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上司らに性別変更について侮辱・ハラスメント・アウティングを受け、精神障害で辞職に追い込まれた元看護助手と病院側の間で和解が成立しました
性別変更したことを勤務先の病院の上司らに侮辱されたなどとして大阪市の元看護助手が病院側に約1200万円の損害賠償を求めた訴訟について、大阪地裁で和解が成立しました。病院側が上司の発言の一部について謝罪し、解決金を支払います。
訴状によると、元看護助手のトランス女性は、20代で性別適合手術を受け、戸籍上の性別も男性から女性に変更していました。名前も女性名に変えて、男性と結婚しました。彼女は2013年から大阪府吹田市の病院に勤務しましたが、上司が無断で同僚の前で「元男性」だと暴露し(アウティングを受け)、「同じ更衣室を使うのは気持ちが悪い」などと侮辱されたり、性器を見せるよう要求されるなどのセクハラもあり、また、上司から男性のような名前で呼ばれ(ミスジェンダリング)、婚姻について侮辱され、夫への中傷もあったといいます。彼女は精神的苦痛から半年後に精神障害を発症し、病院を辞めました(本当にひどい話です…)。2019年8月、彼女は精神的な苦痛を受け、自殺を図ったとして、病院を運営する法人に約1200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしていました。
今回、和解が成立し、病院側は労災認定を受けたことについて謝罪しましたが、アウティングについては認めていないそうです。
彼女の代理人を務める仲岡しゅん弁護士(大阪弁護士会)は、「性的指向や性同一性障害に関するハラスメントは当事者が命を絶つことにもつながると重く受け止めてほしい。職場での適切な対応を求めたい」とコメントしています。
病院側の代理人は「コメントは差し控えたい」としています。
昨年、この件で女性は、大阪府の茨木労働基準監督署によって、おそらく全国で初めてSOGIハラの労災認定を受けています。
侮辱や差別、ハラスメントを受けて精神障害を患い、辞職に追い込まれた被害者の女性は、本当にお気の毒でしたが、労災に認定され、裁判でも和解が成立して病院側が謝罪したのはよかったですね。これを機に、パワハラ防止法で定められているように、あらゆる職場でSOGIハラやアウティングの重大さが認知され、二度とこのような悲劇が起こらないような防止策が講じられるようになってほしいです。
参考記事:
“性別変更で差別”元看護助手女性訴え 病院側謝罪し和解成立(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220524/2000061503.html
性別変更「アウティング」で和解 病院側、元看護助手に謝罪―大阪地裁(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022052400901
性別変更で上司ら「侮辱」 病院側謝罪で元看護助手と和解 大阪地裁(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220525/ddm/012/040/135000c
「性別変更」を無断で公表、「同じ更衣室使うのは気持ち悪い」と侮辱…勤務先の病院側が謝罪(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220524-OYT1T50191/