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【同性パートナーシップ証明制度】深谷市で本日スタート、そのほか秋田県・秋田市、習志野市、厚木市、姫路市などでも導入へ

 埼玉県深谷市で本日より、「深谷市性的指向及び性自認の多様性を理解し尊重する社会の推進に関する条例」が施行され、「パートナーシップ宣誓制度」がスタートしました。そのほか全国の自治体の同性パートナーシップ証明制度関連の情報をお伝えします。



 埼玉県深谷市は、3月23日から「深谷市性的指向及び性自認の多様性を理解し尊重する社会の推進に関する条例」を施行するとともに「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。
 同条例は「市民一人ひとりが、性的指向及び性自認の多様性への理解を深め、お互いに多様な生き方を認め合うことができるよう、社会全体で取り組んでいくため」に施行され、「全ての市民が個人として尊重され、性的指向又は性自認による差別的な取扱いを受けることなく、その個性及び能力を十分に発揮し、多様な生き方を選択できる社会を目指す」ことを基本理念とし、カミングアウトの強制やアウティングを禁止しています(カミングアウトの自由も謳っています)
 また、「パートナーシップ宣誓制度」は、同条例の理念に基づき、「性的指向及び性自認に係る性的少数者の人権が尊重され、多様な生き方を選択でき、自分らしく暮らせる社会の実現を目指して」導入されました。「双方または一方が性的指向及び性自認に係る性的少数者である2人が、互いを人生のパートナーとし、日常生活において相互に協力しあうことを約束した関係であることを市に宣誓し、市がその宣誓を証明する制度です。婚姻制度とは異なり、法的な権利や義務は生じませんが、2人に精神的な安心感を与え、日常生活における生きづらさの軽減を願うとともに、社会的に性の多様性への理解が深まることを目指すものです」
 レインボーさいたまの会によると、深谷市では2021年3月に「深谷市におけるパートナーシップ認証制度および性的少数者に関する諸問題への取組みに関する請願」が全会一致で採択され、これを踏まえ、1年後に条例制定とパートナーシップ制度導入が実現したものです。

 埼玉県宮代町は4月1日から「パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度」を始めます。
 町によると、制度の検討過程で性的少数者の支援団体から、「役場に手続きに行くと、パートナーであることを他人に知られる懸念がある」と指摘されたことを受けて、パートナーシップ・ファミリーシップの届け出と、町からの「届出受理証明書」や「届出受理カード」の交付の手続きに、希望に応じて郵送でも対応することにしたそうです。婚姻届が郵送で出される場合と同様に、届け出の書類が郵送で届いたら、町は確認の書類を本人たちに送り、一定期間問い合わせなどがなければ、証明書とカードを送付するということです。

 埼玉県では、県内63市町村のうち、本日時点で同性パートナーシップ証明制度を導入しているのは3分の1を超える25自治体、ファミリーシップ制度を導入しているのは7自治体に上っています。

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 秋田県は、新年度から制度導入を目指すことを表明していましたが、今月14日、LGBTQ差別禁止の方針を含む「県多様性に満ちた社会づくり基本条例」案が県議会で可決され、4月1日から条例が施行されるのと同時に「パートナーシップ宣誓証明制度」も導入されることが確定しました。条例では「何人も人種、信条、性別、性的指向、性自認、社会的身分、門地、職業、年令、心身障害、病歴などを理由に他人を差別し権利利益を侵害してはならない」と謳われています。
 22日の会見で佐竹敬久知事は、「性的少数者の方の生きづらさが少しでも解消されることを期待する」と述べました。
 秋田県は、福岡県と並び、都道府県として全国で7番目の導入となります。

 同じく4月1日には秋田市でも「パートナーシップ制度」が導入されます。「市民に多様な性の在り方への理解を深めてもらい、社会の偏見や差別をなくす狙い」だそうです。
 秋田市では制度実現に向けて、地元のLGBTQ団体「性と人権ネットワークESTO」が働きかけを行なってきたそうで、同団体は4月1日からの導入決定について「たくさんの人が安心して使える制度になるように、今後も働きかけを続けていきます」とコメントしています。
 
