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石川大我議員が、海外で日本人と同性婚した外国人パートナーについても在留特別資格を認めるよう前向きに検討するとの答弁を引き出しました
4月7日、参議院内閣委員会において、国会で唯一のLGBTQ議員である石川大我参議院議員(立憲民主党)がLGBTQ施策について質問を行ない、海外で日本人と同性婚した外国人パートナーについても在留特別資格を認めるよう前向きに検討するとの答弁を引き出しました。そのほか、国勢調査での同性カップルの取扱いや、各省庁にまたがるLGBTQ施策の一元的な把握や調整の必要性などについて、質問が行なわれました。以下、要約してお伝えします。
2022年4月7日12:45、参議院内閣委員会にレインボーカラーのマスクを着けて登場した石川議員は、自らが2000年頃に自治体に取組みを求めた際は眉をひそめるようにして追い返されたが、今や時代はずいぶん進んだと、しかし政府は世の中の流れに追いついていない部分もあるのではないかとして、LGBTQ施策について質問を行ないました。
最初に、「昨年3月、参議院で福山哲郎幹事長がLGBTの課題を担当する省庁がないと指摘し、担当大臣を指名すべきだとしたことで、内閣府特命担当大臣が所管となることが決まったと、若宮内閣府特命担当大臣が所管ということでよいですね?」と確認したうえで、若宮大臣に「これまでどのような取組みをされてきたか、人数や体制について教えてください」と質問。若宮大臣は「政府としては、性的指向や性自認について、職場や学校で啓発活動や相談対応を行ない、人権救済を行なう必要があると認識、特化した部署はないが、2名の職員が当たっている」と答えました。
続いて石川議員は、各省庁の施策について尋ねました。
内閣府に対しては、「内閣官房では、孤独・孤立対策の重点計画でLGBTQも施策の対象に上げている。ぜひ当事者からヒアリングして進めていただきたい。平成22年の男女共同参画基本計画で、性的マイノリティについても言及され、困難がある場合は実態の把握や人権救済措置、と書かれている。ぜひ内閣府でも独自の取組みを。民間ではLGBTQ人口の把握や、様々な調査が行なわれている」と問い、赤池内閣府副大臣は、「男女共同参画基本計画自体、幅広く、多くの省庁にわたっている。どうしたら的確に実態が把握できるのか、検討させていただきたい」と答えました。
総務省に対しては、「国勢調査で同性カップルは、以前はエラーになっていたが、2014年から”他の親族”とされているとの認識。一方で配偶者については有りにマルをすることができる。他の親族(遠い親戚)なのに異性と結婚していて、異性とは同居していないという統計になってしまう。国勢調査の正確性が保たれないのではないか。同性パートナーシップ制度の導入自治体は4月1日で208に上り、人口カバー率は51%を超えた。今年9月には東京都でも導入予定で、60%を超える。このように同性カップルが社会的に認知されるなか、国勢調査でも実態に即した把握をお願いしたい」と述べ、田畑総務副大臣は、「次回の国勢調査は令和7年だが、試験調査を今年度やっている。ご指摘いただいた同性カップルについては、コンセンサスを得ながら、公的統計として慎重に検討したい」と答えました。
法務省に対しては、「外国で結婚した同性カップルについて、同性婚承認国の外国人どうしのカップルであれば特定活動のビザが下りるようになっている。どれくらいの実績があるか」と尋ね、法務省の君塚在留管理支援部長が「平成26年から集計し、28ヵ国93名が、同性婚を理由とした特定活動の在留資格を得ている」と回答、続いて石川議員が「一方が日本人である場合、外国人同性パートナーはビザが下りない。男女であれば出るのに、なぜ?」