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サンマリノで世界初のLGBTQの国家元首が誕生しました

 4世紀初頭に建国された世界最古の共和国であり、イタリアの山々に囲まれた人口3万4000人の小国・サンマリノで、オープンリー・ゲイのパオロ・ロンデリが国家元首に選ばれました。性的マイノリティ(LGBTQ、クィア)であることをカムアウトしている人物が国家元首となるのは世界初のことです。


 国会に当たる大評議会の副議長で米国大使も務めていたパオロ・ロンデリ氏(58歳)は4月1日、キャプテンリージェント※の一人に選ばれました。半年間、国家元首を務めます。

※キャプテンリージェントは、サンマリノ共和国の2人の国家元首です。国の立法機関である大評議会によって半年ごとに選出されます。通常、キャプテンリージェントは相対する政党から選ばれ、6ヵ月の任期を務めます。キャプテンリージェントの選挙は毎年4月1日と10月1日に行われます。この政府の二重首長(二頭政治)の伝統は、古代ローマの執政官に由来しています。
 
 「私はたぶん、世界初のLGBTQの国家元首になるだろう」とパオロ・ロンデリはFacebookに投稿しました。
 イタリアの上院議員でLGBTQ活動家のモニカ・シリナは、「歴史的な日です。私は喜びと誇りでいっぱいです。パオロ・ロンデリがLGBTQコミュニティに所属しながら、最初の国家元首になります。サンマリノ初というだけでなく、世界初です」と投稿しました。
 サンマリノの隣のイタリア・リミニ市のLGBTQ団体「Arcigay Rimini」は、「彼のLGBTQコミュニティへの貢献と、みんなの権利への闘い」に感謝を捧げました。ロンデリは以前、この団体の副代表でした。Arcigay Riminiは、イタリアもサンマリノのようになってほしいと希望しています。イタリアはシビルユニオンは認めたものの、昨年、ヘイトクライム禁止法が上院で却下されるなど、LGBTQを保護する法整備がまだ遅れているそうです。

 サンマリノは2004年まで同性愛が違法で、投獄される可能性もあったそうですが、パオロ・ロンデリの活動のおかげもあって、2016年にシビルユニオンを導入しています。これは同性婚への重要なステップです。サンマリノはパオロ・ロンデリが国家元首となったことで、イタリアより先に結婚の平等を達成し、世界で32番目の同性婚承認国になるかもしれません。

 
 もしかしたら、もっと前からLGBTQの首相がいた、世界初ではないはず、と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かにこれまで、アイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティル首相やベルギーのエリオ・ディルポ首相、ルクセンブルクのグザヴィエ・ベッテル首相、アイルランドのレオ・バラッカー首相、セルビアのアナ・ブルナビッチ首相というゲイやレズビアンの首相(政府の長)が誕生してきました。しかし、国家元首は、例えばベルギーでは国王、ルクセンブルクでは大公ですし、アイスランドなどは首相の上に大統領がいます(象徴的な存在だったりします)。というわけで、国家元首としては、今回のパオロ・ロンデリ氏が世界初なのです。
 
 
参考記事:
World’s first LGBT+ head of state elected in San Marino, one of the oldest nations on earth(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2022/04/05/paolo-rondelli-san-marino-gay-lgbt-head-of-state/

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