 なお、秋田市では5月28日にAkita Pride Marchの開催が予定されています。2020年5月に初開催される予定でしたが、コロナ禍によってたびたび延期・中止となり…今回、三度目の正直で、ようやく開催が実現しそうです。応援したいですね。
 
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 栃木県鹿沼市は、2019年6月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入していましたが、4月からパートナーシップ宣誓をしたカップルと同居する子どもも家族として承認する「パートナー&ファミリーシップ宣誓制度」に拡大します。
 
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 千葉県習志野市は2019年2月、千葉県で2番目に「パートナーシップ宣誓制度」導入の意向を発表し、2020年度をめどに、としていましたが、実現を見ていませんでした。このたびようやく制度の導入が決まり、誰もが大切な人や家族と暮らすことができる街の実現に向けて、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」として今年5月の導入を目指すことが明らかになりました。
 習志野市の宮本泰介市長は、「あらゆる共同生活の形態に対応していける制度として、制度を発足していく」と語っています。
 市が関係を証明することで、賃貸住宅を借りる際の同居の申込みや、病院で家族の症状について説明を受けることなどが円滑に進むようになると期待されるということです。

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 神奈川県厚木市は4月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入します。
 宣誓し、受領証(パートナーシップ証明書)を交付されれば、市営住宅の入居申し込みや災害見舞金の給付などの行政サービスが利用できるようになります。市では3月10日から宣誓日の事前予約を受け付けています。
 市は中央図書館で行われている図書展「性差と役割」で制度を紹介しているほか、男女共同参画と多様性をまとめた情報紙を自治会内で回覧して周知を図るそうです。
 
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 それから、昨年3月に「2021年度中の導入を目指す」との意向を明らかにしていた兵庫県姫路市は、この4月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入する方針を固めました。市営住宅への入居を可能にするなど、当事者が暮らしやすい環境を整えるそうです。
 姫路市には「そらにじひめじ」というあらゆるマイノリティの方のためのコミュニティスペースがありますが(運営しているのはゲイの方で、2020年の明石のパレードの時も活躍していました)、今回「パートナーシップ宣誓制度」が始まることを祝して、バースデードネーションという機能を使った寄付の呼びかけを行なっています。

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 この4月1日には福岡県、秋田県、函館市、静岡市、姫路市、東京都北区といった大きな自治体をはじめ、全国でたくさんの自治体が一斉に制度を導入し、人口カバー率が過半数に達することが見込まれています。同性パートナーシップ証明が受けられない自治体に住んでいる人のほうが少数派になる日が来るとは…感慨深いです。
 この趨勢を、国や裁判所も無視することはできないはず。同性婚実現への議論が加速することを期待します。
 
 

参考記事:
宮代町がパートナーシップ・ファミリーシップ届出制度を4月から(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ3G73B5Q33UTNB017.html

パートナーシップ 県、秋田市が導入 4月から(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220323/ddl/k05/040/064000c
秋田県、性的少数者のカップルを公認 4月から(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20220318-XPCQBUAVOBNALBQ7YYT3D6V3BY/
性的少数者のパートナーシップ制度 秋田市が来月導入(秋田魁新報)
https://www.sakigake.jp/news/article/20220310AK0003/

栃木・鹿沼市、性的少数者の子も家族認定 4月から(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1784S0X10C22A3000000/

習志野市 一緒に暮らすパートナー・家族の証明カード発行へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20220316/1080017530.html

厚木市 「パートナーシップ制度」導入(タウンニュース)
https://www.townnews.co.jp/0404/2022/03/11/616436.html

姫路市、4月からパートナーシップ制度導入 市住への入居可能に(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/himeji/202203/0015125217.shtml

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