と問い、津島法務副大臣は、「入管法の配偶者の考え方として、それぞれの国の法律かつ我が国の法律に照らし合わせ、同性婚が本国で有効であれば、本国と同様の配慮をし、特定活動を認めるが、そうでない場合は、我が国において関係を解消できることもあり、身分の明確性という点で課題があることから、資格を認めていない」と答弁しました。石川議員は、課題とはどういうことかと問い、津島氏が「身分関係の明確性、確実さ。婚姻継続の把握、確認方法である」と答えたことを受けて、引き続き「婚姻継続の把握について、外国人どうしのカップルの確認はどのように?」と尋ね、君塚氏が「日本人は、戸籍で確認。外国人は国によって手段が違うが、ご本人に継続しているかを立証していただく。国によってはそれが困難な場合もあり、大使館などで直接話を聞くこともある」と答えました。石川議員は、「婚姻の継続を証明するには相手が日本人でも同じ。むしろ戸籍で異性と結婚していないことがわかるし、住民票で同居を確認できるため、日本人の方が確認しやすいのではないか」と尋ね、津島氏は「同性パートナーの在留資格については、課題の対応も含め、様々な意見を踏まえながら、前向きに検討する」と答弁しました。石川議員は「国際問題でもある。日本人が同性婚が認められている相手国で配偶者として認められてお世話になっている場合もあるのに、日本に来ると外国人同性パートナーにはビザが下りないというのは、相手国に失礼ではないか」と述べました。鈴木外務副大臣は、「同性婚をはじめ様々な家族形態があり、日本で暮らしやすく、受け入れられやすくなるのは重要なこと。多様性が尊重され、人権や尊厳が認められ、自らが望む人生を生きられる共生社会の実現に向けて、法務副大臣からも前向きな答弁を得られたので、連携してしっかり取り組みたい」と述べました(素晴らしい)
お礼を述べたあと、石川議員は、「このほかにも、外務省はパスポートの性別欄の「X」表記について国際社会の実態の把握に取り組んでおられ、文科省は性同一性障害のきめ細かな配慮について通達しており、厚労省はパワハラ防止法にSOGIハラ・アウティングの禁止を盛り込んでいただき、国交相はトイレについて検討していただいているが、そういった意味では、各省庁で一元的に、研修などでLGBTQについて周知を行ない、課題を把握し、調整していくといったことが必要なのでは?」と質問し、若宮氏は、「多岐にわたる課題。一つの省庁で網羅するのは困難。各省庁が密接に連携し、取り組みたい。議員立法の理解増進法案で連絡協議会についても記載されていたため、立法の動きを見守りたい」と答えました。石川議員は、「LGBT新法は残念ながら昨年、実現しなかった。国会議員の私たちにボールが投げられていると認識している、しっかり立法する責任がある。LGBTQのことは国際的な課題。昨年のG7首脳共同宣言でもLGBTQへの暴力や差別に取り組むこと、性的指向や性自認を含む多様性の支援ということに合意している。WHOもトランスジェンダーに不妊手術を強制することは人権侵害だとしている。政府には、さらに施策を前に進めていただきたい」と締めました。
石川議員は昨年3月にも参院予算委員会で、同性婚の法整備について小泉進次郎環境相に質問し、「同性婚には賛成だ」との答弁を引き出すなどしています(詳細はこちら)
同年2月には、尾辻かな子議員が衆議院予算委員会で同性婚について質問し、衆議院法制局から「同性婚の法制度化は憲法上の要請であるとする考えは十分に成り立ち得る」との画期的な見解を引き出しています(詳細はこちら)
尾辻氏は昨年夏の衆院選で残念ながら議員ではなくなってしまったため、現在国会で性的マイノリティであることをオープンにしている議員は石川大我議員だけです。
なお、石川議員は、今回の質問の中でも触れていましたが、先日のレインボーフェスタ和歌山にも駆けつけたり、全国各地のプライドに足を運んでいます。上司のアウティングでうつ状態に陥ったゲイの方が職場がある豊島区に救済申立てを行なった際は、本社前で行なわれたアウティングについて理解を求める宣伝行動に参加していました(豊島区議時代も、同区での同性パートナーシップ証明制度を実現するなどしています)