害」と5万人署名提出(共同通信)
https://nordot.app/924213516808273920?c=724086615123804160
自民に抗議署名5万人超 性的少数者に差別的な冊子(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220725/k00/00m/010/270000c
「LGBT差別冊子」の内容否定して 自民に5万筆の抗議署名(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ7T6V78Q7TUTIL029.html
性的少数者差別冊子の否定や回収求め ネット署名5万筆超を首相に提出 井上義行氏に言及も(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-926464.html
LGBT差別冊子、当事者が自民党に署名5万筆を提出。「宗教と政治、追及が必要」(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_62de35e7e4b0a6852c395833